ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(13年9月末時点)
2013年11月27日
■ FTTHは13年度上期中に75.7万件増え(3.2%増)、2,460.5万件に
■ NTT東日本の純増が前年同期比4%増と回復傾向
■ ブロードバンドに占めるモバイルの割合が5割を超える
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は11月27日、13年9月末時点のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。FTTH(光回線サービス)の加入件数は2,460.5万件となり、13年3月末より75.7万件(3.2%)の増加となった。13年度上期(13年4-9月)は引き続きKDDIが高い伸びを示した。市場全体の純増数は前年同期比16%減となった。モバイル端末や高速モバイル通信利用者の急拡大で固定回線の需要が鈍ってきており、各事業者は解約抑止に向けた取り組みや新規需要の掘り起こしに動いている。
■ KDDIのFTTHが7.7%の増加、NTT東日本の純増は回復傾向
NTTのフレッツ光は13年9月末の東西合計の加入件数が1767.2万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて71.8%。13年3月末から0.7ポイント減少した。
NTT東日本はサービス利用料金を24ヵ月間割引する「思いっきり割」の実施期間延長で新規獲得と解約抑止を進め、13年9月末は998.5万件(FTTHシェア40.6%)となった。純増数は前年度同期比4%増と堅調に推移し回復傾向にある。10月12日には「フレッツ光」の契約者が1,000万件を突破。法人向けサービス「オフィスまるごとサポート」や新たな回線サービスの拡充など、今後は中堅中小企業・SOHO向けビジネスも強化していく。
NTT西日本は、関西地域をはじめとする西日本各地域における競争の激化を受け、13年度上期は13.7万件純増(前年同期比40%減)にとどまり、9月末時点の契約数は768.7万件(FTTHシェア31.2%)となった。13年5月には自社公式Webサイトからの新規申込で長期的に利用料を割引く「Web光もっと2割」を開始。さらに7月には2年間大幅に割引く「どーんと割」を開始するなど、顧客獲得に巻き返しをはかった。この他、13年6月に機能拡充した次世代STB「光BOX+」を提供開始し、様々な分野でのアライアンスによるサービスラインアップの拡大で新規ユーザー層の開拓に挑む。
KDDIグループは13年9月末309.2万件(FTTHシェア12.6%)で、13年3月末から22.2万件(7.7%)の増加となった。12年3月に開始した「auスマートバリュー」は提携ケーブルテレビ局が全国の約半数となる200局を突破。開始1年半が経過した現在も固定回線とスマートフォンの獲得・解約抑止に一定の効果を上げている。下期は、13年10月末に採用CATV事業者が100局を超えた次世代STB「Smart TV Box」の拡販や、九州通信ネットワークなどauスマートバリューで新たな事業者との提携もさらに強化していく。
関西地域を中心に展開するケイ・オプティコムは、堅調に契約数を伸ばし13年9月末で144.5万件(FTTHシェア5.9%)となった。13年6月には、長期利用者向けに「1ギガグレードアップキャンペーン」を実施して1ギガサービスの利用を促進すると同時に、最大13ヵ月間1,000円割引く「スタート割」で新規ユーザーの獲得を増やした。12年6月から開始したタブレット活用サービス「eoスマートリンク」のサービスも随時拡充し、利用者層の拡大を狙う。13年9月には課金開始月から3ヵ月間の料金を無料にする「スタートダッシュ割」を開始、「スタート割」との併用で新規加入のハードルを下げ、顧客獲得に追い込みをかける。
UCOMは、13年9月末53.2万件(FTTHシェア2.2%)と上期中1.3万件の純増。インターネットの利活用方法を伝える「らくらく活用ガイド」の発行でユーザーの利便性を向上させ、解約率を減少させた。13年7月には、新機能を追加した健康エンターテイメントWebサービス「みらいく」を医療機関や健康予防関連企業へ提供し、利用層を拡大。一方、9月にはU-NEXTの作品を無料で楽しめる「ギガシネマ with U-NEXT」を会員向けに提供し、顧客囲い込みを進めた。今後はマンション向けの電力一括受電サービスや法人向けサービスの強化で差別化を図る。
LTEやWiMAXなどのモバイルブロードバンドの普及が進み、固定回線利用者の新たな獲得やつなぎ留めが以前にも増して難しくなってきている。MM総研では、長期利用やモバイルとの併用を意識した料金施策をはじめ、回線の速度や品質面での訴求と、スマートTVサービスなどの固定回線ならではの価値提供が今後不可欠になると分析する。
レポート全文は12月末発行の「M&Dレポート1月号」に掲載します。
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