スマートソリューション部門
衛星データ分野
最優秀賞

衛星画間開発・運用からデータ活用まで垂直統合を加速

「Marble Visions」の取り組み 株式会社NTTデータ/株式会社Marble Visions

自社衛星を打ち上げ、未来のデジタルツインを構築

Marble Visions(東京都江東区)は NTTデータが2024年7月に新たに設立した企業。同社は自前の観測衛星打ち上げ・運用から衛星データ活用までの垂直統合を目指しており、衛星データ利用の業界から注目を集めている。自社での観測衛星の打ち上げも含めたMarble Visionsの今後の可能性が高く評価された。

10年以上の歴史を持つAW3D

NTTデータは2014年より衛星データから作成する3D(3次元)地図ソリューション「AW3D」を世界規模で提供している。全世界の陸地の起伏を2.5メートル解像度の細かさで表現しており、さらに都市部では最高0.5メートル解像度の3Dデータの提供も可能だ。マルチビューステレオ処理と呼ばれる画像処理技術により実現される高い精度が評価され、世界130カ国・地域以上、4000プロジェクトでの利用実績を持つ。昨今の衛星の技術革新やデジタルツイン分野のニーズ拡大を受け、衛星事業をさらに拡大すべく、新会社Marble Visions設立に踏み切った。

国産技術を集結する開発体制

Marble Visionsは、日本の小型衛星・機器、衛星運用、プロダクト・サービスをけん引する企業の技術と経験を集結することで、世界に通用する衛星観測サービスの提供を目指す。NTTデータ(プロダクト開発・サービス提供)、キヤノン電子(衛星製造)、パスコ(衛星運用・サービス提供)の各社が専門性を活かした役割分担により、総合ソリューションの提供を実現する。2024年11月には宇宙戦略基金の技術開発テーマ「高分解能・高頻度な光学衛星観測システム」に採択され、取り組みを加速していく。

この垂直統合型アプローチが、衛星撮像からエンドユーザーまで一貫したサービス提供という強みを生み、他社との明確な差別化を図っていく。特にNTTデータが持つ、業界・業種を問わず多様な顧客ニーズに応えるシステム構築力と、長年にわたり培ってきたIT(情報技術)課題の解決力を組み合わせることで、単なるデータ提供にとどまらない、より実践的で包括的なソリューションを展開していく方針だ。

ペア体制の衛星を自社で打ち上げ

Marble Visionsは、小型光学衛星を連携させて一体運用する「衛星コンステレーション」を構築する計画で、国産衛星8機(4組)を2027年から打ち上げる予定だ。各組がステレオ撮影を行い、効率的に高品質なデータを取得する。Marble Visionsの衛星の特徴は「ペアで打ち上げ・運用」する点にある。2機を少し離れた軌道に飛ばし、ほぼ同じタイミングで同地点を別角度から撮影することで、きれいな3D画像を作成する。世界でも例を見ない運用サービスで、Marble Visionsのユニークポイントと言える。さらにAI(人工知能)技術による建物輪郭抽出、道路車線認識などの自動解析機能により、処理速度と精度は大幅に向上する。

時間軸を加えたデジタルツイン構築を目指す

Marble Visionsでは、2030年代早期までに年間1000億円以上の衛星データ・プロダクト市場創出を目指す。現在、日本国内だけでも300億~500億円程度の市場規模があると考えており、主にデジタルツイン分野で成長を見込む。

デジタルツインの活用例は多岐にわたる。例えば、3Dデータを電波シミュレーションに活用すると、建物の影響などを考慮した携帯電話のアンテナ設置場所の最適化が可能となり、基地局設計を効率化できる。また洪水などの都市災害シミュレーションにも活用し、保険会社による保険料率算出などにも使われている。さらに災害対応の分野では、地震発生前後の3Dデータを比較することで被害状況の把握や地形変化の分析が可能だ。例えば、2024年1月の能登半島地震では、NTTデータが地震前後の3Dデータを生成し、現地の3D可視化と前後比較による被害把握に活用した。

Marble Visionsは現状のデジタルツインに時間軸を加えた「4D」のデジタルツインの実現を目指している。従来は難しかった準リアルタイム(数日に1度の頻度)でデータを提供することで、都市・国土の管理、リスクの予測や対処計画を最適化できる。すでに実用化が始まっているデジタルツインの利用を後押しし、世界の都市のスマートシティ化、自動車・ドローンなどの自動制御、正確な災害予測などを可能にしていく。

準リアルタイム3D地図イメージ     出典:Marble Visions

受賞製品・サービス一覧

2025年 大賞

スマートソリューション部門
次世代モビリティ分野 最優秀賞

次世代モビリティ分野 最優秀賞

SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)

株式会社SkyDrive

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

watsonx

日本アイ・ビー・エム株式会社

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

「Stargate Project」や「クリスタル・インテリジェンス」など、AGI、ASIの実現に向けた取り組み

ソフトバンクグループ株式会社

2025年

スマートソリューション部門
半導体分野 最優秀賞

半導体分野 最優秀賞

NVIDIA Blackwell

NVIDIA

2025年

スマートソリューション部門
光通信サービス分野 最優秀賞

光通信サービス分野 最優秀賞

All-Photonics Connect powered by IOWN

NTT東日本株式会社/NTT西日本株式会社

2025年

スマートソリューション部門
光通信インフラ分野 最優秀賞

光通信インフラ分野 最優秀賞

光海底ケーブル事業

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
非地上通信分野 最優秀賞

非地上通信分野 最優秀賞

au Starlink Direct

KDDI株式会社

2025年

スマートソリューション部門
衛星データ分野 最優秀賞

衛星データ分野 最優秀賞

「Marble Visions」の取り組み

株式会社NTTデータ/株式会社Marble Visions

2025年

スマートソリューション部門
地域モビリティ分野 最優秀賞

地域モビリティ分野 最優秀賞

「KANSAI MaaS」

関西MaaS協議会

2025年

スマートソリューション部門
DX支援分野 最優秀賞

DX支援分野 最優秀賞

BluStellar

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
DXソリューション分野 最優秀賞

DXソリューション分野 最優秀賞

未来のコンビニ「Real×Tech Convenience」などにおける協業

三菱商事株式会社/KDDI株式会社/株式会社ローソン

2025年

スマートソリューション部門
スマートデバイス分野 最優秀賞

スマートデバイス分野 最優秀賞

コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群

小米技術日本株式会社(シャオミ・ジャパン)

2025年

スマートソリューション部門
次世代ロボット分野 最優秀賞

次世代ロボット分野 最優秀賞

ミミズ型管内走行ロボット「Sooha<sup>🄬</sup>」

株式会社ソラリス

2025年

スマートソリューション部門
最優秀賞

最優秀賞

リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール「NotebookLM」

グーグル合同会社

Archives