MM総研大賞2013 ニュースリリース「MM総研大賞2013」実施と審査結果のお知らせ ―スマート社会を支える製品・サービスを表彰、今年が第10回目の実施―

2013年06月18日

■「大賞」は、JR東日本の「Suica」が受賞、「10周年記念特別賞」も同時受賞
■「クラウドソリューション部門」は、NTTコミュニケーションズ、NEC パーソナルコンピュータ、さくらインターネット、日本オラクル、富士通、NECビッグローブ、レコチョクが獲得
■「グリーンIT賞」は、日本マイクロソフトが受賞
■「ものづくり優秀賞」は、シャープとNECが受賞
■「話題賞」は、アマゾン ジャパン、NTTドコモ、LINE、ガンホー・オンライン・エンターテイメントを選出
■「審査委員長特別賞」は、総務省と国立国会図書館の共同受賞

MM総研(東京都港区、所長 中島 洋)は、この度「MM総研大賞2013」(審査委員長:安田 浩 東京大学名誉教授)の最終審査を終え、「大賞」、「クラウドソリューション部門賞」、「グリーンIT賞」、「ものづくり優秀賞」、「話題賞」、「10周年 記念特別賞」、「審査委員長特別賞」を決定致しました。

 「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2013年度の今回が10回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

 今回の「MM総研大賞2013」では、次世代のスマート社会の核となる「クラウドソリューション部門」で分野を7分野選定し、分野毎に「最優秀賞」を選 出しています。その他、ICT産業に大きなインパクトを与えた製品・サービスを「話題賞」として、さらに “ものづくり” の分野で代表的な商品を「ものづくり優秀賞」として選定しています。また、省エネなど環境配慮に優れた製品・サービスを「グリーンIT 賞」として選出しています。

 さらに今回の10周年を記念して、この直近10年で、ICT市場の発展に、最も貢献した商品を「10周年記念特別賞」として表彰します。また、審査対象 にノミネートされた商品、または受賞商品の中から、審査委員長の判断で、日本のICT市場の発展に貢献した、もしくは今後の貢献が期待される製品・サービ スを「審査委員長特別賞」として表彰します。最終的にこれらの中から、最もICT産業の発展に寄与した製品・サービスを「MM総研大賞」として選出しま す。

■「大賞」は、JR東日本の『Suica』が受賞。日本のICカードインフラ市場発展への貢献を評価

 最終選考は、安田 浩 東京大学名誉教授を委員長とする審査委員会の厳正な審査のもと行われ、「大賞」はJR東日本の『Suica』に決定致しました。同商品は、この直近10年で、ICT市場の発展に、最も貢献した商品に贈られる「10周年記念特別賞」も獲得しています。

 2001年11月に導入された「Suica」は07年に続き2度目の受賞。発行枚数は4,300万枚を突破。全国142の交通事業者で利用できるIC乗 車券としての利便性に加え、電子マネーとしても利用可能店舗が21万を超えるなど、日本を代表する交通系ICカードとなりました。また、携帯電話の通信・ 表示機能を活かした「モバイルSuica」や、クレジットカードと一体化した「ビュー・スイカ」カードなどの多様なサービスを提供し、日本の「ICカード インフラ」の飛躍的な発展に貢献した点が高く評価され、満場一致で「MM総研大賞2013」の「大賞」に決定致しました。(数値は13年5月末現在)

■「クラウドソリューション部門」では、7商品が受賞

 本格的なクラウド時代の到来とともに、ますます重要性が高まる「セキュリティサービス分野」では、NTTコミュニケーションズの『Bizマネージドセキュリティサービス』が受賞。セキュリティリスクの検知・分析機能などに優れたセキュリティ運用基盤と、専門官による24時間365日体制での運用監視によって、セキュリティリスクを最小化している点が高く評価されました。NECパーソナルコンピュータの『LaVie Z』は、13.3型で約875gという世界最軽量のウルトラブックです(13年3月末時点)。その圧倒的な軽さと薄さ等が実現するモバイル性能の高さが評価され、「ウルトラブック分野」で最優秀賞に選定されました。クラウドサービスの基盤である「データセンター分野」では、さくらインターネットの『石狩データセンター』が最優秀賞に輝きました。北海道・石狩市という立地が、事業継続/災害対策の面では最適であり、冷涼な北海道の気候を活用した外気空調で冷却コストの削減につなげている点などが評価されました。

 クラウド化の進展と生成されるデジタルデータの爆発的な増加の中で、大量の情報(ビッグデータ)を効率的に収集・分析し、自社の経営戦略や事業に利活用しようとする動きが広がりつつあります。日本オラクルの次世代データベースマシンである『Oracle Exadata』は、Oracleデータベースの巨大な顧客資産をベースにハードとソフトを最適融合し、顧客の高速化ニーズなどに対応。セキュリティの高さに加え、導入運用コストの削減も実現している点が高く評価され、「ビッグデータシステム製品分野」で最優秀賞を獲得しました。富士通の『コンバージェンスサービス』は、 自社のクラウド基盤をベースにしたビッグデータ対応サービスです。位置情報や肌画像、ソーシャルメディアデータ等を活用できるサービスと、キュレータと呼 ぶデータの統計分析を行う人材を用意。ビッグデータの利活用を創出するサービスとして高い評価を集め、「ビッグデータソリューション分野」の最優秀賞に輝 きました。

 クラウド環境の整備が進む中で、通信サービスに対するユーザーニーズの多様化が進んでいます。ユーザーごとに必要なサービスを、そのサービスに見合った価格で提供しようとする動きも広がっており、このトレンドを代表するサービスの一つがMVNOサービスです。NECビッグローブの『ほぼスマホ』は、 Android端末とLTE・3G対応の通信回線のセットを月額2,980円から提供。電話・SMSを除き、スマートフォンの持つ機能をほぼ全て利用でき るなど、そのコストパフォーマンスの高さが多くの支持を集め、「MVNOサービス分野」で最優秀賞を獲得しました。サービスとして人気が高まっている「ク ラウド型音楽配信サービス分野」ではレコチョクの『レコチョク Best』が最優秀賞を獲得しました。日本のユーザーのために最適化された使いやすいUIや検索機能など、日本の音楽配信サービスの発展に貢献してきた点が高く評価されました。

■「グリーンIT賞」は、日本のマイクロソフト、「ものづくり優秀賞」ではシャープとNECが受賞

 「グリーンIT賞」では、日本マイクロソフトの『Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム』が 選ばれました。再生PCを販売している事業者向けに正規のWindows OSライセンスを提供するプログラムを09年より開始。再生PC事業者の販売拡大および中古PC市場の活性化、廃棄物発生抑制やCO2排出削減といった環 境・循環型社会の実現に向けた取り組みが高く評価されました。

 「ものづくり優秀賞」では、2商品が受賞しました。シャープの『IGZO/IGZO搭載商品」は、世界で初めて量産化に成功した酸化物半導体(IGZO)を採用した液晶パネルを搭載しています。高精細で消費電力が低く、スマートフォンやタブレット端末の長時間駆動を実現しました。NECの『NEC Solution Platforms』は、 サーバ、ストレージ、ソフトウェア、ネットワークなどの製品・技術を、最適に組み合わせた垂直統合製品です。OpenFlowなどの最先端のネットワーク 技術も活用するなど、高信頼性とICT投資の効率化を実現し、企業の迅速な事業展開を支援する次世代プラットフォームとして高い評価を獲得しました。

■「話題賞」は、4商品が受賞

 「話題賞」では、クラウド端末やサービスの多様化と拡大を象徴する4商品が選出されました。
 アマゾン ジャパンの『Kindleダイレクト・パブリッシング』は、最短5分で原稿を電子化、48時間以内に出版可能とする個人出版支援サービスです。Kindle端末やKindleストアとともに、電子書籍の普及拡大を後押ししています。スマートフォンの普及拡大が進む中で、NTTドコモの『スマートフォン for ジュニア SH-05E』は、小学校の高学年から中学生の子供向けに最適化されたスマートフォンです。利用時間制限やフィルタリング機能などで安心を確保しながら、ドコモがセレクトした安全で、多彩なアプリを利用できる点などが評価されました。LINEが提供するコミュニケーションアプリ『LINE』の登録者数は全世界で1億5,000万人を突破。無料通話と、多様な感情や心境を表現した「スタンプ」を使ったメールが世界中のユーザーから高い支持を集めています。世界市場でのさらなるユーザーの獲得と、プラットフォームとしての今後の進化が期待されています。ガンホー・オンライン・エンターテイメントの『パズル&ドラゴンズ』は、サービス開始から約1年で1,400万ダウンロードを達成する大ヒットゲームとなっています。パズルと育成RPGゲームの融合というプランニングの斬新さなど、スマートフォンアプリ、ゲーム業界においての功績が高く評価されました。

■「審査委員長特別賞」は、総務省と国立国会図書館が共同受賞

 審査委員長の判断で、日本のICT市場の発展に貢献した、もしくは今後の貢献が期待される製品・サービスを表彰する「審査委員長特別賞」は、総務省と国立国会図書館の連携により構築された『国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)』が選定されました。「ひなぎく」は、誰もがネット経由で東日本大震災に関する情報を包括的に検索し、活用できるポータルサイトです。東日本大震災の記録・教訓を後世に伝え、被災地の復旧や復興事業、今後の防災・減災対策、防災教育などへの活用が期待されています。

以上により、受賞製品・サービスは、大賞/10周年記念特別賞1、クラウドソリューション部門賞7、グリーンIT賞1、ものづくり優秀賞2、話題賞4、審査委員長特別賞1の合計16商品となりました。


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[参考] これまでの「大賞」受賞企業は、以下の通りです。

MM総研大賞2004 : 松下電器産業(Panasonic)「DIGA」
MM総研大賞2005 : シャープ「AQUOS」
MM総研大賞2006 : アップルコンピュータ「iPod + iTunes Music Store」
MM総研大賞2007 : JR東日本「Suica」「モバイルSuica」とPASMO協議会「PASMO」(共同受賞)
MM総研大賞2008 : ソニー 有機ELテレビ「XEL-1」
MM総研大賞2009 : トヨタ自動車「Prius」
MM総研大賞2010 : 日本経済新聞社「日本経済新聞電子版」
MM総研大賞2011 : パナソニック「エコナビ」
MM総研大賞2012 : サムスン電子ジャパン「GALAXY」


MM総研大賞2013 概要

【参考1】 MM総研大賞2013の開催主旨

 「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2013年度の今回が10回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

【参考2】 表彰対象

1. クラウドソリューション部門(7商品)
    ①セキュリティサービス分野
    ②ウルトラブック分野
    ③データセンター分野
    ④ビッグデータシステム製品分野 
    ⑤ビッグデータソリューション分野
    ⑥MVNOサービス分野
    ⑦クラウド型音楽配信サービス分野
2. ものづくり優秀賞(2商品)
3. グリーンIT賞(1商品)
4. 話題賞(4商品)
5. 審査委員長特別賞(1商品)
6. 10周年記念特別賞(1商品)

【参考3】 評価基準

◆クラウドソリューション部門
 スマート社会の核となるクラウドソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進 性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービ スの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。

◆ものづくり優秀賞
 「ものづくり優秀賞」は、日本が世界に誇れる“ものづくり”の分野で、卓越した技術で「先進性」「革新性」などに優れ、市場からも高く評価されている製品を対象とする。

◆グリーンIT賞
 環境への負荷が少ないIT製品・サービス(ITのグリーン化)、または、環境負荷の削減を実現するIT製品・ サービス(ITによるグリーン化)を対象とする。また、環境配慮に優れた技術によって、地球環境や社会的な貢献にとどまらず、サービス提供事業者自らの企 業価値向上にも貢献する製品・サービスを対象とする。

◆話題賞
 「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。12年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。

◆10周年記念特別賞
 「10周年記念特別賞」は、MM総研大賞創設(2004年)から10年間を通し、日本のICT分野の発展に最も貢献した製品・サービスを対象とする。

◆審査委員長特別賞
 審査対象にノミネートされた商品、または受賞商品の中から、審査委員長の判断で、日本のICT市場の発展に貢献した、もしくは今後の貢献が期待される製品・サービスを対象とする。

【参考4】 評価方法

◆クラウドソリューション部門
 個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,532件)、またノミネート企業に対するMM総研 研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、受賞企業を決定する。

◆ものづくり優秀賞
 外部有識者を含む審査委員会が、“ものづくり”の分野で、「先進性」「革新性」などに優れ、今後のブロードバンド&ユビキタス社会を支えていく先進的な技術が活かされていると評価される製品を選定する。

◆グリーンIT賞
 対象となる製品・サービスの 「認知度」、「環境への貢献度」、「市場性」などを評価項目として、個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,532 件)を実施。これを基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、受賞企業を決定する。

◆話題賞
 個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,532件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。

◆10周年記念特別賞
 外部有識者を含む審査委員会が、創設(2004年)から10年間を通し、MM総研大賞の過去の受賞企業などの中から、日本のICT分野の発展に貢献した製品・サービスを対象とする。

◆審査委員長特別賞
 審査対象にノミネートされた商品、または受賞商品の中から、審査委員長の判断で、日本のICT市場の発展に貢献した、もしくは今後の貢献が期待される製品・サービスを対象とする。

◆MM総研大賞
 クラウドサービス部門賞、グリーンIT賞、ものづくり優秀賞、話題賞、10周年記念特別賞、審査委員長特別賞に選出された製品・サービスに関し、外部有 識者を含む審査委員会が、「スマート社会の貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、MM総研大賞を選定する。

【参考5】 審査委員

審査委員長   安田 浩   東京大学名誉教授 東京電機大学 未来科学部 学部長
審査委員    前川 徹   コンピュータソフトウェア協会 専務理事
審査委員    藤沢 久美  シンクタンク・ソフィアバンク代表  法政大学大学院 客員教授
審査委員    北村 森   商品ジャーナリスト、サイバー大学客員教授
審査委員    篠崎 忠征   MM総研 研究主任