MM総研大賞2023 <スマートソリューション部門>光伝送機器分野 最優秀賞光伝送システム「FUJITSU Network 1FINITY シリーズ」富士通株式会社
2023年09月07日
光ネットワークの大容量化と
低消費電力化を実現
光伝送機器をWDM(波長分割多重)、トランスポート、スイッチなどの機能に分離しブレードで提供。必要な機能を選択してネットワーク構築できるため、低コスト化や低消費電力化に貢献。持続可能な社会を実現する製品として評価され、スマートソリューション部門光伝送機器分野で最優秀賞を受賞した。 |
「FUJITSU Network 1FINITY シリーズ」を活用したネットワーク構成例
出典:富士通
光ネットワークのオープン化をリード
富士通は、世界に先駆けてディスアグリゲーション構成の光伝送システム「FUJITSU Network 1FINITY
シリーズ」を商用展開し、光ネットワークのオープン化をリードしてきた。従来は、WDM、トランスポート、スイッチなどの機能をひとつの装置で提供していたが、各機能をブレードタイプの装置に分割し、ソフトウエアのSDNコントローラ―で統合管理。必要な機能のブレードを選択して設置することで、ネットワークの設備投資コストや消費電力を低減できる。
通信事業者やデータセンター事業者は、データトラフィックの増大や電力消費量の問題を抱えている。そのため、迅速に機能追加や大容量化できる光伝送システムが求められていた。WDMやトランスポートは、それぞれ数年ごとの技術革新により性能が向上する。機能ごとに最新の技術を搭載したブレードを導入することで、ネットワークを継続的に進化させることができる。また、オープンインターフェースを採用することで、ベンダーロックインから脱却し、機能ごとに優れたベンダーの機器を組み合わせてネットワークを構築できるようにした。
世界最高クラスの1.2Tbps 光伝送を製品化
2023年2月に世界最高クラスとなる光1波あたり1.2Tbps(テラビット/秒)の大容量長距離伝送が可能な「1FINITY Ultra Optical System」を製品化した。トランスポートの光送受信機「1FINITY T900」と光波長多重装置の「1FINITY L900」で構成される光伝送システムで、ネットワークインフラの大容量化と脱炭素化に貢献する製品としてグローバルに提供する。
「1FINITY T900」は、新たに開発された高性能コヒーレントDSPおよび超高速CDM(Coherent Driver Modulator)を採用することで、従来の速度の2倍以上の高速信号伝送を実現。さらに、独自のクローズドループ水冷技術により、従来の空冷システムと比較して2倍の冷却能力と静粛性を高めた。
「1FINITY L900」は、従来それぞれ別の装置で扱ってきたCバンドおよびLバンドを1台の装置で扱い、光ファイバー1本あたりの通信容量を拡張するC+L ROADMアーキテクチャーを採用。また、光信号を送信する際に到達距離や伝送容量を向上させることができるフォワードラマン増幅の技術を搭載した。ネットワークを効率的に拡張するとともに、機器の設置数と消費電力を削減し、光ネットワーク全体の脱炭素化に貢献する。
オールフォトニクス・ネットワークの構築に貢献
1FINITY Ultra Optical Systemは、NTTが日本全国をカバーする次期光コアネットワークの構築に向けた検証機に採用された。IOWNのオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の構築を支える製品として活用される予定だ。大容量伝送、低遅延、低消費電力などの機能やオープンアーキテクチャーシステムが評価され、富士通が開発パートナーに選ばれた。都市部での1.2Tbpsでの伝送や遠隔地をつなぐ長距離区間の800Gbps伝送など、用途に合わせて製品が提供される。
富士通は、APNの導入で先行する日本や長距離の大容量伝送ニーズが高い北米をはじめ、グローバルに製品を提供。2030年までに3000億円規模のビジネスに成長させる考えだ。