スマートソリューション部門
日本語LLM分野
最優秀賞

NEC開発の生成AI

cotomi 日本電気株式会社

蓄積された技術で短期開発、業務適合性で市場狙う

NECは2023年8月に他社に先駆けて日本語LLM(大規模言語モデル)「cotomi」を市場に投入した。独自に収集、加工した多言語データを利用し、高速かつ高い処理能力を実現、クラウドと専用ハードウエアの両方で運用できるようにした。すでに顧客企業との検証が進んでいる点も評価された。

短期間での開発を可能にした技術的土台

NECは1990年代から機械学習(マシンラーニング)の研究開発に取り組んできた。2000年代から現在まで続く第3次AI(人工知能)ブームは「機械学習の時代」と呼ばれ、研究に投資を続け、第一線の研究者を取り込んできた。機械学習の大家であるウラジミール・ヴァプニク氏もその一人で、2002年にNEC北米研究所フェローに就いた。ヴァプニク氏に続いて、NECに機械学習に取り組む研究者が集まった。さらに、大規模言語モデルを長く研究していた小山田昌史氏が自然言語処理の研究をリードし、言語モデルに精通した研究チームをつくっていた。

NECは、世界最高水準の生体認証技術をはじめ、画像・映像認識、データ分析、制御技術など様々な先進AI技術を持っている。AIの活用には大量の知識をAIに学ばせなくてはならないが、AI構築の時間を短縮するには、学習プロセスを効率化する超高速計算システムが必要との結論に至り、AI研究用スーパーコンピューター(AIスパコン)の構築を開始、2023年3月に稼働を始めた。稼働したばかりのAIスパコンを生成AIのために使うと迅速に意思決定し、通常のスパコンなら1~2年かかるところを、1カ月で学習した。

迅速な意識決定を促したキーパーソンの存在

NECは顔認証技術で実績があるため、経営陣のAIに対する思い入れが強かった。加えて、AIビジネスをグローバル展開してきた経歴を持つ吉崎敏文氏がCDO(最高デジタル責任者)に就いたことも大きかったという。生成AIを事業として展開することをいち早く決め、CEOの森田隆之氏に働きかけた。こうした技術面、ビジネス面それぞれの要因が重なり、2023年7月にLLMの事業化を他社に先駆けて公表できた。次いで、2023年12月に「cotomi」という名称を発表した。

国内の業務・セキュリティ要件への適合が強み

cotomiは業務適合性に重点をおき、各企業の業務に対応するための追加学習のしやすさとセキュリティを強みとする。実際に業務で活用するには、一般的な業務用語の学習に加え、各企業の社内文書を学習し社内の情報に精通する必要がある。パラメーター数が大きいモデルは、このような追加学習が苦手だということも分かってきた。グローバルベンダーの大規模モデルに対して、国内では小規模モデルが有利になる可能性がある。

各企業のセキュリティ要件は多種多様だ。パブリッククラウドにデータを上げてよい企業もあれば、企業独自の専用クラウドやオンプレミスでしか利用できない企業もある。そのようなニーズに対応できるようにcotomiは複数のシステム提供形態を用意している。セキュリティ要件が厳しい企業には、cotomiをハードウエアに組み込み、顧客企業に設置することもできる。

また、業務での生成AIの使用にあたり、生成 AIが誤った情報をもっともらしい形式で出力してしまう「ハルシネーション」の問題や有害な出力などの懸念がある。そこでNECは、AIリスク管理分野に強みを持つ米Robust Intelligence社との連携により、cotomiのリスク評価プロジェクトを推進する。グローバルでの規制・リスク基準をクリアした高品質で安全・安心に業務適用できるcotomiを提供できるよう取り組んでいる。

顧客との共創から顧客の業務変革へ

生成AIは今後のビジネスに大きな影響を与えると期待を集める一方、まだ有力なユースケースは見つかっていない。NECはcotomiの他に、他の生成AIサービスも柔軟に活用できる体制を整備し、各企業に最適な環境を提供する。顧客企業と共創し、「業務変革の実現」を目指している。

今まで培った業種ノウハウ・研究開発成果を活かして顧客の業務変革に貢献するサービスや機能の拡充など付加価値を高めるとともに、セキュアで安全・安心な生成AIサービスの活用を推進していく。

※「BluStellar(ブルーステラ)」は実績に裏打ちされた業種横断の先進的な知見と長年の開発・運用で研ぎ澄まされたNECの最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルの変革を実現し、社会課題とお客様の経営課題を解決に導き、お客様を未来へ導く価値創造モデルです(参考URL:https://jpn.nec.com/dx/index.html)。

※NEC Generative AIは、NECが注力する差異化技術BluStellar Core Technologiesの1つです。

受賞製品・サービス一覧

2024年

大賞

スマートソリューション部門

最優秀賞

生成AI分野 最優秀賞

Microsoft Copilot

マイクロソフト

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

日本語LLM分野 最優秀賞

tsuzumi

日本電信電話株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

日本語LLM分野 最優秀賞

cotomi

日本電気株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

非地上通信分野 最優秀賞

Starlink Business / Satellite Mobile Link

KDDI株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

中小企業DX分野 最優秀賞

おまかせITマネージャー

東日本電信電話株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

MaaS分野 最優秀賞

GunMaaS

群馬県・前橋市・群馬県新モビリティサービス推進協議会

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

デバイス分野 最優秀賞

motorola razr 40/motorola razr 40s

モトローラ・モビリティ・ジャパン合同会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

クラウド分野 最優秀賞

さくらのクラウド

さくらインターネット株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

教育DX分野 最優秀賞

N中等部/N高等学校
S高等学校

学校法人角川ドワンゴ学園

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

モビリティ革新分野 最優秀賞

自動運転プラットフォーム

株式会社ティアフォー

2024年

審査委員特別賞

審査委員特別賞

QRコード

株式会社デンソーウェーブ