MM総研大賞2023 話題賞新しい未来のテレビ「ABEMA」
株式会社AbemaTV

2023年08月31日

2022年FIFAワールドカップ全試合を無料で生中継し
安定かつ高品質な視聴体験を提供

 

サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資して設立したAbemaTV は2016年4月、動画配信サービス「ABEMA」を開局して以降、無料で様々なジャンルの番組を配信している。MM 総研大賞2023では「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の全64試合を無料で生中継し、安定かつ高品質な視聴体験をユーザーに提供したことが高く評価された。

アプリダウンロード数9600万件を突破

ABEMAは「新しい未来のテレビ」をコンセプトとして掲げる。無料で気軽に楽しんでもらいたいという想いから煩わしい会員登録は不要としている。コンテンツは24時間編成のニュース専門チャンネルをはじめ、スポーツ中継やアニメ、オリジナルのバラエティー、恋愛番組、ドラマなど多岐にわたる。チャンネル数は編成にあわせて自由に増やしたり減らしたりできるが、おおよそ25チャンネル程度を常時配信している。また他社が有料で配信しているコンテンツ(英国のサッカー「プレミアリーグ※」や米国の「MLB(メジャーリーグベースボール)」)なども一部無料で配信している。

視聴方法はリニア放送だけでなくオンデマンド配信にも対応する。端末はスマートフォンやタブレット、パソコン、テレビ、Nintendo Switchなどのゲーム機にも対応するため、時間や場所に囚われず視聴できる。番組をみながらリアルタイムでコメントできる機能も搭載しており、一人で楽しむだけでなく、他のユーザーのコメントを見ながら視聴することで、他の視聴者と一緒に楽しんでいるような気分が味わえるという。また月額960円(税込み)を支払うことで有料会員向けサービス「ABEMAプレミアム」を利用することができる。「ABEMAプレミアム」限定のコンテンツが視聴できるほか、動画のダウンロード、追っかけ再生機能、見逃しコメント機能などがある。2023年4月、アプリのダウンロード件数は9600万を突破した。
※ 2022-2023シーズン中のみ配信する。オフシーズン中は視聴不可。

2022 FIFA ワールドカップ全試合を無料生中継

2022年11月20日から12月18日の約1カ月間開催されたFIFA ワールドカップ カタール 2022(以下W杯)。地上波でも一部試合を中継していたが、国内で全試合生中継したのはABEMAのみだった。W杯開催前から「全試合生中継」が話題になっていたが、前評判通り視聴者数は爆発的に伸びた。11月21日からグループステージ第1、2戦目が行われた11月27日までの「ABEMA」の1週間の視聴者数は3000万人を突破し、開局史上最高数値となった。また日本代表が決勝トーナメント進出を決めた対スペイン戦が放送された12月2日の1日の「ABEMA」視聴者数は1700万を突破し、これも開局史上最高を記録した。

W杯の全試合無料生中継に至った背景には、国際的な大会を多くの人に届けたいという想い、2016年に開局したABEMAが技術的にもサービスとしても当初はできなかったようなチャレンジ(W杯全64試合を中継する)をすると決断できる体力がつき、サイバーエージェントの後押しがあったこと、サービスとしてのステージをもう1段上に押し上げたいという想いなどがあったという。

開局史上最大視聴者数でも高品質で安定した映像体験

W杯全64試合の生中継によってABEMA開局史上最大のトラフィック(通信量)を獲得した。全64試合生中継にあたって、過去最大の視聴者数となることが想定された。そのため大規模配信システムをクラウドサービス上に構築し、アプリケーションはGoogle Cloud PlatformのGoogle Kubernetes Engine(GKE)を活用したマイクロサービス、映像配信処理についてはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のマネージドサービス「AWS Media Services」シリーズを活用した。加えて多くの視聴者に安定した映像を届けるため、Contents Delivery Network(CDN)としてAkamai/AWSのAmazon CloudFrontを併用した。その結果、大規模な配信キャパシティと耐障害性を確保しつつ、高品質な視聴体験を届けることができたという。

今回のW杯をきっかけにマルチデバイスでの利用やマルチアングル機能など、ABEMAを多くの人に知ってもらえたという。ユーザー数も増加傾向にある。法人からの注目度も高まり、ABEMAにメジャーなコンテンツが持ち込まれるようになってきた。2023年2月にはNetflixとコンテンツパートナーとしてプロジェクトを始動。今後、ABEMAはさらなる規模の拡大とマネタイズ強化を目指すという。