働き方改革やセキュリティ対策で市場拡大が続く

「国内法人PC運用管理・保守サービス市場動向調査」

2025年10月29日

■2025年度のパソコン運用管理・保守サービス市場は3464億円となる見通し

■2018~2027年度の年平均成長率は3%、運用保守BPO/LCMは10%と高成長が続く

■大企業を中心に運用保守BPOやLCMサービスの活用が進む

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内の法人パソコン運用管理・保守サービス市場を調査し、その結果を発表した。企業など組織が導入するパソコンの運用管理や保守メンテナンスを担うサービス市場で、働き方改革を支える情報システム部門やデジタルトランスフォーメーション(DX)、セキュリティ対策部門の人材不足を補い、成長を続けている。

2025年度の市場規模は3464億円となる見通し。Windows10のサポート終了(2025年10月14日に終了済み)に起因する基本ソフト(OS)更新、それに伴うパソコン本体の入れ替えに伴い市場規模が拡大し、2026年度は3577憶円、2027年度は3541億円と高水準で推移すると予測する。

【データ1】国内法人PC運用管理・保守サービス市場規模と推移

 

詳細

◆運用保守BPO/LCMサービスへのシフトは継続

国内パソコン運用管理・保守サービス市場は2018年度以降、年率3%の成長を続ける見通しである(データ1)。市場規模としては、パソコン導入に加え、運用管理や保守を代行するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や廃棄までをサービス化するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスが大きく伸びると考えられ、2023年度は1356億円だったものが2027年度には1713億円まで年平均率10%のペースで拡大する見通し。一方、かつては主流だったオンサイト保守サービスの減少傾向は続き、運用保守BPO/LCMに包含する形で契約がシフトしている。コロナ禍以降の働き方改革によりパソコンの運用方法が変わったことで、オフィス内パソコンの保守から在宅勤務などでのモバイルパソコンの運用管理、メンテナンスにサービスのシフトが必要となり、ヘルプデスクや修理も遠隔や修理送付、代替機送付などの対応に需要が移ってきている。特に大企業で続く在宅と出社を織り交ぜたハイブリッド勤務に合わせたサービス内容への変化がみられる。またキッティングと呼ばれる導入時サービスや、アクシデントケアといった保険サービスも同様に成長傾向にある。

 

法人向けパソコン運用管理・サービスは、特に大企業で活用されている(データ2)。2024年度の法人向けパソコン市場(台数ベース)に占める大企業・官庁の構成比は32%だが、運用管理保守サービス市場(金額ベース)は65%を占める。IT(情報技術)資産管理だけでなく、情報漏洩やセキュリティ対策でもパソコンの運用管理の重要性は高まっており、大企業、官庁ではグループ会社を含め運用管理を集中化し、BPOなどのサービスを活用しやすい状況となっている。

 

【データ2】パソコン本体と法人PC運用管理・サービス市場構造の比較(2024年度)

 

 

大企業の運用管理・保守サービスの需要増加は、パソコン調達方式の変化にもつながっている(データ3)。国内の法人パソコン市場におけるリース・レンタルの利用率を見ると、レンタルの比率が上昇している。リースはパソコン購入の資金調達が主な目的であり、保守サービスや修理、保険は本体とは別途契約が必要で管理も大企業自身が個別に行う必要がある。一方、レンタルは保守運用管理を本体に包含して契約することが可能。修理費用などが事前に含まれるためリースより契約価格が高くなるが、運用管理に必要なサービスを事前に含むことが多く、結果として総保有コスト(TCO)が下がる、もしくはTCOの抑制効果がある。セキュリティ対策や在宅用パソコンなど管理項目が多い大企業では、情報システム部門の生産性の観点から、レンタルを活用したパソコン調達が徐々に拡大している。

 

データ3】国内パソコンのファイナンス方式比率 リース・レンタルの構成比

 

日本企業の情報システム部門は、業務を熟知し得る長期雇用を背景に人材育成と内製化を進めてきたが、業務でのインターネットやクラウド活用が急速に進み、セキュリティ対策やDX対応など課題が山積している。生成AI(人工知能)を含むクラウド活用の推進には、端末の適切な運用管理や監視が最も重要な対策となる。このような背景から、運用管理・保守市場はサービスの進化と共に今後も成長が続くと見込む。

以上

 

調査概要・定義

調査実施期間

2025年8~10月

調査手法

ユーザー調査およびヒアリングによるMM総研研究員による調査分析

用語定義

1.オンサイト保守サービス

事前契約によるパソコンの利用場所への出張修理を指す。予防点検などを含むことがある

2.アクシデントケア

 事前契約による故障以外の落下など不作為の故障への修理保険サービスを指す

3.運用保守BPO/LCM
事前契約によるパソコン運用(監視、不具合対応、ヘルプデスクサービスや故障時対応)および保守修理対応業務を部分的、もしくは全部業務受託するサービスを指す。利用終了時の廃棄などを部分、もしくは全部含むことがある。またこれらサービスを包含するサブスクリプション型のサービスを含む。

4.キッティング

PCの導入前セットアップや設置サービスを指す。なおLCMに含まれBPOとして一体提供される場合は、運用保守BPO/LCMサービスに含まれ、本セグメントには含まない。

5.その他修理サービス

事前契約による修理拠点持ち込みや故障品送付による工場修理など、現地修理以外のハードウェア修理全般を指す。

■報道に際しての注意事項

1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。
  数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。
  また、データ・資料は、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
5. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
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6. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。

■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

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連絡先 : 03-5777-0161

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