半径約2kmのエリアを定額で何度でも利用可能

mobiは相乗り型のモビリティサービスで、半径約2kmのエリア圏内を運行する車両を、アプリや電話から配車してエリア内に設定されている仮想バス停から自由に乗り降りできる。車両はAIルーティングによって予約状況に応じた最適なルートを運行している。

利用料金は、定額でエリア内が乗り放題になるプラン（定額乗り放題プラン）と都度利用ごとに支払う（ワンタイム乗車）方法が用意されている。定額乗り放題プランの場合は30日間5000円で利用でき、同居する家族6人までは一人当たり500円で追加登録できる。都度支払いの場合は、1回あたり大人300円、こども150円で利用できる。

サービス提供エリアは2022年6月現在、東京都の渋谷区と豊島区、愛知県名古屋市の千種区、大阪府大阪市の北区、福島区、京都府の京丹後市の6カ所で、その他複数カ所でもエリア拡大が検討されている。国外ではシンガポールとベトナムでもサービスを提供しており、国内のアプリをそのまま利用して同様のサービスが利用できる仕様となっている。

mobiは2021年6月に、高速バス「WILLER EXPRESS」や京都丹後鉄道などを手掛けるWILLERが提供を開始したサービスだ。車を所有する人所有しない人の移動格差をなくし、生活圏内における移動手段として提供することで、公共交通の活性化や地域課題の解決につなげることが狙いだ。2022年1月には、「Community Mobility」を設立。同年4月からは、通信や情報分野での知見を取り入れる形でKDDIとの合弁会社となった。WILLERのモビリティサービスで培ってきたITマーケティングシステムや運行のノウハウに、KDDIの通信分野に関する知見や人流データなどを掛け合わせ、mobiを通じた交通課題のさらなる解消や交通業界のDX化に取り組んでいる。

ユーザーファーストでテクノロジーを活用

mobiの特徴のひとつに、ITテクノロジーを活用して現在のユーザーニーズを見定め、更なるサービス向上に取り組んでいるユーザーファーストな姿勢が挙げられる。配車依頼があった際は、AIによるリアルタイムなルーティングやマッチングによってユーザーの予約状況や道路状況を考慮して、最適なルートで目的地まで移動ができるなど、その瞬間の需要を踏まえた効率的な移動を実現している。乗降場所である仮想バス停は約200mおきに設置。その数の増減や設置場所の変更などは、利用者の声やニーズに合わせて最適なものになるよう随時調整している。200mという距離も、歩いて移動するのに負担にならない距離としている。

利便性向上やサービス改善に向けて定期的にアンケートを実施しているほか、自治体や自治会などの地域コミュニティにヒアリングに向かうなど、ユーザーと共にサービスを作り上げていくことに取り組んでいる。

30歳代～ 40歳代の子育て世代から好評

他のサービスとの棲み分けとして、バスやタクシーは目的地までを直線的に結ぶ手段だが、mobiは半径約2kmの生活圏内を面として回遊できる交通手段となっている。そのため、主な利用者として、生活圏内をマイカーや自転車、徒歩などで移動する人々が想定されている。

実際の主な利用者としては、どの地域でも、小さな子どもがいる30代、40代の子育て世代が多く、利用者の約半数を占めている。特に働くママさんからは、車を気軽に利用できることで、子どもを連れた買い物や用事での移動や、保育園や習い事への送り迎えの際などにストレスなく移動できることや、車内では子どもと向き合ってコミュニケーションできる時間が増える点が好評だという。

今後も引き続き、移動格差の是正や、地域それぞれの課題とニーズにフィットするサービスの構築に取り組みつつ、カーボンニュートラルの実現に向けて、車両のEV化や自動運転の導入などの検討も進めていく方針だ。

 

MM総研大賞について

「ＭＭ総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、ＭＭ総研が2004年に創設した表彰制度です。2022年度の今回が19回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■ＭＭ総研について
株式会社ＭＭ総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。