スマートソリューション部門
教育DX分野
最優秀賞

ネットの学校

N中等部/N高等学校
S高等学校 学校法人角川ドワンゴ学園

通信制のイメージを変えるネットの高校として急成長

教育現場におけるデジタル化が急速に進む中で、角川ドワンゴ学園が運営する「N中等部/N高等学校・S高等学校」が教育DX分野で最優秀賞を獲得した。2016年4月にネットの高校として「N高等学校」を開校して以来、最先端のデジタル技術と生徒の自発的な学習意欲を育む独自の学習プログラムが支持を集め、現在の生徒数は約3万人(2024年3 月末時点)に達している。教育DXの先駆者として通信制高校のイメージを大きく変えただけでなく、教育業界の改革者として確かな実績を残している点が高く評価された。

生徒数、進学実績とも年々増加が続く

「N高等学校」と「S高等学校」(以下、N/S高)は学校教育法第一条に定められた高等学校で、全日制と同じ高校卒業資格を取得することができる。必修授業はネット学習、スクーリング、テストの3つだ。2023年度の大学合格実績※1は、国公立大学(東京大学、京都大学など)が172人(前年度比59人増)、主要私立大学(早稲田大学、慶応義塾大学など)が1981人(同414人増)となり、その数は年々増加している。海外の大学も150人(同98人増)で全国2位の合格者数だ。大学の世界ランキング「Times Higher Education Ranking 2024」で上位200位に入るトップスクールには43人が合格している※2。

※1 国内の大学合格実績は2024年4月30日時点。増加数は2022年度(2023年4月28日時点)との比較

※2 海外の大学の合格実績は2024年5月31日時点。増加数は2023年4月28日時点との比較

開校時で1482人だった生徒数も右肩上がりに増え、2019年には1万人を突破、定員増に対応するため2021年4月にS高を新設した。2024年3月末時点ではN/S高合わせて28,403人に達し、日本最大の高校となった。

N高の校長である奥平博一氏によれば「社会的評価が低かった当時の通信制高校のイメージを変えたい」とする強い思いが設立の原動力になったという。不登校となった生徒の受け皿としてだけではなく、自分の意志で通信制を選択し努力している生徒も数多くいる。何より誰に強制されるわけでもなく、時間を自由に使えるという利点もある。専門性を高め、より自由な学び方を求めるニーズも存在する。こうした思いを持った奥平氏が声をかけたのがドワンゴの創始者である川上量生氏だ。ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」は視聴者と配信者の双方向コミュニケーションであり、このノウハウに代表されるドワンゴのIT技術、KADOKAWAの豊富なコンテンツを使えば通信制教育をさらに進化させられると考えたからだ。

最先端のICTの導入と企業・自治体と連携したプロジェクト型学習

N高設立後もオンライン学習には常に最先端のICTを取り入れてきた。現在では、生徒とメンター(生徒の学習や進路相談などのサポート担当)、生徒同士のやりとりにはチャットツールのSlackを活用。資料のやり取りや日程管理などでは「Google Workspace for Education」、生徒の多彩な創作活動を支援する「Adobe Creative Cloud」など多様なツールを積極的に導入している。また、「ChatGPT-4」「DALL·E 3」といった世界中で利用されている生成AIが利用できるほか、バーチャル技術を活用した体験的な学びや交流も盛んに行われている。2019年4月に開設した「N中等部」も生徒が12歳から自分の進路を考え、設計していくことを支援するべく、N/S高との連携を強化。ICTツールを活用して生徒が自分で未来を切り開く推進力を身に付けられるよう支援している。

N/S高では、自分が好きな時にオンラインで学ぶ「ネットコース」、仲間とともにネット上で学ぶ「オンライン通学コース」、全国各地にあるキャンパスに通う「通学コース」など5つのコースを用意。卒業に必要な必修授業はオンラインで受講するが、通学コースではキャンパス(全国69ヵ所に設置)に通い、プロジェクト型学習、グループディスカッションの実施、プログラミングなども学べる。

通学コースの生徒を対象にしたプロジェクト型学習「プロジェクトN」では、様々な企業や官公庁、地方自治体と協力し、生徒自身が課題に対して具体的な解決策を企画し、制作物などをアプトプットする取り組みを行っている。その一例として、バンダイナムコエンターテインメントの新作ゲームのキャラクター衣装を生徒がデザインし、審査によって選出された作品は実際にゲーム内に実装される予定になっている。

ネット部活を通じた生徒同士の交流

こうした多様な学習環境を用意しているだけでなく、ネットを通じた生徒同士の交流の場として「ネット部活」が盛んに行われている点も大きな魅力だ。主なものとして「起業部」、「投資部」、「政治部」、「eスポーツ部」、「ダンス部」、「美術部」、「研究部」など様々な部活動が存在する。部員同士の交流だけではなく、外部の著名人を特別講師として招き、指導を受けることもあるという。例えば「研究部」は学術研究を志す中高生をサポートする部活動で、N/S高以外の学校からも生徒が参加している。研究成果の発表会では、その分野の専門家が参加し審査するなと、高校生レベルを超えた研究内容も多いという。

2025年4月には、N/S高を系属校とするオンライン大学の「ZEN大学」(仮称・設置認可申請中)も開学を目指している。また、角川ドワンゴ学園では同時期にN高、S高に続き、グループ3校目となる「R高等学校」(R高)を、群馬県桐生市に開校することを発表。通学コースのキャンパスも全国100か所に拡大する。中学から大学までネットをベースに生徒一人ひとりの自発的な学習意欲と探求心を伸ばす教育環境を拡充していく方針だ。社会全体のデジタル化が急速に進む中で、生徒が選びうる選択肢の一つとして角川ドワンゴ学園の取り組みが教育業界のスタンダードとなる日もそう遠くはないであろう。

受賞製品・サービス一覧

2024年

大賞

スマートソリューション部門

最優秀賞

生成AI分野 最優秀賞

Microsoft Copilot

マイクロソフト

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

日本語LLM分野 最優秀賞

tsuzumi

日本電信電話株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

日本語LLM分野 最優秀賞

cotomi

日本電気株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

非地上通信分野 最優秀賞

Starlink Business / Satellite Mobile Link

KDDI株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

中小企業DX分野 最優秀賞

おまかせITマネージャー

東日本電信電話株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

MaaS分野 最優秀賞

GunMaaS

群馬県・前橋市・群馬県新モビリティサービス推進協議会

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

デバイス分野 最優秀賞

motorola razr 40/motorola razr 40s

モトローラ・モビリティ・ジャパン合同会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

クラウド分野 最優秀賞

さくらのクラウド

さくらインターネット株式会社

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

教育DX分野 最優秀賞

N中等部/N高等学校
S高等学校

学校法人角川ドワンゴ学園

2024年

スマートソリューション部門

最優秀賞

モビリティ革新分野 最優秀賞

自動運転プラットフォーム

株式会社ティアフォー

2024年

審査委員特別賞

審査委員特別賞

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株式会社デンソーウェーブ