MM総研大賞2022 <スマートソリューション部門>MaaS分野 最優秀賞タクシーアプリ「GO」
株式会社Mobility Technology

2022年07月22日

スムーズな乗降を実現しつつ業界の課題解決にも貢献

 

Mobility Technologies(MoT)が2020年9月にサービス提供を開始したタクシーアプリ「GO」。日本全国のタクシー22万台のうち約半数をネットワークでつなぐ、国内最大規模を誇るタクシーアプリだ。ピンポイントな地点でタクシーを呼べるだけでなく、乗車中に支払いを完了できる仕組みや細かな車両の条件指定など、オプションサービスの充実度も評価され、スマートソリューション部門 MaaS分野で最優秀賞を受賞した。

タクシーに未来をのせて

MoTは「JapanTaxi」アプリなどを運営するJapanTaxiと、DeNAのタクシーアプリ「MOV」や「DRIVE CHART」などが事業統合し、2020年4月にスタートした会社だ。Japan Taxiの強みはサービス提供エリアの広さと提携台数に加え、タクシー専用ハードウェアなどのサービス開発力だ。一方のDeNAのMOV事業は、神奈川・東京・京阪神エリアに事業基盤を持ち、AIやインターネットによる技術開発・サービスづくりを得意としていた。両社は、タクシーアプリの普及拡大と、厳しい市場環境の中で強固な経営体制を築くため、事業統合に至った。GOは「JapanTaxi」アプリ及びMOVの正式な後継アプリとして誕生した。

支払いの手間を省きスムーズな降車を実現

タクシーアプリは他にも存在するが、GOの特長のひとつに「GO Pay」を活用したスムーズな支払いが挙げられる。GO Payは、事前にクレジットカードなどの情報を登録しておけば、乗車中に後部座席タブレットを操作するだけで支払いが完了し、スムーズに降車できる。アプリからタクシーを呼んだ際には、その操作すら不要だ。

他にも、「AI予約」や「こだわり条件」といったオプションサービスの充実も特長のひとつ。AI予約は、事前に利用したい時間を指定すると、AIが指定時間前後に手配できる車両の数を計算。自動的に空車車両を探し、従来よりも効率的に配車される。こだわり条件は、スライドドアや車いす対応車といった車種などの条件を細かく設定して呼ぶことができ、こうしたオプションの活用も利用者の間では定着してきている。

現在GOはタクシーアプリダウンロード数トップを誇り、提供エリアも20都道府県以上に上る。配車数も提供開始から1年で5倍にまで成長した。2022年4月に一部地域で導入した静岡県の伊豆箱根交通は、導入後1カ月間の1日平均利用件数が導入前の約9倍にあたる60件ほどに増え、ゴールデンウィークだけで見ると約14倍の件数になった。

コロナ禍では全国的に人の移動が減少し、駅や商業施設で待機するといった従来の営業スタイルで利用者を獲得することが難しくなったが、GOを導入していたタクシー事業者からは「アプリからの送客でなんとか経営を維持することができた」と感謝されているようだ。利用者からも「コロナ禍で移動が不安な中でもアプリでタクシーが呼べるため、屋内待機が可能で助かった」などといった声が届いたという。

請求書払いの法人向けサービスも好調

法人向けサービスである「GO BUSINESS」も好調だ。GO BUSINESSを導入すると、社員のタクシー利用を請求書払いにでき、個人の立て替えや経費精算が不要になる。企業側も、タクシー利用を一元管理・可視化することで、適正な利用を促せるため、コンプライアンス遵守にも効果がある。2021年10月に提供を開始し、これまでに900社以上が導入している。社用車を使用していたが、請求書払いでの管理もできる上、運転のプロに任せられるという理由から導入した企業もあった。

提携タクシー車両の多くにはGOのラッピングが施され、街中を走る広告として認知度向上に大いに貢献している。グループ会社のIRISで展開するタクシーデジタルサイネージや、主要都市圏でタクシーがよく使われる場所での大型屋外広告など、デジタルとリアルを組み合わせ、各地域にも最適化させた複合的なマーケティングを展開している。今後もサービス提供エリアの拡大と、サービスの拡充を図ることで利用者のさらなる獲得につなげていく。

 

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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