MM総研大賞2022 <スマートソリューション部門>スマートデバイス分野 最優秀賞完全ワイヤレス型ヘッドホン「LinkBuds」
ソニー株式会社

2022年07月22日

オンラインとリアルをつなぐ新たな音体験を提供

独自形状のリング型ドライバーユニットを採用した完全ワイヤレス型ヘッドホン「LinkBuds(リンクバッズ)」は、ソニーの完全ワイヤレス型ヘッドホンにおいて最小最軽量で心地よい装着感を実現した。高音質でありながら自然な外音を取り込むことができ、ヘッドホンの「常時装着」という新しいスタイルを提案した。5億サンプル以上のAIの機械学習で装着者の声と他のノイズを分離できる通話品質も評価され、スマートデバイス部門の最優秀賞を受賞した。

「ながら聞き」のニーズに応える

LinkBudsは「リアルとオンラインを繋げる」、「常時装着型のヘッドホンを作りたい」というコンセプトを基に開発された。いつでも大切な人と繋がれる、いつでもさまざまなコンテンツと繋がれるユーザー体験を提供することが狙いだ。音楽や動画、ゲームなどのコンテンツを楽しみながら、外部の音も自然と耳に入ってくるので、友人などからふと声を掛けられても自然に対応できる。

このようなコンセプトを基にした商品開発の背景に、Z世代(中高生~24歳程度)などの若者を中心に音楽の「ながら聞き」が流行している点があったという。完全ワイヤレス型ヘッドホン購入者/購入意向者における音楽配信サービスの利用開始動機に関する調査をした結果、他の世代に比べて「ながら聞きに便利だから」という回答が多かった。こうした傾向はZ世代だけではなく、テレワークの普及によりあらゆる世代のユーザーにも波及しているという。

独自形状のリング型ドライバーユニット

LinkBudsは振動板の中心部が開放されたリング型ドライバーユニット(※イヤホンやヘッドホンの音を鳴らす機構)や、小さく圧迫感のないデザインに大きな特長がある。穴の開いたドライバーユニットは外の音を自然に聞きながら音楽や動画、ゲームなどの音を聞くことができる。このリング型ドライバーユニットはLinkBudsのために特別に開発したものだ。同製品はソニーの完全ワイヤレス型ヘッドホン史上最小最軽量で、ずっと付けていられる装着感を実現したという。

一般的に開放型ヘッドホンは高音質を出すのが難しいと言われるが、同社の上位機種のワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッド「WF-1000XM4」にも搭載する「統合プロセッサーV1」と新たに開発したリング型ドライバーユニットにより、開放型でありながら質の高い音を実現した。また立体的な音場を実現する音楽体験「360 Reality Audio」の認定モデルでもある。他には人の顔の向きを感知できるようにセンサーを複数入れている。スマートフォンと連動させたSound ARアプリ「Locatone」を利用することで、ユーザーの顔の向きに対して音の向きも連動するヘッドトラッキングに対応し、より高い臨場感を生む立体音響を提供する。

AI機械学習によるクリアな通話性能

ソニーのヘッドホンとしては初めてAI機械学習によるクリアな通話性能を実現したのも同製品の特長だ。5億サンプルを超えるAIの機械学習でユーザーの声とそれ以外の環境ノイズを分離してノイズを抑えることで、騒がしい場所でもユーザーの声をクリアに抽出できる。例えば騒がしい場所で通話していても相手には車の音などの騒音は届かずに自分の声だけをクリアに届けられる。

そのほか「ワイドエリアタップ」という機能では、こめかみあたりを軽くタップするだけで音楽の再生・停止などができる。通常、本体をタップする場合が多いが、「直接本体をタップするのが難しい」などの声が過去にあったため、触れる範囲を広げられるようにワイドエリアタップを搭載した。周囲の音量に合わせてコンテンツの音量を自動調節する「アダプティブボリュームコントロール」も非常に便利な機能だ。

パートナー企業との協業で新たな音体験を

企業・団体と連携し、一緒に新しい音体験を作っていく取り組みも始めた。前出のLocatoneを利用すると、ある場所である方向を向くと特定のコンテンツが流れるといったこともできる。マイクロソフト社ともパートナーを組み、同社が提供する3Dオーディオマップアプリ「Microsoft Soundscape」との連携機能も搭載。音声を聞きながら道案内されて、スマートフォンを見ずにその場所の情報を知ることができる。ソニーでは今後も様々なパートナーと連携し、新しい音体験を広げていきたいという。

 

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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