日本初の認定インテグレーターに選定
StarlinkはスペースXが運用する低軌道衛星通信。衛星の高度は約550kmで、従来の高度3万6000kmにある静止軌道衛星に比べて地表からの距離が約65分の1と近く、大幅な高速伝送と低遅延を実現している。Starlinkの衛星はすでに6000基以上が打ち上げられており、この衛星の多さも高速かつ安定した通信を可能としている。スペースXは今後もさらに多くの衛星を打ち上げていく予定だ。
スペースXがStarlinkを全世界で展開していくにあたり、各国の法制度への対応や地上局といわれる衛星と地上のネットワークをつなぐゲートウエイを設置していく必要がある。そこで、日本での展開においては、衛星関連の法制度に関する十分な知見と60年を超える衛星通信の運用経験を兼ね備えるKDDIとパートナーとして提携することとなった。
KDDIに限らず携帯電話の通信キャリアはバックホール回線と呼ばれる基地局とセンター局を結ぶ回線には光ファイバーを使っているが、山間部や離島など光回線が引けないところでは既存の静止衛星の回線を使ってカバーしていた。しかし、既存の静止衛星の回線では回線が細く、速度や安定性に課題があった。KDDIとしてはau基地局のバックホール回線にStarlinkを使うことで、山間部や離島など、満足する通信環境が整っていなかったエリアにおいて、都市部と同じような通信品質を整えていくという狙いがあった。こうした経緯もありKDDIは2021年9月にStarlinkをau基地局のバックホール回線に利用するとも発表している。そして現在に至るまで日本で初めての「認定インテグレーター」として、日本国内でのStarlinkサービスの提供を担っている。