3Dプリンティングの消費者潜在ニーズ調査

2013年03月27日

■3Dプリンティング(立体造形)に興味がある消費者は5割を超える
■3Dプリンティングには多彩な用途を期待
■「パーソナルファブリケーション」(個人によるものづくり)が普及か

 MM総研(東京都港区、所長・中島洋)と国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)は3Dプリンティング(※)に対する消費者の潜在ニーズに関する調査・分析を共同で実施、3 月27 日その結果をまとめた。インターネットアンケート方式により、国内の一般消費者を対象に3D プリンティングの用語認知度や興味度合い、利用シーン等について2 段階調査を実施した結果、3Dプリンティングの可能性については多彩な用途に期待が集まっていることがわかった。


■ 3Dプリンティング(立体造形)に興味がある消費者は5 割を超える
まず、一次調査で3Dプリンティング製品・サービスの興味度合いを尋ねたところ、3Dプリンティングの内容を「認知している」と「認知していない」にかかわらず、「興味あり」との回答が51.5%を占めた(表1)。内訳は3Dプリンティングを「認知している」消費者が7.3%、「非認知」だが上に掲げた定義を読んでもらった上で「興味がある」と回答した消費者が44.2%となった。

■多彩な消費者の3Dプリンティング活用期待
 次に、2次調査として3Dプリンティングに「興味がある」と回答した消費者のうち2,000 人を抽出し、使ってみたい用途について具体的に尋ねた。利用シーンを「オリジナルなモノを作る」と「お手持ちの写真やビデオを立体化する」に分け、それぞれについて具体的な用途を分類したうえ、どのようなものを立体化したいかを単一選択式で尋ねた(表2、表3)。
 その結果、「オリジナルなモノを作る」では、インテリア・生活雑貨・食器が32.7%、好きなキャラクターや人物のフィギュア17.7%オリジナルガジェット小物の製造(スマホケース・カメラレンズのふた・ヘッドホンなど)16.2%が上位を占める結果となった(表2)。「お手持ちの写真やビデオを立体化する」では家族・子供・親友など大切な人との写真20.8%好きな車・建物・鉄道などの写真模型 18.2%、思い出の風景や景観の写真17.8% ペット12.2%という結果となった(表3)。
 単一選択のため、固有ニーズがある場合、回答は偏る傾向となると想定していたが、回答結果は分散しており、消費者の期待する用途は多彩、多様化していることが伺えた。

■ 「パーソナルファブリケーション」の普及可能性
 結果について、調査設計を担当したMM総研アナリスト、中村成希は「大量生産・消費型の産業構造とは異なり、個人が自分の欲しいものを手軽に作成する、また創造していくという新しい構造の産業が生まれてくるのではないか」とみている。
 本調査全体の分析・監修を担当したGLOCOM 主幹研究員/准教授の上村圭介は「ものを作るという行為は分業化、工業化が進みマニュファクチャリングとして分岐・洗練化したが、3Dプリンティング技術の進歩や装置の小型化で再び『パーソナルファブリケーション(個人によるもの作り)』」として人々の手に戻ろうとしている」と分析。同時に、「パーソナルファブリケーションの特性として、単に趣味志向といった延長線のものづくりだけではなく、実用性や有用性を兼ね備えつつも、個人個人の自己表現としてものづくりの可能性が期待できる」と指摘する。
 3Dプリンティング技術は、試作品、部品製造など企業分野でも幅広い応用が期待されているが、個人消費者への応用を含めて普及の可能性が広がっていると考えられる。


※本調査では、3Dプリンティング(3Dプリンタ)を、以下のように定義し、調査を実施した。
【定義】
画像などを元に立体データを作成し、それを短期間に立体造形する製品・サービスを指します。現在は、工業製品(家電製品)の試作や、義歯や義足作成など、企業利用を中心に利用が始まっていますが、将来的には、手軽に模型、食器、生活雑貨、アクセサリなどをデザインし、オリジナルな自分だけの1 品を作ることが出来るようになると期待されています。

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■ 調査概要
1. 調査対象 :全国の一般消費者
2. 調査方法 :インターネットアンケートによる、2 段階調査
3. 回答件数 :一次(スクリーニング)調査/5,694 件、2次(本)調査/2,000件 2次調査回答者属性
※男女比 男性(58.3%)/女性(41.7%)
※年代構成 10 代(6.9%)/20 代(13.8%)/30 代(19.4%)/40 代(17.9%)/50 代(15.0%)60 代(16.3%)70 代以上(11.0%)
4. 調査期間 :2013 年1 月9 日~2013 年1 月10日
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※本リリースは国際大学グローバルコミュニケーションセンターとの共同リリースです。

■国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)について
担当 :上村圭介
所在地 :東京都港区六本木6-15-21 ハークス六本木ビル2F
電話番号 :03-5411-6677
ホームページ:http://www.glocom.ac.jp

 


 

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