MM総研大賞2022 <スマートソリューション部門>XR/メタバース分野 最優秀賞実在する都市のメタバース化/パラリアル化を実現する「パラリアルワールドプロジェクト」
株式会社HIKKY

2022年07月22日

世界100都市のメタバース化を通じ、
誰もが利用できる空間へ

 

仮想現実(VR)サービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは、これまでに世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」の運営をはじめ、渋谷や秋葉原の街をメタバース上で再現するなど、日本のVR市場をけん引してきた。同社は2022年2月、5年以内に世界100都市をメタバース化する「パラリアルワールドプロジェクト」を立ち上げた。その計画の壮大さやメタバース上での豊富な機能が評価され、スマートソリューション部門XR /メタバース分野で最優秀賞を受賞した。

誰もが使えるメタバースを

HIKKYは誰もが使えるオープンなメタバースを目指している。そのステップのひとつとして、自分たちの住んでいる都市をメタバース化していくパラリアルワールドプロジェクトを展開。メタバースを身近に感じてもらい、その活用を一般化させていくのが狙いだ。同社が提供する、仮想空間を用いた自社サービス展開をサポートするVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を使えば、スマートフォンやパソコンなどのブラウザ上でURLをクリックするだけでアクセスでき、自分たちの思うような世界を作ることができる。

HIKKYのメタバース上では様々なものが実現できるが、ひとつ例を挙げると、メタバース化された都市での出展がある。同社ではこれまでに、出展者と来場者がアバターの姿で参加し、デジタル商品やリアル商品を売買するバーチャルマーケットというイベントを2018年から計7回開催している。現在では、1回あたり2週間~3週間の会期中に、世界中から100万人以上が訪れる規模にまで発展した。出店する店舗は実在の店舗のようなデザインのほか、物理法則を無視したメタバースならではのデザインを施すこともできる。

バーチャルならではの接客もポイントだ。バーチャルマーケットに参加したアパレルブランドのビームスは、店舗スタッフが交代でVRヘッドセットとコントローラーを使って身ぶり手ぶりでスタッフアバターを操作し、声でコミュニケーションを取りながら接客した。リアル店舗では店の中だけで接客を行うが、バーチャル店舗では客と一緒に店舗外のイベントに参加するなど、バーチャルならではの出来事も見られた。最終的にビームスは想定を上回るデジタル商品の売り上げを得たという。

すでにメタバースのユースケースはほぼ全ての産業に広がりを見せている。パラリアルワールドプロジェクトの発表後、大企業のみならず地方自治体や商店街、少年野球団など様々な方面から問い合わせがあり、今後も多くの場面で利用されるようになるだろう。その他、長時間待たされるような行政手続きなどの現実世界が抱える課題解決や、教育においては、どこからでもアクセス可能なメタバース空間上であれば地方の教育格差の解消などにも期待できる。

バーチャルで自分らしい生き方、働き方が可能に

VR上では、自分のアカウントで本名を出さず、性自認に基づいたアバターを作ることもでき、ハンディキャップなどを感じることなく社会で活躍できる。これはHIKKYがVR事業を進めてきた理由のひとつでもある。これまでは、自宅にいながら対面でなくてもコミュニケーションを取れるツールが無かったため、そうした人たちが活躍できる場には限界があった。VR上で働くことができれば理想的であったが、創業当時はVR空間の中に経済圏が無かったため、その経済圏を作り出すべく、イベントによって人を集めるなどして発展させてきた。現実世界では能力を最大限に発揮できなかったクリエイターも、今後はこのVR上で活躍できる。メタバースは世界中の大きな課題を解決する可能性を大いに秘めている。今後もメタバースを活用し、ビジネスや生活の豊かさに繋がる活動をしていく方針だ。

 

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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