MM総研大賞2020 〈スマートソリューション部門〉eスポーツ分野「eスポーツへの取り組み」
株式会社NTTe-Sports

2020年09月11日

ICT×eスポーツを通じて地域の活性化をめざす

 

世界中で大きな盛り上がりを見せているのが、高機能パソコンなどを使った対戦型ゲーム競技「eスポーツ」だ。日本でも2018 年に“eスポーツ元年”と謳われ、さまざまな業種・業界の企業が相次ぎ参入した。注目を浴びたのがNTT東日本の進出で、2020年1月に株式会社NTTe-Sports(本社:東京都新宿区、中村浩代表取締役社長)を設立。NTTグループの高品質で安定した通信ネットワークやICT技術を軸に、新市場創出に取り組んでいる。その将来性の高さが評価され、スマートソリューション部門のeスポーツ分野で最優秀賞を受賞した。

慣れ親しんだゲームを社会交流の場に

eスポーツ事業に参入した大きな狙いは、「地域活性化」だ。これまでも通信インフラやIoT、AIなどさまざまなICT技術により地域の活性化を支えてきたが、手段の一つとしてeスポーツに目を付けた。年齢・性別・国籍などを問わず気軽に交流できる場を提供していく。これらを通じてイベントの開催や人材育成、施設提供など関連産業の振興をめざす。

ただ、eスポーツを通じた地域活性化にあたっては、乗り越えなければならないさまざまな課題がある。イベント開催時にはゲームタイトルや機材の選定などの運営上のノウハウ、行政・教育での導入時にはゲームに対するネガティブな印象の払拭など、NTTe-Sportsの影澤潤一代表取締役副社長が有識者として政府・自治体に意見を述べるなど、コンサルティングを行っているという。

同社の事業の柱は①eスポーツ施設、②サポート・教育、③プラットフォーム、④イベントソリューション、⑤地域の活性化コンサル―の5つ。NTT系をはじめとする6社※の共同出資各社がそれぞれの持ち場で強みを発揮する仕組みだ。
※ NTT 東日本を筆頭に、NTT 西日本、NTT アド、NTT アーバンソリューションズ、スカパーJSAT、タイトー

eスポーツ事業のコア拠点を秋葉原に開設

同社は今年8月、東京・秋葉原にeスポーツ施設「eXeField Akiba(エグゼフィールドアキバ)」をオープンした。「ICTエリア」「カフェエリア」「配信エリア」「プレイエリア」の大きく4つのエリアに分かれ、プレイエリアではゲームを体験でき、最大80人の収容が可能。ゲーミングPCなどの最新の機器を使ったeスポーツの体験を提供するほか、セミナーや懇親会、試作品の実証、新製品の展示・販売など用途は幅広い。施設内でとりわけ目立つのが前方にそびえ立つ大型LEDビジョンだ。デジタルサイネージ業界の先駆者でありトップシェアのピーディーシー株式会社(本社:東京都港区、田中真吾代表取締役社長)が設計・構築したもので、サイズは横6.7m、高さ2.4mの約300インチ超、LEDのピッチ幅は1.9mm(通常3~6mm程度)。大画面でありながら高精細な映像を実現し、eスポーツならではの臨場感と深い没入感を体験可能にした。充実した配信機材・IPプロダクションを完備しているため同施設を拠点に、全国各地をつなぐオンラインイベントの開催も可能だ。


eXeField Akiba

また同社は、ゲームを通じて考える力やコミュニケーション能力、協調性を育むオンライン指導プログラム「ユニキャン」の提供、ゲームプレイヤーやファンのためのコミュニケーションツール「eXeLAB(エグゼラボ)」の提供など、“人と人がつながる”仕組みやツールも順次提供している。さらに、大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区、北島義斉代表取締役社長)、株式会社クリーク・アンド・リバー社(本社:東京都港区、井川幸広代表取締役社長)と共同でオンライン開催する「eスポーツ企業対抗戦」などのイベントを通じて、日本国内のeスポーツの普及を促すという。

NTTグループが持つICT技術や多彩なパートナー企業との連携によって、人と人、地域と地域をつなげる場を提供し「ICT × eスポーツ」を通じて新しい文化・社会の創出を図る。

MM総研大賞について

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2020年度の今回が17回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。