大賞はNEC、高松市、富山市の「FIWAREを活用したスマートシティ」

「MM総研大賞2022」審査結果を発表

2022年06月22日

■大賞は、NEC、高松市、富山市の3者共同受賞「FIWAREを活用したスマートシティ」

■スマートソリューション部門賞はNTT東日本、ソニーワイヤレスコミュニケーションズ、

 NTT/スカパーJSAT、ジャパン・インフラ・ウェイマーク、Community Mobilityなど12件

■話題賞はマイクロソフト、グーグル合同会社、デジタルインボイス推進協議会、Luup、デジタル庁

ⅠCT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、「MM総研大賞2022」 (審査委員長:村井純 慶應義塾大学教授)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門賞(分野別最優秀賞)」「話題賞」を決定した。MM総研大賞はICT分野の市場、産業の発展を促すことを目的に2004年に創設した表彰制度。今回で19回目となる。

 最高賞となる大賞は、これらの中から最もICT産業の発展に寄与すると評価できる製品・サービスを選んだ。次世代のスマート社会を支える技術やサービスを表彰するスマートソリューション部門では、設定した9分野ごとに「最優秀賞」を選定。ICT分野にとどまらず社会的に大きな話題になった製品やサービスを「話題賞」として、それぞれ選出した。

 最終選考では村井純氏を審査委員長とする審査委員会での厳正な審査の結果、下記17の製品・サービスが選出された。

1.大賞

 NEC、高松市、富山市/『FIWAREを活用したスマートシティ』
都市や地域の問題を解決するスマートシティを実現するにはセンサーデータなどの利活用が必要となる。NECは欧州で始まったオープンソースのデータ連携基盤「FIWARE」の開発に2011年から参画し、普及を推進してきた。高松市や富山市などの自治体と協力して様々な地域サービスに活用し、近隣市町村にもその連携基盤を広めた。データ連携に必要な標準化などの取り組みやベンダーと自治体が一体となってスマートシティづくりに取り組んだ点が審査会議で高く評価された。

 これによりNEC、高松市、富山市の『FIWAREを活用したスマートシティ』は、スマートソリューション部門の「スマートシティ分野」での最優秀賞に加え、今回選出された全17製品・サービスの中で最高の評価に値すると判断し、MM総研大賞2022の「大賞」を獲得した。

 

2. スマートソリューション部門賞

 スマートソリューション部門では9分野で、下記12製品・サービスが最優秀賞に選出された。

 

 ■ローカル5G分野 最優秀賞

通信事業者の通信網を利用せずに企業や自治体が専用の5G環境を構築・運用できる「ローカル5G」。産業界におけるDX推進や地域課題解決につながるソリューションとして期待も高まっている。サービス提供事業者も導入・運用コストの高さなど普及を阻む課題の解決に向けた取り組みを加速させている。この「ローカル5G分野」で最優秀賞に輝いたのがNTT東日本とソニーワイヤレスコミュニケーションズである。

 NTT東日本/マネージド・ローカル5Gサービス『ギガらく5G』
NTT東日本では中堅・中小企業を対象とした「ギガらくWi-Fi」の提供など、企業のネットワーク環境を、その導入から保守・運用まで一括してサポートするサービスを提供してきた。『ギガらく5G』は、本格的な5Gスタンドアローン機能と事前手続きから設計・構築・運用までをワンパッケージにしたマネージド・ローカル5Gサービス。導入しやすい手頃な料金となっており、産業DXや地域課題解決に貢献するサービスとして評価された。

 ソニーワイヤレスコミュニケーションズ/『NURO Wireless 5G』
コロナ禍のテレワーク需要の拡大などを受けてFTTH(光回線サービス)の需要は拡大している。その中でマンション設備が古いため、構内に光ファイバーを敷設できないユーザーも数多く存在している。『NURO Wireless 5G』は、ローカル5Gを利用した国内初となる集合住宅向け固定インターネット接続サービス。ラストワンマイルをワイヤレスで実現し、光回線の配線が難しい集合住宅でもコンセントに挿すだけで、高速インターネットが利用できる点が高く評価された。

 

■非地上インフラ分野 最優秀賞

 NTT スカパーJSAT/『宇宙データセンタ構想』
「Beyond 5G」を見据えた新たな通信インフラとして開発が進んでいるのが非地上(Non-Terrestrial)インフラである。地上から海、空、宇宙空間を3次元的につなぐ超広域ネットワーク網であり、これまで通信環境が整っていなかった場所でもインターネットへの接続が可能となる。災害時でも安定した通信を維持でき、IoT領域での新たなサービス開発なども期待されている。この非地上インフラ分野で最優秀賞を獲得したのがNTTとスカパーJSATによる『宇宙データセンタ構想』だ。観測データを光伝送し宇宙空間でのエッジコンピューティングを実現する構想。両社が進める「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の中核でレジリエントな通信インフラの構築が期待されている。

 

■ドローン分野 最優秀賞

 ジャパン・インフラ・ウェイマーク /『全方向衝突回避センサーを有する小型ドローンを活用したインフラ点検サービス』
ドローンの社会実装に向けた動きが進んでいる。エンターテインメント用途から産業用途まで幅広い分野での利活用が進みつつある。国内法の整備も着実に進んでおり、2022年12月の改正航空法の施行により、有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)が世界に先駆けて実現する見通しだ。この「ドローン分野」で最優秀賞に輝いたのが、ジャパン・インフラ・ウェイマークの『全方向衝突回避センサーを有する小型ドローンを活用したインフラ点検サービス』だ。ドローンを用いた橋梁や鉄塔などのインフラ点検で国内最大規模の実績を誇る。老朽化が進むインフラの維持管理負担の軽減や点検現場の安全性向上を実現。利便性や豊富な実績が高く評価された。

 

■MaaS分野 最優秀賞

あらゆる交通手段をシームレスにつなぎ、予約や決済も含めて、効率的かつ快適な移動をサービスとして提供するのがMaaS(Mobility as a Service)である。ビッグデータやAIによる予測・分析などを活かし、地域における移動手段の確保、公共交通機関の維持・活性化など社会問題の解決にもつながるサービスとして期待されている。このMaaS分野では、Community Mobilityと、Mobility Technologiesが最優秀賞を獲得した。

 Community Mobility/AIオンデマンド交通サービス『mobi』
Community Mobility は、ICTを活用し移動サービスにおける新たな価値創造をめざすWILLERとKDDIの合弁会社である。同社が提供する『mobi』はAIルーティングを活用したエリア定額乗り放題の相乗り型モビリティサービス。生活圏内の移動手段として、エリア内を自由に回遊することができ、暮らしの利便性向上および行動変容に繋がる取り組みが高く評価された。

Mobility Technologies/タクシーアプリ『GO』
Mobility Technologiesは、日本交通グループの子会社でタクシー配車サービスを提供するJapanTaxiと、DeNAのタクシー配車アプリ事業などが統合し2020年4月に発足。2020年9月にリリースしたタクシーアプリ『GO』は、ピンポイントな地点でタクシーを呼べるアプリ。クレジットカードなどの支払い手段登録で、乗車中に支払いが完了する「GO Pay」などの利便性と普及度合いが評価された。

 

■スマートシティ分野 最優秀賞

※「大賞」参照

 

■クラウドストレージ分野 最優秀賞

 Box Japan/クラウドストレージサービス『Box』
ワークスタイルの多様化や、コロナ禍でリモートワークや在宅勤務が浸透しつつある中、どこからでもファイルの共有や編集ができるクラウドサービスへのニーズが高まっている。『Box』は社内外のコラボレーションと業務プロセスに関するコンテンツを一箇所に集約して管理、保護、共有、制御できるクラウドサービス。ユーザー数の多さに加え、独自の機能を備えていることが高く評価され、クラウドストレージサービス分野で最優秀賞を獲得した。

 

■DX支援ソリューション分野 最優秀賞

デジタル技術を活用し、従来型の事業モデルや企業文化の変革をめざすDX(デジタルトランスフォーメーション)は多くの企業にとって喫緊の課題となっている。DXを支援する各種サービスの多様化と拡充が進んでおり、今回の「DX支援ソリューション分野」で最優秀賞に選出されたのが、oVice(オヴィス)とServiceNow Japanだ。

oVice/バーチャルオフィス『oVice(オヴィス)』
テレワークや在宅勤務などの新しい働き方が浸透するなかで、社員間のコミュニケーションやコラボレーションをいかに活性化できるかが課題となっている。バーチャルオフィス『oVice(オヴィス)』は、リモートワークの環境でもコミュニケーションを円滑化するサービス。Web上の仮想オフィスで自分のアバターを動かし、その場にいる人に話しかけることや、一緒に会議室に移動することなど、人との距離を感じられるところが高く評価された。

ServiceNow Japan/業務フローをデジタル化するクラウドサービス 『ServiceNow』
DXの推進にあたり多くの企業で課題となっているのが、サイロ化された組織やデータ、分断された業務フローなどの全体最適化だ。『ServiceNow』は、組織や部門を横断するあらゆる業務フローを単一の基盤上で構築できるクラウドサービス。国内パートナーとともにサービスを提供し、生産性向上に貢献した点が高く評価された。

 

■XR/メタバース分野 最優秀賞

HIKKY/実在する都市のメタバース化/パラリアル化を推進する『パラリアルワールドプロジェクト』
インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用した様々なサービスが登場している。現在はエンターテインメント分野が中心だが、ビジネス分野への広がりやスマートシティなどの街づくりへの活用も始まっている。このXR/メタバース分野で最優秀賞を獲得したHIKKYは、現実世界に実在する都市をメタバース化する『パラリアルワールドプロジェクト』を推進。今後5年以内に世界100都市のメタバース化を目指しており、その計画の壮大さとメタバース上での豊富な機能が評価された。

 

■スマートデバイス分野 最優秀賞

 ソニー 完全ワイヤレス型ヘッドホン『LinkBuds』
ここ数年でワイヤレスイヤホンの進化が急速に進んでいる。ソニーの完全ワイヤレス型ヘッドホン『LinkBuds』は、耳をふさがない構造のリング型ドライバーユニット搭載により自然な外音を取り込みながら音楽やゲームといったオンラインのコンテンツを楽しむ「ながら聴き」を実現。また、小型・軽量なデザインで、ヘッドホンの「常時装着」という新しいスタイルを提案した。5億サンプル以上のAIの機械学習でノイズを分離するアルゴリズムにより実現した高い通話性能なども評価された。

 

3. 話題賞

「話題賞」は日本マイクロソフト、グーグル合同会社、デジタルインボイス推進協議会、デジタル庁、Luupの5件となった。

日本マイクロソフト/DX推進のためのオンデマンド型クラウドサービス『Azure Functions』
『Azure Functions』は、マイクロソフトが提供するクラウドサービス。サーバーレスアーキテクチャを採用しており、サーバーの調達、構築、運用などを行う必要がなく、アプリケーション開発に専念できる。Azure上でコードを実行すればサーバーレスでWebAPIやWebサービスを効率的に作ることができる点が高く評価された。

グーグル合同会社 ビジネス向けブラウザ/OS/デバイスソリューション『Google Chrome OS™』
大企業だけでなく中小企業や教育現場など幅広い市場に急速に普及しているのがグーグル合同会社の『Google Chrome OS™』である。端末セキュリティ・管理機能などが充実しており、OSとブラウザに Chromebook 端末を組み合わせてシンプルな運用、安全なクラウド活用を実現する。組織で働く人々のデジタル変革を加速するソリューションとして高い評価を集めた。

デジタルインボイス推進協議会『デジタルインボイス推進の取り組み』
インボイス制度(適格請求書等保存方式)が2023年10月に導入される。消費税を納める企業や個人事業主は仕入税額控除を受けるための社内体制の整備などが喫緊の課題となっている。2020年7月に設立されたデジタルインボイス推進協議会は日本の事業者が安価で簡便に利用できるデジタルインボイスの仕組みの構築および普及を通じ、商取引をはじめとしたバックオフィス業務全般のデジタル化を目指して活動している。こうした一連の取り組みが高い評価を集めた。

Luup/電動マイクロモビリティのシェアリングサービス『LUUP』
『LUUP』は2020年5月に開始した電動マイクロモビリティのシェアリングサービス。電動アシスト自転車や電動キックボードを取り扱う。全国5都市の都心部に約1,300箇所のポートを設置。2022年4月には道路交通法が改正され、電動キックボードへの規制緩和に向けた動きが進むなど、これからの新しい交通インフラとして話題を集めている。

デジタル庁/『新型コロナワクチン接種証明書アプリ』
日本政府が公式に提供する、新型コロナワクチン接種証明書を取得できるアプリ。紙の接種証明書の取得に関る手間と時間を大幅に削減し、わずかな時間で接種証明書を発行できるようになった。マイナンバーカードの活用により複数の書類の提出が必要なくなったこと、誰もが使える直感的な操作性が評価された。

 以上、MM総研大賞2022は、大賞 兼 スマートソリューション部門賞1件、スマートソリューション部門賞11件、話題賞5件の合計17件となった。

 「MM総研大賞2022」概要

【参考1】 MM総研大賞2022の開催主旨

 「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICTの技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

 

【参考2】 表彰対象

 1.スマートソリューション部門  (9分野)
①ローカル5G分野
②非地上インフラ分野
③ドローン分野
④MaaS分野
⑤スマートシティ分野
⑥クラウドストレージ分野
⑦DX支援ソリューション分野
⑧XR/メタバース分野
⑨スマートデバイス分野

2.話題賞

3.大賞

 

【参考3】 評価基準 /評価方法

◆スマートソリューション部門

スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)、またノミネート企業に対するMM総研研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、受賞企業を決定する。

 

◆話題賞

「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。2021年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。

 

◆大賞

スマートソリューション部門賞、話題賞に選出された製品・サービスの中から、外部有識者を含む審査委員会が、「スマート社会への貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、大賞を選定する。

 

【参考4】 審査委員

審査委員長 村井純       慶應義塾大学教授

審査委員    天野肇     特定非営利活動法人ITS Japan シニアアドバイザー

審査委員  篠﨑彰彦   九州大学大学院 経済学研究院 教授

審査委員  林千晶      株式会社ロフトワーク 共同創業者

審査委員    西田宗千佳    フリージャーナリスト

審査委員  加太幹哉     MM総研 研究部長

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

担 当 : 池澤/上田

所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー

連絡先 : 03-5777-0161

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