MNP件数は開始17年で累計1億件の大台に

「MNP利用実態とお試し割の利用意向」(2024年12月)

2025年01月16日

■MNP利用は開始17年で累計1億件に到達、2024年6月に1億1000万件を突破
■MNP利用経験者は約半数、経験者に限定した平均MNP回数は約1.8回
■「お試し割」解禁と競争環境の激化によりMNP市場は今後も増加傾向と予測

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は1月16日、モバイルナンバーポータビリティー(以下MNP、番号持ち運び制度)の利用件数について分析するとともに、一般消費者(1259人)にWebアンケート調査を実施し、2024年12月26日に施行された電気通信事業法の省令改正により、新たな割引制度として注目を集める「お試し割」の利用意向を明らかにした。

MNPは携帯番号を変えずに携帯電話会社・ブランドを変更できる制度であり、2006年10月24日に開始された。累計利用件数は開始から17年となる2023年10月に1億件、2024年6月には1億1000万件を突破した。各社の料金プラン変更、端末割引の規制、MVNO(仮想移動体通信事業者)の台頭や楽天モバイルのMNO(移動体通信事業者)市場参入など、各種要因による競争環境の変化に伴ってMNPの利用件数は拡大してきた。コロナ禍を経た2021年度以降はその傾向が顕著となっている。その要因としては、①楽天モバイルの躍進②同一会社のメインブランド・サブブランド間の流動が活性化③大手3社によるオンラインプランの訴求④総務省主導によるMNPしやすい環境整備(手数料無料化やワンストップ化)⑤物価高騰による携帯料金見直し意識の向上――が相互に影響しあったためと分析する。

MNP累計件数は2023年10月に1億件、2024年6月に1億1000万件を突破

MNPがスタートしたのは2006年10月24日で、同年10月1日にボーダフォンがソフトバンクに社名を変更したタイミングと重なり注目を集めた。累計1000万件に到達したのは2010年7月(開始から46カ月)であった。2011年度からは順調に増加傾向をたどり、累計1億件は2023年10月(開始から17年、同204カ月)で、僅か8カ月後の2024年6月には1億1000万件に到達している。

WebアンケートにてMNPの利用経験を質問した結果、MNPを1回以上経験したことがある人(回数は不明を含む)は50.7%となった。「1回」が25.9%、「2回」が10.5%と続き、「6~10回」「11回以上」は合わせても0.6%にとどまった。上記結果から加重平均による平均MNP利用回数を算出すると、利用経験者に限定した場合で1.76回となる。

MNP利用の理由は「毎月の利用料金がお得」がダントツ

MNPの利用経験があるとした回答者に対して最も当てはまる理由を質問した結果、「毎月の利用料金がお得」が最も多くなった。以下、「新しいスマートフォンをお得に購入」、「家族や知人の勧め」、「販売スタッフの勧め」、「固定インターネットサービスなど他サービスとセット契約でお得」の順となった。

「お試し割」の利用意向は9.3%

2024年12月26日より解禁された「お試し割」について説明したうえで、同制度を利用した新規契約やMNP利用意向について質問した。その結果、「利用して新しい番号を追加で契約したい」2.1%、「利用して別会社のサービスに変更(MNP)したい」7.2%となり、合わせて9.3%が「お試し割」を利用した新規契約・MNPの意向を示した。「利用を検討したい」を合わせると利用可能性があるユーザーは42.5%となっている。一方で「利用したくない」は56.9%で過半数を占めた。

「お試し割」を利用したくない理由は「現在のサービスに満足」

「お試し割」を利用したくない理由として最も最もあてはるものを質問した結果、「現在のサービスに満足している」が最も多くなった。以下、「契約手続きをするのが面倒」、「お試し割の仕組みがわからない」、「半年経過後は料金がかかる」、「家族割が適用されなくなる」と続いた。

「お試し割」解禁に限らず、競争環境の激化でMNP市場は活況が続く見通し

電気通信事業法の省令改正により、2023年12月に端末割引の上限額は端末価格に応じて2万円から4万円に設定された。2024年12月の改正により端末購入を伴わない、SIMカード単体での新規契約やMNPにおいても、割引金額上限2万円、期間として最長6カ月間の割引を携帯電話会社の判断で実施することが可能となった(金額はすべて税別)。最長6カ月という一時的な期間のため「お試し割」と称されているようだ。同割引は自宅や職場・学校などの生活圏におけるネットワーク環境を実質無料で体験できるというメリットがあるだろう。ただし、通話時間やデータ通信量及び契約手数料・SIMカード発行手数料などにより料金が発生する場合がある点には注意する必要がある。また、新規契約・MNPどちらでも適用されることから、現在は1回線しか利用していないユーザーでも、すでに2回線以上を有するユーザーでも、自身の都合にあった契約形態で割引を受けることができる。昨今では1台のスマートフォンで2枚のSIMカード(eSIMを含む)が挿入できる端末も増加しており、2回線目として契約する場合でも1台のスマートフォンで完結する場合もある。2025年1月現在で、「お試し割」を各社が積極展開している動きはみられないが、今後は対象ブランドやプランを限定しながら、徐々に適用が進んでいくものと予測する。

物価高騰の流れが継続しているなか、携帯各社は料金据え置きでの容量増加などにより実質値下げを行うケースも散見される。同一会社内での流動については、サブブランドからメインブランドへの変更も加速しており、MNP市場の底上げにつながっている。スマートフォンはSNSや動画・音楽などのサービスの進化と多様化により、料金プランは必ずしも安くて低容量を求めるだけでなく、高くても大容量と安定した品質を求めるユーザーも増加しており、双方によってMNP利用件数は増加が続いている。今後も競争環境の激化によりMNP市場は活況が続く見通しだ。

■本リリースにおけるMNPの定義(同一会社内の変更について)
①同一会社によるメインブランド⇔サブブランドの変更はMNPに含む
-KDDI:au⇔UQモバイル
-ソフトバンク:ソフトバンク⇔ワイモバイル
②同一会社によるオンラインプラン⇔メインブランド/サブブランドはMNPに含まない
-ドコモ:ahamo⇔ahamo以外のドコモプラン(eximo,irumoなど)
-KDDI:povo⇔povo以外のauプラン(使い放題MAX,auマネ活など)/UQモバイル
-ソフトバンク:LINEMO⇔LINEMO以外のソフトバンクプラン(ペイトクなど)/ワイモバイル
③楽天MVNOから楽天MNOの変更はMNPに含む
※上記はMM総研調べによる分類であり、今後予告なしに変更する可能性があります。

■Webアンケート調査概要
1. 調査対象:15~69歳の男女
2. 回答件数:1259人
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査時期:2024年12月20~23日

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