日本のiPhone販売価格は世界39の国・地域の中で安値水準

「世界のiPhone販売価格調査(2025年9月)」

2025年09月25日

■日本のiPhone 17の販売価格は世界39の国・地域で2番目の安さ

■日本のiPhone指数(2.59%)は23番目。iPhoneシェア40%以上の国で最も高い

■iPhone指数の低下にはインフレ率を上回る平均所得の上昇が必要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、世界39の国・地域(以下、国と記載)を対象にiPhoneの販売価格を調査し、その結果を発表した。本調査では、米アップルが2025年9月9日(現地時間)に米国で発表、9月19日に発売されたiPhone 17シリーズを中心に各国のアップルオンラインストア(以下、アップルストア)の価格を比較分析した。対象モデルはiPhone 17シリーズからiPhone 17 256GB(以下iPhone 17)、iPhone 17 Pro 512GB(以下iPhone 17 Pro)、iPhone 17 Pro Max 2TB(以下iPhone 17 Pro Max)の3モデルと、同時発売のiPhone Air 256GB(以下iPhone Air)及び2024年9月発売のiPhone 16 128GB(以下iPhone 16)、2025年2月発売のiPhone 16e 128GB(以下iPhone16e)の計6モデルを対象とした。比較分析はアップルストアによる直販価格に各国通貨と円の為替レートを用いた円換算ベースの金額とした。

iPhone 17シリーズとiPhone Airの日本での販売価格は、iPhone 17(129,800円)、iPhone 17 Pro(214,800円)、iPhone 17 Pro Max(329,800円)、iPhone Air(159,800円)となった。この結果、日本はiPhone 17で39の国・地域の中で2番目に安く、iPhone 17 Pro及びiPhone 17 Pro Maxの2モデルは3番目に安く、iPhone Airは最安国となった。iPhone 16(114,800円)は3番目に安く、iPhone 16e(99,800円)は6番目に安い国となった。

iPhone 17シリーズ/Airは最安水準

2025年9月発売のiPhone17の販売価格は129,800円で、日本は2番目に安い国であった。最安は中国(124,157円)、3番目は香港(130,564円)、4番目はアップルが本社を構える米国(133,044円)、5番目はオーストラリア(135,799円)となった。日本以外の平均は159,349円で日本よりも約29,500円高く、最高値のトルコ(278,534円)は日本の約2.2倍となっている。

iPhone 17 Proは日本が214,800円で3番目に安い国であった。最安は米国(208,474円)、2番目は香港(210,049円)、4番目は韓国(221,888円)、5番目はアラブ首長国連邦(222,708円)となった。日本以外の平均は261,226円で日本よりも約46,400円高く、最高値のトルコ(428,516円)は日本の約2倍となっている。

iPhone 17 Pro Maxは日本が329,800円で3番目に安い国であった。最安は米国(320,815円)、2番目は香港(321,707円)、4番目は韓国(338,671円)、5番目はアラブ首長国連邦(341,106円)となった。日本以外の平均は402,806円で日本よりも約73,000円高く、最高値のトルコ(603,495円)は日本よりも約273,700円高くなっている。

iPhone Airは日本が159,800円で最も安い国であった。2番目は米国(160,327円)、3番目は香港(162,737円)、4番目は中国(165,549円)、5番目は韓国(168,805円)となった。日本以外の平均は202,635円で日本よりも約42,800円高く、最高値のトルコ(349,954円)は日本よりも約190,200円高くなっている。

日本のiPhone販売価格は世界で1~3番目に安い国であった。日本以外で安値の国はアップルが本社を構える米国と、中国、香港、韓国といったアジア地域のほか、オーストラリア、アラブ首長国連邦といったオセアニア地域や中東地域となっている。一方、最高値は過去の調査と同様、4モデルともにトルコとなり、次いでブラジルが高くなった。消費税や付加価値税及び輸入品に対する関税という特有の税制度があること、インフレ率が高く過去10年以上にわたって通貨の価値低下が進んでいることが影響していると分析する。

iPhone 16/16eの日本の順位は大きく変更なし

iPhone 17シリーズが発売されたことで、型落ちモデルとなったiPhone 16は世界各国で値下げされた。日本は114,800円でiPhone 17発売前(124,800円)から10,000円の値下げとなり、日本の価格は3番目の安さとなった。最安値は中国(111,739円)、2番目は香港(113,531円)、4番目はインド(116,796円)、5番目は米国(116,996円)の順となった。日本以外の平均は140,169円、最高値はiPhone17シリーズ/Air同様にトルコ(235,682円)であった。

2025年2月発売のiPhone 16eの日本における販売価格はiPhone 17の発売による変化はみられず、99,800円で6番目の安さとなった。最安値は中国(93,112円)、2番目はベトナム(94,913円)、3番目は米国(96,132円)、4番目は香港(96,499円)、5番目はオーストラリア(96,971円)の順となった。日本以外の平均は117,192円、最高値は同様にトルコ(178,546円)となった。

日本のiPhone指数(iPhone 17価格÷平均所得)は2.59%

国や地域で異なる通貨や価格設定となるが、iPhoneの購入のしやすさを比較するため、iPhone 17の価格が年間の平均所得に占める比率を「iPhone指数」として算出した。なお、平均所得はOECD(経済協力開発機構)のデータを参照した(出典1)。OECD加盟国以外はIMF(国際通貨基金)による1人当たりGDPを代替データとして活用した(出典2)。同指数は値が小さいほどiPhoneが購入しやすいといえる。

日本のiPhone指数は2.59%で、39の国・地域の中で23番目(小さい順)と下位に位置しているが、2024年(2.74%)から0.15ポイント低下した。指数が最も小さいのはシンガポールで0.70%、2番目はスイス(0.83%)、3番目は米国(1.09%)、4番目はルクセンブルク(1.12%)、5番目は香港(1.22%)の順となった。最も高いのはメキシコで8.91%となった。2番目に高いのはフィリピン(8.72%)、3番目に高いのはインド(8.67%)となった。

平均所得の上昇によるiPhone指数低下に期待

iPhoneの価格は物価変動に限らず機能の進化による影響もあることが前提であるが、iPhone 17シリーズは米国による関税措置が価格に転嫁される可能性が危惧されていた。しかし、米国や日本などで関税を理由とした値上げは見受けられなかった。アップルは米国向けiPhoneの製造拠点をインド中心にシフトすることで米国市場での値上げを回避したとみられる。

本リリースでは為替やインフレ率の単純な値による良し悪しを論じるわけではないが、日本はiPhoneシェアの高さに対してiPhone指数が高く、所得に対する購入負担が大きい状況は変わっていない。経済情勢を見わたすと、米国の政策金利は9月に0.25%の値下げを決定し、さらに年内及び2026年の追加利下げも示唆されている。日本は消費者物価指数やGDPのプラス成長が顕著であり、現状の政策金利0.5%から年内もしくは2026年に追加利上げの可能性があるだろう。日本は2013年以降の中期的なインフレ率でみると1.23%と低水準で39カ国のうち37番目であるが、直近の2024年は2.74%で18番目のインフレ率となる。これはG7の中では米国(2.95%)に次ぐ水準となる(出典3)。つまり、日本は長年の低インフレ率からの転換を迎える過渡期に差し掛かっているとも考えられる。インフレ率の上昇は一時的には経済の混乱を招くことも想定されるが、今後は平均所得の伸び率がインフレ率を上回り、iPhone価格の上昇を上回ることができればiPhone指数の低下も期待できる。

■調査手法
「販売価格」:アップルストアでの直販価格
      (消費税などの税金を含む。米国はニューヨーク州、カナダはオンタリオ州として計算)
「為替」:各iPhoneの発売(発表)時点
「対象国・地域(全39)」2025年9月のiPhone 17販売価格が安い順(”/”は同額の意)
 中国、日本、香港、米国、オーストラリア、カナダ、アラブ首長国連邦、韓国、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、台湾、スイス、ニュージーランド、シンガポール、フィリピン、メキシコ、チリ、英国、ルクセンブルク、ポーランド、チェコ、ドイツ/オーストリア、スペイン、フランス/オランダ/ベルギー、イタリア/アイルランド、ポルトガル、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ハンガリー、ノルウェー、ブラジル、トルコ。 

出典1:OECD(経済協力開発機構)「平均所得」
https://www.oecd.org/en/data/indicators/average-annual-wages.html
現地通貨による平均所得を採用

出典2:IMF(国際通貨基金)「一人当たりGDP」
https://www.imf.org/external/datamapper/PPPPC@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD
一人当たりGDPの購買力平価(PPP)換算の米国ドル金額に2025年9月10日時点の為替をかけて算出 

出典3:IMF(国際通貨基金)「消費者物価指数(年平均)」
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2025/april/select-country-group
インフレ率=2013年から2024年の消費者物価指数の年平均成長率
2024年インフレ率=2024年消費者物価指数÷2023年消費者物価指数

参考1:MM総研「2024年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=673
 

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