人手不足をテクノロジーで解決
Pudu Roboticsは、現CEOの張涛(Felix Zhang)氏が2016年に中国・深圳市で創業した企業だ。
張氏は2016年時点でロボティクス業界に10年以上身を置き、商用サービスロボット市場も成長期に差し掛かっていたことから、ロボティクスメーカーでの起業を検討していた。その中で配膳、配送ロボットに着目したのは、従業員の賃金が低く、成長機会も限定的で、その上どこも人手不足という飲食業界の抱える深刻な問題を「テクノロジーの力で打開したい」と考えたためだ。
ネコ型配膳ロボット「BellaBot」は、創業時から一貫して磨いてきた高い技術力に加え、「人と対話できる、温かみのあるロボット」の提供を目的に開発した製品だ。ネコ型にしたのは、独自の市場調査結果に加え、当時中国では猫をペットとして飼う家庭が増えていたことなど、多角的な情報に基づいて決定した。約1年の開発期間を経て2019年12月に提供し始めたが、リリース直後から世界中で注目を集め、2023年6月時点で60カ国以上600以上の都市に導入が進んでいる。サービス業界の人手不足問題がベースにあったものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による無接触配膳のニーズが急激に高まったことも要因として大きい。また、愛らしい外見、自然で親しみやすいインタラクション(対話)を備えた配膳ロボットは圧倒的な人気を博した。
「BellaBot」は同社最大のヒット商品となり、Puduが提供する全10製品の売上高の中で、グローバルでは「BellaBot」が40%以上、日本一国では50%の以上を占めている。創業7年で世界中にサービス拠点を設置、全10製品のグローバル累計出荷台数は6万台を超えるなど、商用サービスロボット分野でグローバルリーダーに上り詰めた。