2013年度上期国内パソコン出荷概要

2013年11月13日

■総出荷台数は7.5%減の691.2万台。個人市場が30.1%減と過去最大の減少
■法人市場はOS更新需要で14.1%増の435.5万台。消費税導入前の駆け込み需要で好調が続く見通し
■パソコン+αの市場構築が急務に

出荷台数 691.2万台 前年度同期比 7.5%減
出荷金額 4,887億円 前年度同期比 1.4%減

 MM総研(東京都・港区、所長・中島洋)は11月13日、2013年度上期(4~9月)国内パソコン出荷状況の調査結果を発表した。それによると、国内のパソコン総出荷台数は前年同期比7.5 %減の691.2万台、出荷金額は、同1.4%減の4,887億円となった。
 出荷ルート別では、店頭量販店及び個人向けWeb直販を主力とする「個人系ルート」が、前年同期比30.1%減の255.7万台と2年連続の減少で、減少率は1995年度の統計開始以来過去最大であった。一方、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする「ビジネス系ルート」は、前年同期比14.1%増の435.5万台となった。
 出荷金額は1.4%減の4,887億円と、減少率は小幅にとどまった。円高による部品価格の上昇に伴う値上げに加え、Windows8への切り替えによりタッチパネル搭載機の増加やモバイル化が進み、1台当たりの単価が上昇した。
 メーカー別シェアでは、首位NECレノボグループ、2位富士通、3位東芝には変動なし。DELLが前年5位から4位へ上昇。また前年7位のアップルが6位へ、前年10位のエイスースが8位に順位を上げた。
 個人向け市場では、Windows8登場以降出荷台数の減少が続いている。タッチ対応OSでタブレット市場へのユーザーシフトを食い止める狙いがあったが、タブレットにもPCにもなる2in1PCの出荷台数は高価なマシンが多く、出荷台数は伸び悩んでいる。法人市場は、2014年4月にサポート終了となるOS、WindowsXP搭載パソコンの入れ替え需要により好調が続いている。

■2013年度上期のポイント

 2013年度上期の国内パソコン市場は、過去最高を更新した前年度上期の747.3万台から一転、出荷台数が691.2万台(前年同期比7.5%減)となった。
 市場別では、個人市場向け出荷台数が前年同期比30.1%減と大苦戦となった。円高による値上げの影響もあるが、タッチ対応OSとなったWindows8搭載によりタッチパネル搭載機が増え、平均単価が上昇したことや、タブレット製品との直接比較によりパソコンが割高に見えたことが影響した。個人市場ではパソコンにもなるタブレットにもなる2in1という製品訴求を行ったが、ユーザーはタブレットとパソコンを現状使い分けており、パソコンユーザーのタブレットへの流出を食い止めるに至らなかった。
 法人市場はWindowsXPのサポート終了まで1年を切り、上位 OSへのリプレースが本格化して前年度上期を上回る出荷台数となった。多くのユーザーがWindows7への移行を志向している。法人市場については、13年度下期から14年度上期にかけて好調な需要が続くとみられる。

■メーカー別シェア動向

 1位のNECレノボグループは個人市場向けでは苦戦したが法人市場では市場平均を上回った。統合効果の追求に加えてスマホ、タブレット、スマートTV等の展開、連携を視野に入れたPC+(ピーシープラス)戦略の展開に注目が集まる。スマートフォン、タブレットの台頭によりアップル、グーグル(Nexus7)、Amazonといったメーカーが存在感を増すなか、どのような巻き返し策を打つことができるのか統合の効果が問われる。
 2位の富士通は法人市場で市場平均を下回るように見えるが、昨年度出荷実績に、パソコン定義に含まれるWindows7搭載のスレート型タブレット約6万台を含むためであり、これを除くPCでの純粋な伸び率は、18.4%増と法人市場内ではDELLに次ぐ2番目の伸び率である。PC、Windows搭載のスレート型タブレットとも法人への拡販に注力しており、その成果が出ている。
 4位のDELLは好調な法人市場での出荷数拡大に注力し、価格面でも市場を牽引したことで順位を一つ上げた。同じく7位から6位へ順位を上げたアップルは、苦戦する個人市場全体でスマホ、タブレットのiOSユーザーを取り込んだことが奏功した。

■パソコン市場の展望
~2013年度下期は法人市場と消費税駆け込み需要で増加を見込む

 Windows8の登場で活性化が期待されたパソコン市場だが、個人市場ではタブレットにもPCにもなる2in1提案は現状受け入れられていない。少なくとも短期的にはタブレットやスマートフォンとすみ分け、使い分けを提案することが必要。
 13年度下半期はXP機入れ替えで好調が続く法人市場が18.2%増の490万台、個人市場については減少基調が続くものの消費税率改正前の駆け込み需要により減少幅は縮小すると見込み12.5%減の301万台と予測しており、法人・個人合わせ合計4.3%増の791万台と見込む。
 法人市場のXP機入れ替え需要が終わる14年度以降は、パソコン出荷数は減少すると予測する。教育と書籍、ワークスタイル変革、映像視聴、ショッピングと予約、ライフログやSNSコミュニケーションといった伸び盛りのアプリケーション利用で新しい価値を提供することが重要だろう。

(調査レポート全文は11月末発行のM&Dレポート210号に掲載します)

 

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