大賞は理研/富士通のスパコン「富岳」

MM総研大賞2020を発表

2020年09月02日

■最高賞の大賞は、理化学研究所/富士通のスーパーコンピュータ「富岳」

■スマートソリューション部門賞はZOOM、NTTドコモ、楽天モバイル、NECなど9件

■ものづくり優秀賞はサムスン電子、話題賞はマイクロソフト、任天堂など4件に


ⅠCT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、「MM総研大賞2020」 (審査委員長:村井純 慶應義塾大学教授)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門賞(分野別最優秀賞)」「ものづくり優秀賞」「話題賞」を決定した。MM総研大賞はICT分野の市場、産業の発展を促すことを目的に、2004年に創設した表彰制度で、今回が17回目となる。


最高賞となる大賞は、これらの中から最もICT産業の発展に寄与すると評価できる製品・サービスを選んだ。次世代のスマート社会を支える技術やサービスを表彰するスマートソリューション部門では、設定した9分野ごとに「最優秀賞」を選定した。ICT分野にとどまらず社会的に大きな話題になった製品やサービスを「話題賞」として、また、“ものづくり”の分野で代表的な商品を「ものづくり優秀賞」として、それぞれ選出した。

最終選考では村井純氏を審査委員長とする審査委員会での厳正な審査の結果、下記15の製品・サービスが選出された。

 1. 大賞  

理化学研究所/富士通 スーパーコンピュータ『富岳』
「大賞」は理化学研究所と富士通のスーパーコンピュータ『富岳』に決定した。世界のスーパーコンピュータの性能ランキングである第55回TOP500リストで第1位を獲得。2011年の「京」以来、8年半ぶりに世界一を奪還し、同時に「Graph500」など3部門においても1位を獲得。世界初の同時4冠という快挙を成し遂げ、日本の技術力の高さを世界に示した。

利用者視点に立った設計思想の下に開発され、新型コロナウイルス感染症の対策に貢献する研究にも活用されるなど、今後の活用にも期待が集まっている。審査委員会では、日本発のものづくり技術が世界一を獲得し、日本を元気にした点が高く評価された。また、今後のデジタル革命を支えるプラットフォームとして高く評価し、「ものづくり優秀賞」に選出した。そして、今回選出された全15商品・サービスの中で最高の評価に値すると判断し、MM総研大賞2020の「大賞」を獲得した。

2. スマートソリューション部門賞

 スマートソリューション部門では9分野で、下記の9製品・サービスが最優秀賞に選出された。

 ■MaaS分野 最優秀賞

JR東日本/JR北海道/JR西日本『新幹線eチケットサービス』
 従来の移動手段にとどまらない、新たな移動サービスとして注目されているのがMaaS(Mobility as a Service)である。自動車メーカーをはじめ異業種からも参入が相次ぎ、世界中でサービス開発が進んでいる。この「MaaS分野」で最優秀賞に輝いたのがJR東日本/JR北海道/JR西日本の3社による『新幹線eチケットサービス』だ。交通系ICカードやモバイルSuicaを使って、東北、北海道、上越、北陸、山形、秋田の各新幹線に乗車できるチケットレスサービスであり、その利便性の高さが評価された。

 

■モバイルネットワーク分野 最優秀賞

楽天モバイル『完全仮想化ネットワーク』
5G商用サービスの開始など、急速に進化する「モバイルネットワーク分野」では、楽天モバイルの『完全仮想化ネットワーク』が最優秀賞を獲得した。楽天モバイルでは、無線アクセスネットワークからコアネットワークまでのエンドツーエンドを、世界で初めて完全仮想化した。ネットワークとオペレーション双方が自動化したクラウドネイティブのモバイルネットワークであり、新世代ネットワークとしての革新性が高く評価された。

 

■ローカル5G分野 最優秀賞

NEC『ローカル5Gサービス』
企業や自治体等が、⾃らの建物内や敷地内で5Gをベースとしたネットワークを構築・利用できるのが「ローカル5G」である。地域や産業ごとの個別ニーズや用途に応じて必要となる性能を柔軟に設定できるなどのメリットがあり、今後の普及拡大が期待されている。この「ローカル5G」分野で最優秀賞に選定されたのがNECの『ローカル5Gサービス』だ。ローカル5Gに必要な、端末/デバイス、基地局、クラウド/オンプレミス型コアネットワーク、IoT基盤/データ分析AI技術、業種/業務別アプリケーション、運用保守をトータルに提供できる点が高く評価された。

 

■次世代ネットワークサービス分野 最優秀賞

NTTドコモ『モバイル空間統計』
ビックデータの収集からAIを活用した高度な分析など、高速大容量化するネットワークをベースとした新たなサービス開発が進んでいる。この「次世代ネットワークサービス」分野ではNTTドコモの『モバイル空間統計』が最優秀賞に輝いた。ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを使用して作成される人口の統計情報で、1時間ごとの人口を24時間365日把握できる。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた人口分布の把握ではその高い有用性を証明。人口統計を活用した高度な需要予測など将来性の面でも高く評価された。

         

■DX支援ソリューション分野 最優秀賞

ベルフェイス  オンライン営業システム『bellFace』
企業のデジタル化を支援する各種サービスの多様化と拡充が進んでいる。この「DX支援ソリューション部門」で最優秀賞に選ばれたのが、ベルフェイスのオンライン営業システム『bellFace』である。オフィスから全国の企業へ5秒で接続できることを謳う法人営業・顧客サポート活動に特化したオンライン営業システムである。訪問でできることをオンラインでも可能にする機能を搭載。インストール不要で使える簡便性や、音声と画面で別の回線を使い、音声通話に関しては電話回線を使うことで信頼性を確保する工夫などが高く評価された。

 

■スマートデバイス分野 最優秀賞

グーグル合同会社『Chromebook』
クラウドの利便性を最大限に活用するスマートデバイスは、今や多くの業界で導入が進んでいる。ITの利活用が遅れている文教市場においても、政府が推進するGIGAスクール構想の追い風を受け、スマートデバイスの導入が加速している。この「スマートデバイス」分野では、グーグル合同会社の『Chromebook』が最優秀賞を獲得した。軽量OSとクラウドアプリ活用を特徴とする次世代端末であり、遠隔授業や未来の学びの実現をめざす教育現場からも高い支持を獲得している。

 

■eスポーツ分野 最優秀賞

NTTe-Sports『eスポーツへの取り組み』
2019年10月の茨城国体でeスポーツ大会が開催されるなど、eスポーツ関連の大会やイベント数は年々増加している。今後もeスポーツ市場に関わる環境整備が進むことで、市場はさらに拡大する見込みである。この「eスポーツ分野」で最優秀賞を獲得したのがNTTe-Sportsの『eスポーツへの取り組み』だ。ICTを活用したeスポーツ施設事業、教育事業、動画配信を含むプラットフォーム事業やイベント開催、地域活性化へのコンサル事業などに取り組んでいる。NTTのインフラを軸に新たな市場を創出する将来性の高さが評価された。

 

■通信・放送の融合サービス分野 最優秀賞

NHK『NHKプラス』
放送コンテンツのネット同時配信の本格提供に向けた動きが加速している。昨年5月の放送法改正に続き、放送コンテンツの円滑流通に向けた制度整備が進んでいる。今後、動画配信事業者をはじめ、様々なコンテンツホルダーにとって新たな事業機会につながることが期待されている。この「通信・放送の融合サービス分野」で最優秀賞に選定されたのがNHKの『NHKプラス』である。スマホやPCでNHK総合テレビとEテレの番組を視聴できる新しいサービスで、常時同時配信と見逃し番組配信を実現。放送と通信の本格的な融合をリードするサービスとして高く評価された。

 

■オンラインコミュニケーション分野 最優秀賞

ZVC JAPAN Web会議システム『ZOOM』
コロナウイルス感染拡大の中、新たなコミュニケーション手段として、需要が急速に高まったのがオンラインコミュニケーションツールである。この「オンラインコミュニケーション分野」では、ZVC JAPANの Web会議システム『Zoom』が最優秀賞を獲得した。ビデオ会議・WEB会議の機能を持ち、その使いやすさから個人・法人を問わず利用者が急増。グローバルの1 日あたりの会議参加者数は平均で約3 億人に達している。新たなコミュニケーションプラットフォームとしての地位を確立した点など将来性の高さが評価された。

 ※米国のZoomビデオコミュニケーションズ社の日本法人

 

3. ものづくり優秀賞

「ものづくり優秀賞」は、サムスン電子ジャパンの『Galaxy スマートフォン』と理化学研究所/富士通のスーパーコンピュータ『富岳』の2件。『富岳』は大賞も獲得した。

 サムスン電子ジャパン『Galaxy スマートフォン』
世界的なスマートフォン需要の伸び悩みの中で、携帯電話端末メーカーによる新たな需要開拓への挑戦が続いている。利用シーンに応じて端末の形状を変えることのできる折り畳み端末などをはじめ、今後は5G対応端末の開発力も問われることになる。こうした状況の中で、「ものづくり優秀賞」に輝いたのがサムスン電子ジャパンの『Galaxy スマートフォン』である。高い技術力が求められるミリ波対応の5Gスマートフォンや『折りたたみ型スマートフォン(Galaxy Fold、Galaxy Z Flip)』を開発。新たなユーザー価値を創造し、多様なニーズに対応した製品で、市場活性化に大きく貢献した点が高く評価された。

 

 4.「話題賞」

 ICT産業で大きな話題になった製品・サービスを選ぶ話題賞では、将来的な影響力が高いと期待される下記4件が選出された。

日本マイクロソフト『Microsoft 365』
『Microsoft 365』 は、Microsoft Office アプリケーションに高機能なクラウドサービス、デバイス管理、セキュリティを組み合わせたマイクロソフトが提供する統合型SaaSである。企業や教育機関など、組織の運営や連携に欠かせない機能を備えている。コミュニケーションツールのMicrosoft Teamsを核に働き方改革の推進に大きく貢献するなど、新常態下の日本のすべての組織にとって、より効率的に、創造的に進歩するための強力なツールとなる点が高く評価された。

 

NTTドコモ『ドコモ光 10ギガ』
4K/8K映像といった高精細の映像コンテンツ、オンラインゲームなど大容量データ通信を必要とするサービスが増加し、今後もXR(VR、AR、MR)技術を用いた新たなサービスの登場が期待されるなかで超高速通信に対するニーズが高まっている。『ドコモ光 10ギガ』は、最大通信速度10Gbpsの超高速インターネットサービスを提供。高画質・大容量コンテンツも複数端末で同時に楽しめるなど、将来への影響力が高く評価された。

 

東京都/一般社団法人 コード・フォー・ジャパン
『新型コロナ情報の提供に向けたシビックテックによるサイト開発プロジェクト』
コロナウイルスの感染拡大の中で、2020年3月3日に公開されたのが、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトである。開発は、ITを活用して全国の自治体やコミュニティと地域課題解決に取り組む一般社団法人コード・フォー・ジャパンが、東京都の委託を受けて実施。公開以降、東京都内の最新感染動向などの情報を分かりやすく迅速に伝える同サイトは累計訪問者数が2000万人を超えるなど、大きな注目を集めた。市民有志が開発に協力し、無料公開したコードは他の自治体や海外でも活用されている。

 

任天堂『あつまれ どうぶつの森』
『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switch向けに発売された、どうぶつとコミュニケーションをしながら無人島でのスローライフを楽しめるゲーム。新型コロナウイルスの感染拡大で世界中の人が外出自粛を迫られる中、現実と異なる「もう一つの世界での生活」が人々の大きな癒しとなった。ファンの間では「あつ森」の略称で親しまれている。ゲームの中の世界で家族や友達とコミュニケーションがとれる従来からのシリーズ作品の楽しさに加え、DIY や「たぬきマイレージ」といった新要素によってより魅力的な作品へと進化している。

 

以上、MM総研大賞2020は、大賞 兼 ものづくり優秀賞1、スマートソリューション部門賞9、ものづくり優秀賞1、話題賞4の合計15件となった。

 

[参考] これまでの「大賞」受賞企業は、以下の通り。

MM総研大賞2004 松下電器産業(Panasonic)『DIGA』 (DVDレコーダー)
MM総研大賞2005 シャープ『AQUOS』 (液晶テレビ)
MM総研大賞2006 アップルコンピュータ『iPod + iTunes Music Store』
MM総研大賞2007 JR東日本『Suica』『モバイルSuica』とPASMO協議会「PASMO」の共同受賞 
MM総研大賞2008 ソニー 有機ELテレビ『XEL-1』 (有機ELテレビ)
MM総研大賞2009 トヨタ自動車『Prius』
MM総研大賞2010 日本経済新聞社『日本経済新聞電子版』
MM総研大賞2011 パナソニック『エコナビ』
MM総研大賞2012 サムスン電子ジャパン『GALAXY』
MM総研大賞2013 JR東日本『Suica』
MM総研大賞2014 エネット『EnneSmart』
MM総研大賞2015   ソフトバンクロボティクス『Pepper』
MM総研大賞2016 NTTドコモ『+d』
MM総研大賞2017 日立製作所 IoTプラットフォーム『Lumada』
MM総研大賞2018 NEC 次世代イノベーションプラットフォーム『SX-Aurora TSUBASA』
MM総研大賞2019 富士通 次世代アーキテクチャ『デジタルアニーラ』

 以上

 

「MM総研大賞2020」概要

 1. 開催趣旨

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2020年度の今回が17回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

 2. 表彰対象

◆スマートソリューション部門  (9分野)
①MaaS分野
②モバイルネットワーク分野
③ローカル5G分野
④次世代ネットワークサービス分野
⑤DX支援ソリューション分野
⑥スマートデバイス分野
⑦eスポーツ分野
⑧通信・放送の融合サービス分野
⑨オンラインコミュニケーション分野

◆ものづくり優秀賞

◆話題賞

◆大賞

 

3.評価基準 /評価方法

◆スマートソリューション部門
スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)、またノミネート企業に対するMM総研研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、授賞企業を決定する。 

◆話題賞
「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。2019年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。

◆ものづくり優秀賞
「ものづくり優秀賞」は、“ものづくり”の分野で、卓越した技術で「先進性」「革新性」などに優れ、市場からも高く評価されている商品を対象とする。 

◆大賞
スマートソリューション部門賞、話題賞、ものづくり優秀賞に選出された製品・サービスの中から、外部有識者を含む審査委員会が、「スマート社会への貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、大賞を選定する。

4. 審査委員

審査委員長   村井  純        慶應義塾大学教授
審査委員    天野 肇     特定非営利活動法人 ITS JAPAN 専務理事
審査委員    篠﨑 彰彦  九州大学 大学院 経済学研究院 教授  
審査委員    林  千晶  株式会社ロフトワーク 共同創業者 代表取締役
審査委員    西田 宗千佳   フリージャーナリスト
審査委員    横田 英明    MM総研 常務取締役 研究部長


■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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