バーチャル渋谷

70超の事業者・団体が参画

渋谷5GエンターテイメントプロジェクトはKDDIと、渋谷区の外郭団体である渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会の3社によって2019年9月に立ち上げた「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」がベースとなっている。渋谷に関連深い事業者と個別に協議し、2020年1月にプロジェクトのビジョンに共感した東急株式会社、渋谷PARCO、株式会社ベイクルーズなど32の事業者・団体とともに立ち上げた。

2021年6月現在、70以上の事業者・団体に拡大しており、渋谷区の後援を受けつつ取り組みを進めている。運営スキームとしては音楽、アート、バーチャルなどの領域ごとに複数の分科会があり、各事業者が関心に沿った分科会へ参加し、渋谷で実現したいアイデアを積極的に持ち寄って議論を重ね、迅速に都市実装してきた。

渋谷の街と先端テクノロジーの融合に取り組む

KDDIは渋谷における5Gネットワークを積極的に展開していたことに加え、スクランブル交差点など国内外から見ても象徴的な場所が存在し、かつ感度の高い若者が集まっていることから、au 5Gを使った先進的な取り組みに対して高い期待を持って進めている。

渋谷の街を舞台とした取り組みとして、未来の都市案内をコンセプトにARグラスなどARが見える眼鏡をかけると、VPS（Visual Positioning Service）を活用して現実の街に天気情報や「この方向に進むとこのような施設がある」などの案内を重畳させる取り組みや、街並みを美術館のようなアート展示場にするARアート、街を音楽プレイヤーに見立てて位置情報と音楽を紐づけたAIによる自動作曲、楽曲提供などを実施してきた。

リアル都市の拡張を見据えたバーチャルシティ

渋谷の街とテクノロジーが融合する取り組みを進める中、新型コロナウィルスによりリアルイベントの開催が難しくなったことに加え、ニュースではスクランブル交差点がコロナ禍における外出自粛を象徴する場所としてフォーカスされるなど、街自体の文化創出と維持が切迫する状況となった。こうした状況を5GやAR/VRなどの先端テクノロジーを活用して乗り越えようと立ち上げたのが、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」だ。

バーチャル渋谷では渋谷駅前のスクランブル交差点や渋谷モディ前などをリアルに再現しており、スマートフォンやPC、VRデバイスから参加できる。アバターを用いたトークイベントやパブリックビューイング体験などを提供しており、コロナ禍でもソーシャルディスタンスを気にせず友人同士や芸能人、有名なアーティストと触れ合いやコミュニケーションが行えるVRならではの体験が好評だ。実施したハロウィーンイベントには6日間で約40万人以上が来場した。リアルとバーチャルの渋谷を融合させるMR体験など、より現実の都市生活を拡張する体験・コンテンツも今後検討・提供していく予定だ。

2021年5月には原宿を模した「バーチャル原宿」エリアを拡張。原宿を象徴するラフォーレ原宿やスニーカー・ウェアを展開するatmosが出店し、コーディネイト展示や限定商品の提供を行った。バーチャル空間の店舗からECサイトへ誘導する導線も作成し、マネタイズの仕組みづくりにも取り組んでいる。原宿エリアの提供開始に合わせ、音楽イベントなどを実施する「バーチャル原宿 au 5G POP DAY OUT 2021」を開催した。

今後もバーチャルのみではなく、リアルな都市と接続した新しい体験を提供し続けていくとともに、ビジネス面での収益性検証と強化など、関連する事業社それぞれがより発展していくようなプロジェクトに取り組んでいく方針だ。

MM総研大賞について

「ＭＭ総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、ＭＭ総研が2004年に創設した表彰制度です。2021年度の今回が18回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■ＭＭ総研について
株式会社ＭＭ総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。