MM総研大賞2020 話題賞「あつまれどうぶつの森」
任天堂株式会社

2020年09月14日

「自分だけの島」でもう一つの“生活”が楽しめるコミュニケーションゲーム

 

新型コロナウイルスの感染拡大で世界中の人が外出自粛を迫られる中、現実と異なる「もう一つの世界での生活」が人々の大きな癒しとなった。それを提供したのが、任天堂が2020年3月に発売したコミュニケーションゲーム「あつまれどうぶつの森」だ。ファンの間では「あつ森」の略称で親しまれている。ゲームの中の世界で家族や友達とコミュニケーションがとれる従来からのシリーズ作品の楽しさに加え、DIYや「たぬきマイレージ」といった新要素によってより魅力的な作品へと進化している。

現実の時間との連動、コミュニケーション要素が大きな特徴

「どうぶつの森」シリーズは2001年にNINTENDO 64向けのゲームソフトとして第1作が発売された。以来任天堂の主要なゲーム機向けにシリーズ作品が制作され、人気を高めてきた。今作「あつまれどうぶつの森」はスピンオフやスマートデバイス向けの作品を除くとシリーズ7 作目にあたり、現在販売しているゲーム機Nintendo Switch向けに制作された作品となる。

このシリーズに共通する最大の特徴は現実の時間との連動である。プレイヤーは、現実と同じ時間が流れるゲームの世界で、村の住人となって自由な暮らしを楽しむ。時間帯や季節ごとに採れるムシや釣れるサカナが変わり、お正月からクリスマスまで現実で起こるさまざまな出来事がゲームの中でも発生する。一年を通してゲームの中の世界で遊びの変化を体験しながら長く楽しめる要素が豊富に入っているのだ。例えば釣り、ムシとり、化石発掘、花を育てるといったアウトドアの遊びからインテリアやファッションのコーディネートというように、世代や性別を問わずに多様な趣味が楽しめるさまざまな遊びが取り入れられている。プレイヤーはその中からどれを遊ぶか、もしくは遊ばないかを自由に選択でき、それによって住んでいる村に個性が生まれる。

シリーズのもうひとつの特徴が、家族や友達とのコミュニケーション要素といえる。プレイヤーはローカル通信またはインターネット通信を使って、同じゲームを遊んでいる家族や友達を自分の村に呼んだり、逆に家族や友達が住んでいる村に出かけたりする。SNSとは一味違う、ゲームの世界を通じたコミュニケーションを図れることが、人気を高めていった大きな要因となっている。

無人島で一から生活道具をつくるクリエイト機能を追加

「あつまれどうぶつの森」ではそうした従来のシリーズ作の魅力はそのままに、多くの新要素によってさらに魅力的な作品へと進化した。中でも最も大きな新味は、クリエイト機能の大幅な強化である。舞台はこれまでのシリーズ作品とは異なりすでにある村ではなく無人島となる。プレイヤーはゼロの状態から自分だけの村を作っていく。そこで新たに用意されたのがDIYである。移住したての島には人工物はほとんどないが、プレイヤーは木や石など島にあるものを材料にしてスコップ、つりざお、オノといった道具を作っていく。そうした道具を使って家具などを作り、島での暮らしを充実させていく。島の発展自体がゲームの大きな目的の一つとなっているのだ。そしてある程度島を発展させていくと、「島の評判を上げる」という新たな目標が設定される。この段階まで進むとさらに大規模な工事もできるようになり、橋や坂、道や川や崖といった島の地形そのものをプレイヤーが作りかえられるようになる。まさに自分だけの島を自由に作っていく楽しみが味わえる。

このように選択肢が増えると、逆に何をしてよいのか迷うプレイヤーも出てきてしまう。そのために新たに用意されたのが「たぬきマイレージ」である。プレイヤーにミッションを提示して、それをクリアしていくと「マイル」がたまって、アイテムなどと交換ができるシステム。これによって、初めてのプレイヤーでも迷わずに行動ができる仕組みとなっている。

発売から3カ月余りで2000万本を突破

こうした点が評判となり、「あつまれどうぶつの森」の全世界の出荷本数は2020年6月末時点で2240万本に上っている。ゲームソフトは通常クリスマス・お年玉需要が見込める年末年始に売り上げが集中する傾向があるが、年末年始をまだ一度も経ていないのにこれだけの本数を記録していることは異例と言える。世界のファッションブランドや美術館、自治体などがデザインした衣装をゲーム内で独自に配布するといった話題性もあり、プレイヤー層も老若男女問わずに広がっている。

今後も季節のイベントなどに合わせて無料アップデートを予定するなど長期間に渡って楽しめる仕掛けを準備している。このことから、今冬の年末年始商戦に向けてさらに売り上げを伸ばしていくことは間違いないだろう。

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2020年度の今回が17回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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