ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(13年3月末時点)

2013年05月28日

■ FTTHは12年3月末から154.8万件増(6.9%増)の2,384.8万件に
■ KDDIがスマートバリュー好調を追い風にシェアを伸ばす
■ モバイルブロードバンドの割合は18年3月末に76.3%に達する見込み

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は5月28日、13年3月末時点のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。FTTH(光回線サービス)の加入件数は2,384.8万件となり、12年3月末より154.8万件(6.9%)の増加となった(図表1)。12年度は一部の事業者で高い伸びを示したものの、市場全体の純増数は前年度の77%に鈍化。スマートフォンおよび高速モバイル通信利用者の急拡大で固定回線の需要が鈍りつつあり、各事業者は解約抑止に向けた取り組みや新規需要の掘り起こしに動いている。

■ FTTH市場、KDDIが26.5%の増加

 NTTは、13年3月末の東西合計の加入件数が1,730万件で、シェアは合わせて72.6%。12年3月末に比べると1.6ポイント減少した。

 NTT東日本は、12年12月から開始した新規申込ユーザー向け割引「思いっきり割」の実施で獲得を増やした一方、解約に歯止めがかからず12年度の純増が前年度比53%減の39.7万件にとどまった。13年度は「思いっきり割」の実施延長による獲得増と併せて、戸建向けから集合住宅にも適用を拡大した既存ユーザー向け割引「にねん割」で継続利用を促す。TSUTAYA.comとの提携によるスマートTV端末「TSUTAYA Stick」やフレッツ光のビジネス向けハイグレードサービスなど新規サービスの拡充も実施し、13年度50万件の純増をめざす。

 NTT西日本は、12年10月に「フレッツ 光ネクスト スーパーハイスピードタイプ 隼」を開始し、1ギガサービスを既存100M/200Mサービスと同料金で提供。同12月からは長期継続利用割引「光もっと2割」を開始した。新規利用者の獲得や解約抑止に寄与したものの、競争激化により12年度の純増は33.9万件(前年度比49%減)となった。13年度は自社公式Webサイトからの新規申込で長期的に利用料を大幅に割引く「Web光もっと2割」の推進や、映像サービス向けセットトップボックス「光BOX+」でのアライアンスによるアプリケーション拡充などで50万件の純増をめざす。

 KDDIグループは、13年3月末287.0万件(シェア12.0%)で、12年3月末から60.1万件(26.5%)の増加となった。固定ブロードバンド回線とスマートフォンの両契約により月1,480円値引く「auスマートバリュー」を中心に新規ユーザー獲得と解約防止を一気に進めた。13年度は中国電力グループのエネルギア・コミュニケーションズとの提携開始やCATV事業者との提携も拡大し、auスマートバリューの利用を増やす。13年度も引き続き同施策の積極展開を行い、44万件の純増を計画する。

 関西地域を中心に展開するケイ・オプティコムは、堅調に契約数を伸ばし13年3月末で139.6万件(シェア5.9%)となった。新規申込で月額利用料を1年間1,000円割引く「スタート割」等で獲得を増やした。また12年10月から大幅に値下げした1ギガサービスでは、100メガ等を6年以上利用している既存ユーザー向けに「1ギガグレードアップキャンペーン」を実施し、長期利用の促進と「1ギガコース」の標準化を狙う。12年6月から開始したタブレット活用サービス「eoスマートリンク」のサービス拡充や、スティック型スマートTV端末の提供など積極的にサービスの充実化を図り、14年3月末148.9万件をめざす。

 UCOMは、13年3月末51.9万件と12年3月末比1.8万件の純増。全戸一括型のマンション向けサービスや法人向け1ギガサービスを中心に獲得が伸びた。リモートサポートや機器保証などのサービス拡充を図る一方、12年12月にエネルギー関連事業ブランドの「UCOMエネルミー」を新たに立ち上げ、マンション・集合住宅向けHEMSサービス「エネセンサー」や、電気料金を削減する電力一括受電サービス「とくエネ」の提供を開始した。「とくエネ」では3年後に1万5,000戸の導入をめざし、エネルギー関連のサービスを順次展開する。

 スマートフォンとともに、LTEなどの光回線並みの通信が可能なモバイルブロードバンドの普及が拡大し、固定回線事業者は新たなユーザーの獲得や解約の増加に苦戦を強いられている。各社とも料金施策や1ギガサービスでモバイルとの差別化を図りつつ、映像サービスやHEMSをはじめとする上位・周辺サービスを充実化させることがますます重要になると分析する。

(以上抜粋。調査結果の全文は6月末発行のM&D Report205号に掲載します)


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