MM総研大賞2021 〈スマートソリューション部門〉 モバイル通信サービス分野 最優秀賞「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」
楽天モバイル株式会社

2021年07月19日

圧倒的な価格優位性と店頭対応を武器に3キャリアへ挑む

 

楽天モバイル株式会社の「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」は、ライトユーザーからヘビーユーザーまでのさまざまなユーザーのユースケースに対応する、毎月の利用状況に応じて料金が変わる柔軟でシンプルな料金プラン。1回線目は月間データ利用量が1GB以下の場合、プラン料金が0円。音声通話もコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を使用した場合、国内通話が無料(一部対象外番号あり)となる。

 

ワンプランで多様なユーザーニーズに対応

2020年4月8日に携帯キャリアサービスを本格開始した楽天モバイルは、圧倒的な低価格プラン、データ利用量に応じた段階的な料金体系、「Rakuten Link」アプリを使用した国内無料通話、eSIMやFeliCa搭載のオリジナル端末、300万人対象の1年無料キャンペーンなどを武器に、2020年12月までに200万超の申し込みを獲得した。そのような中、菅総理大臣による一連の値下げ発言によって、競合キャリアは相次いでオンライン申し込みに特化した低価格プランを発表。3キャリアの新プランは、月間データ利用量20GBで5分以内の通話かけ放題を含めた場合、税込3,000円前後と「Rakuten UN-LIMIT Ⅴ」プランを強く意識した内容であった。

対する楽天モバイルは、2021年1月29日に従来のプランをバージョンアップした「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を発表。新プランは、月額3,278円(税込)を上限とし、データ利用量に応じて段階的に料金が決まるワンプランを採用。月間のデータ利用量が1GB以下の場合は月額0円、1GB超~3GB以下で1,078円(税込)、3GB超~20GB以下で2,178円(税込)、20GB超からは無制限で3,278円(税込)。また、「Rakuten Link」アプリを利用した国内通話が無料である点、2021年夏頃を目途にメール機能が利用可能となる点、店舗での申込みやサービス・製品の説明が受けられる点など、3キャリアのオンライン専用プランに対する優位性も確保されている。「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」開始後も新規獲得は好調を維持しており、5月11日時点の累計契約申込数は410万回線を突破した。

楽天経済圏とのシナジーでモバイルビジネスをゲームチェンジ

「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の開始に伴い、参入当初に計画していた顧客単価は大幅に減少することが予想される。しかしながら、モバイル事業単体の収支だけではなく、楽天グループが展開するさまざまなサービスとのクロスユースを活性化し、楽天経済圏全体の収益が増加することで十分にカバーできると見込む。同社が発表した資料によると、楽天モバイル契約者における新規楽天会員の割合は2021年3月時点で18%。徐々に楽天の新規会員獲得への貢献度が高まっている。また、楽天モバイルユーザーは、契約後半年から1年以内に「楽天市場」で約30%、「楽天ペイ」で約15%、「楽天カード」で約15%、「楽天銀行」で約10%のユーザーが新たにサービスの利用を開始しているという。楽天グループが提供する「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」は、各種サービスを利用するにつれて、楽天市場のお買い物で付与されるポイントの倍率が増加する。楽天モバイルユーザーにも+1倍、楽天モバイルキャリア決済を月に2,000円以上のご利用で+0.5倍のインセンティブがあり、シナジーを生み出すドライバになっている。

また、ECやクレジットカード、ポイントサービスを筆頭とする楽天経済圏の各種サービスは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが提供する同種のサービスに対して先行の利がある。この先、非通信分野の利益を武器として、より踏み込んだモバイルサービスの改革を行うことが可能だ。その時はモバイル業界にゲームチェンジをもたらすことになるだろう。また、最後発キャリアであるが故の悩みであるエリア展開については、当初計画では2026年3月末に予定していた人口カバー率96%を5年ほど前倒し、今年中には達成する見込みである。さらに、2023年以降には地球低軌道の宇宙空間にある人工衛星を使ってモバイル通信サービスを提供し、山岳地帯や離島を含む日本全土の100%をカバーする計画だ。

エリアおよび通信品質面で3キャリアをキャッチアップした際には、非通信サービスや圧倒的に魅力的な料金プランを武器に、モバイル業界のゲームチェンジャーとして飛躍が期待される。

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2021年度の今回が18回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■MM総研について
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