MM総研大賞2022 <スマートソリューション部門>ドローン分野 最優秀賞全方向衝突回避センサーを有する小型ドローンを活用したインフラ点検サービス
株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク

2022年07月22日

独自ドローン技術で老朽化インフラ点検の課題を解決

 

エンターテインメント用途から産業用途まで幅広い分野でドローンの社会実装に向けた動きが進んでいる。この「ドローン分野」で豊富な実績や利便性を高く評価されて最優秀賞に輝いたのが、ジャパン・インフラ・ウェイマークの「全方向衝突回避センサーを有する小型ドローンを活用したインフラ点検サービス」だ。老朽化が進む社会インフラの維持管理負担の軽減や点検現場の品質・安全性向上を実現するサービスとして今、注目されている。

 

国内最大規模の実績を誇る

ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)は、2019年4月に設立。橋梁や鉄塔などのインフラ設備を対象に、創業から3年間で6,300以上の設備点検で同社のソリューションが活用されており、この分野では国内トップシェアとみられる。

同社の最大の強みは人にある。管理者経験のある保全技術者とハードウェア技術者、ソフトウェア技術者が緊密に連携して、現場から求められる製品や技術を開発する能力が高い。橋梁点検分野では、国土交通省の点検支援技術性能カタログに、「全方向衝突回避センサーを有する小型ドローン技術」として、JIWが米国メーカーSkydio社の協力を得て開発したドローンが登録されている。障害物回避の仕掛けはドローンに取り付けた合計6つのカメラ。リアルタイムに情報を収集、構造物との相対的な距離を自動的に把握して飛行するため、1.5メートルほどの狭い空間にも侵入させることができる。センサー類は使わず、カメラのみで自律飛行するため、磁場による影響なども受けない。同社が提供するドローンは、障害物を回避しながら、50センチまで構造物に近づいて撮影が可能で、ロープ作業により人が撮影したような高精細な画像を取得できる。0.05ミリメートルほどのひび割れを確認できるほどの精度がある。点検用ドローンの技術では世界トップレベルのデータ収集量と品質を誇る。

国内の裾野を広げ、海外展開も目指す

同社は「支える人を、支えたい」を理念に掲げ、「新たな点検手法を創造し、携わる全ての人が使えるようにすること」をビジョンに点検受託事業とプラットフォーム事業を展開する。自社で開発した製品や技術・点検ノウハウによって自らも点検事業を展開しつつ、日本全体でのメリット享受を目指して、それらを全国の同業他社に公開して技術習得を支援する事業も両立させている。その取り組みのひとつとして、同社は「点検用ドローン操縦士ライセンス」を発行。2022年6月時点で土木業界を中心に累計で860名のパイロットを輩出する。ライセンス取得後、同社のドローンを1週間単位でレンタルできるが、レンタル数は累計で約400台にのぼり、点検用ドローンの技術を外部に提供するビジネスモデルでも同社が先陣を切っている。2021年11月からは綜合警備保障と共同で橋梁点検の効率化を支援する「JIWオペレータ付きレンタルサービス」を提供開始。現地での空撮補助と空撮を行うオペレーター、ドローン機体をセットで提供する。

同社は点検支援の情報管理サイト「WayMark Portal(ウェイマークポータル)」も提供。ドローンで撮影した1,000枚近くの現場写真から点検箇所をすばやく見つけられるよう、3D化や動画再生、コマ送り、拡大縮小など点検用にカスタマイズされたツールが豊富に搭載されている。データの一元管理を進めることで、点検業務の大幅な効率化につながるという。

将来的に見据えているのが海外への展開だ。創業時からオーストラリアやタイ、インドネシア等のアジア地域を中心に現地パートナーと共に可能性を探っており、2023年度の海外展開開始を目指す。同地域も日本同様にインフラの老朽化が進んでおり、点検を含めた対応に様々な課題を抱えている。「これまで日本の先達はODAによってアジアのインフラ整備に貢献してきた。私たちの世代は、アジアを中心に世界中のインフラ維持管理にかかるコスト削減や品質と安全性の向上に貢献していきたい」と柴田社長の夢は大きい。

 

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。