下取りプログラム効果でスマートフォン出荷台数が8.3%増
「2025年度上期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」
2025年11月17日
■2025年度上期の携帯電話出荷台数は1420.0万台(前年同期比7.2%増)
■スマートフォンは1385.7万台(8.3%増)、アップルが上期として14期連続1位
■通期出荷は3295万台(6.1%増)、うちスマートフォン3205万台(6.7%増)と予測
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2025年度上期(2025年4~9月)の国内携帯電話端末の出荷台数を調査し、その結果を発表した。
2025年度上期の総出荷台数は1420.0万台(前年同期比7.2%増)となった。2000年度以降の上期出荷統計として最少だった2023年度上期から回復傾向にあるが、過去3番目に少ない台数にとどまった。内訳をみると、スマートフォンが1385.7万台(同8.3%増)、フィーチャーフォンは34.3万台(同25.3%減)、総出荷台数に占めるスマートフォン比率は97.6%(1.1ポイント上昇)となった。
5Gスマートフォンは1376.8万台(同8.2%増)、スマートフォン全体に占める5G対応比率は99.4%と1ポイントながら減少した。スマートフォン出荷台数が上昇した要因は、買い替え需要の増加が大きい。携帯キャリア大手4社による下取りプラグラムなどを活用した買い替えが本格的に循環し始めた。キャリア間での獲得競争も引き続き活発であることに加え、2026年3月末に控えるNTTドコモの3G停波に向けた最後の買い替え促進も影響したと分析する。一方、フィーチャーフォンは過去最少を更新した。
2025年度通期の総出荷台数は3295万台(前年度比6.1%増)、そのうちスマートフォン出荷台数は3205万台(同6.7%増)と予測する。下取りプログラムによる安定した機種変更と携帯キャリアによる乗り換え顧客の獲得競争の継続がスマートフォン出荷台数を底堅いものとするだろう。2026年度以降もその傾向は変わらず、スマートフォンは年間3100万~3200万台規模で安定して推移すると予測する。
アップルが14期連続で1位を獲得
2025年度上期のメーカー別総出荷台数シェア1位はアップルで、上期実績としては14期連続で1位を獲得した。スマートフォン出荷台数シェアは43.7%(同1.0ポイント低下)となった。2025年9月に発売した最新のiPhone 17シリーズは無印/Pro/Pro Maxの全3モデルで、前16シリーズの4モデルからPlusが廃止され、新たに薄型のiPhone Airを加えた。容量種別を含めたラインアップ、物理SIMスロットを撤廃してeSIMのみの対応とするなど、16シリーズからの変化が注目を集めた。発売直後から好スタートを切っており、依然として強いアップル人気を示している。2025年2月に発売したiPhone 16eはサブブランド(ワイモバイル・UQモバイル)からも同タイミングで発売され、サブブランド内でのiPhoneシェア向上に寄与している。廉価モデルながらSEシリーズより機能も価格も高めに設定された同端末の評価は二分されていたが、ふたを開ければ大成功となった。

以下、2位グーグル、3位サムスン電子、4位シャープ、5位FCNTとなった。上位5メーカーで約87%を占めた。その他には京セラ、ソニーなど11メーカーが含まれている。
2025年度通期の総出荷台数は3295万台
2025年度通期の総出荷台数は3295万台(前年度比6.1%増)と予測する。前回予測(補足1:2025年5月発表)からは下方修正している。
2025年度通期のスマートフォン出荷台数は3205万台(6.7%増)と予測する。そのうち、5Gスマートフォンの出荷台数比率は2025年度(99.5%)、2026年度(99.6%)、2027年度(99.9%)と限りなく100%に近付き、2028年度以降は5G対応比率が100%になると予測する。
安定するスマートフォン市場にゲームチェンジを引き起こす端末は登場するか
2025年度上期の携帯電話出荷台数は1420万台で2023年度(1223万台)を底に2年連続で上昇した。
政治状況や対米関税問題などに端を発する為替変動や物価高騰が国民生活を脅かすなか、価格が上昇傾向のスマートフォン市場は減少するリスクも危惧されていた。しかし、下取りプログラムによる機種変更と新規顧客や乗り換え顧客の獲得競争激化に伴い、安定した買い替え需要が続いている。
アップルはiPhone史上最薄(日本市場では最薄)となる厚さ5.6ミリのiPhone Airを発売したが、これは2026年の折りたたみiPhone発売における布石とも考えられる。世界市場でシェア1位を争うサムスン電子が2025年8月に日本で発売したGalaxy Z Fold7は折りたたんだ状態で8.9ミリと7世代目にして、その完成度を高めている。10月には3つ折り形状のスマートフォンも発表した。早ければ年内にも発売される見通しである。
AI(人工知能)チャットサービスで一躍世界中の注目の的となったOpenAI社はChatGPTアプリをApp Store及びGoogle Playストアの両方で公開しているが、サム・アルトマンCEOは元アップル社のデザイン担当者と協力して独自のAI専用端末を開発すると表明している。
2030年度までのスマートフォン市場は年間3100万~3200万台規模で安定的に推移するものと予測するが、一般的な板状ではない新たな形状やデバイスが登場し普及していく未来が待ち受けているかもしれない。
■携帯電話出荷台数に含まれる端末
① 従来型携帯電話(以下、フィーチャーフォン)
② スマートフォン
・通信事業者別(5分類):1.NTTドコモ、2.KDDI(au・UQモバイル含む)、3.ソフトバンク(ワイモバイル含む)、4.楽天モバイル、5.オープン市場(メーカー直販やMVNO・量販店・ECサイトなどを経由して販売されるSIMフリー端末)
③ 総出荷台数(①+②)
■スマートフォンの定義 以下を条件としてMM総研による分類
①以下OSを搭載 (Android、iOS)
②音声通話が可能 (画面7インチ以上でヘッドセット利用を想定した端末は含まない)
③アプリやソフトウエアなどのカスタマイズが可能
④OS環境として(アプリ)開発仕様が公開されていること
⑤携帯キャリア及びメーカーがスマートフォンと位置づけている製品
※調査時点のため、今後の端末発売状況等に応じて予告なしに変更する可能性があります
補足1:2024年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=673
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■MM総研について
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