MM総研大賞2021 審査委員賞「機械学習、ディープラーニング技術を活用したアルゴリズムプロダクト」
株式会社PKSHA Technology /株式会社BEDORE

2021年07月19日

最先端の研究成果を社会に還元

 

自動運転、スマートシティなど大手企業が掲げる戦略に「AI」は当たり前になった。PKSHA Technology(本社:東京都文京区、上野山勝也代表取締役、以下PKSHA=読みは「パークシャ」)はこうした企業を相手に、AIのアルゴリズムモジュールやソフトウェアを提供する。トヨタ自動車、ドコモ、東京海上HDなど各業界の大手を顧客に抱え、設立後5年でマザーズ上場を果たした。主要ソフトウェア「BEDORE(ベドア)」の導入は大手を中心に100社を超えており、PKSHAの2021年9月期は連結売上高100億円も視野に入れる。同社のアルゴリズム関連技術の専門性や実績、将来性などが評価され、「MM総研大賞2021」で審査委員賞を受賞した。

 

PKSHAの事業モデルと代表的なソフトウェア

従業員の半数がAIエンジニアや研究者

PKSHAは第三次AIブームの2012年設立。AI関連の「最先端研究」に多くのリソースを投じており、研究成果をすぐ事業に反映できることが強みだ。「研究」といえば大学などアカデミアが中心だが、その成果は実用まで至らないことが多い。同社は「未来のソフトウェアを形にする」とのビジョンを掲げ、研究成果の社会実装を進める。

グループ全体で250人弱の従業員を抱えるが、その中には多くのAIのエンジニアや研究者が含まれるという。代表取締役の上野山氏もボストンコンサルティンググループなどで活躍したのち、AI研究で有名な東京大学の松尾豊研究室で博士号を取得した研究者だ。

最先端のAI研究成果を活かし、2つの事業を手掛ける。ひとつが機能特化型のアルゴリズムモジュールを提供するソリューション事業。もうひとつはアルゴリズムをベースにしたSaaS型ソフトウェアプロダクト事業だ。

AIアルゴリズムでトヨタなど業界大手を開拓

ソリューション事業では、独自開発したテキスト理解、対話、画像/映像解析、異常検知、行動理解などのモジュールを組み合わせ、顧客の製品やサービス、業務プロセスにAIを組み込む。顧客と一から開発に挑むモデルではないため、効率的にAIを実装できる。アルゴリズム提供のため、業界にも囚われない。例えばクレディセゾンなどと提携し開発した「クレジットカードの不正検知システム」、ベネッセと開発した生徒のログを解析し最適な学習を促す教育アプリ「AI StLike」などがある。さらに、各業界で得た知見や新たに開発したアルゴリズムを横展開できる。

ソリューション事業ではMobilityやMaaSの領域にも注力する。外部株主筆頭であるトヨタ自動車とは自動運転などの領域で提携するほか、デンソーと提携、MONETコンソーシアムへの加入など結びつきを強める。一方、アルゴリズムを搭載した駐車場ソリューションを自社独自で提供し、売上を拡大している。

BEDOREは大手100社以上が導入

SaaS型ソフトウェアプロダクト事業では、自社のアルゴリズムを活用し、業界や業務・用途に特化したAIプロダクトを提供する。ソリューション事業を進める中で、共通のニーズを探り当て、製品化したものだ。中でもコミュニケーションの自動化・効率化を支援する対話エンジンBEDOREの導入が進む。同事業は子会社の株式会社BEDORE(本社:東京都文京区、下村勇介代表取締役社長)が担う。

BEDOREは問い合わせ対応で利用されることが多い。コールセンター、社内ヘルプデスク、公共機関、大学での事例が多く、大手を中心に100社以上の導入実績がある。コールセンターに寄せられる問い合わせの8割は、実は用意している回答の2割で対応できる内容で、スタッフからすれば繰り返し同じ内容を答えている状況だという。まずはこの部分をBEDOREのチャット型対話エンジンによる自動応答で自己解決を促す。さらに、人による対応が必要な残り2割は対話エンジンが事前に要件をヒアリングした上で、オペレーターが直接対応にあたる。コロナ禍でコールセンターにも三密回避や在宅ニーズがあり、対話エンジンやチャットボットなどの導入が進んでいる。

BEDOREは事業拡大を図るべく、2021年6月には株式会社オウケイウェイヴが持つ法人向けFAQマネジメントサービス「OKBIZ」を事業買収した。下村社長は「両社はアプローチこそ異なるが、コールセンターに問い合わせる手前で解決するソリューション。強くタイアップすることで新しい体験価値を提供できる」と意気込む。

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2021年度の今回が18回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。