IoT需要を追い風にプラス成長に転じる

国内MVNO市場調査(2024年9月末時点)

2024年12月18日

■2024年9月末の独自サービス型SIM回線契約数は1326.3万回線(前年同期比0.9%増)と微増

■首位のインターネットイニシアティブはIoT向けが好調でシェアを拡大

■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は6.0%で変化なし

■2025年3月末の回線契約数は1380万回線と予想(前年同期比5.3%増)

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内MVNO(仮想移動体通信事業者)市場の2024年9月末時点での実績をまとめた。独自サービス型SIM(※1)の回線契約数は1326.3万回線で前年同期比0.9%増となった。IoT向け用途や対面販売を重視する個人向けMVNOの伸長により微増となった(データ1)。携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2024年3月末から横ばいの6.0%で推移した(データ2)

2024年9月末時点での事業者シェア1位は「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)。ネットワークカメラ・GPSデバイスなどIoT用の法人向けで回線数を伸ばし、純増した。2位はNTTドコモ(※2)。3位はオプテージ(大阪市)、4位は「J:COM MOBILE」を展開するJCOM(東京都千代田区)、5位はイオンリテールだった(データ3)

MM総研では2025年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1380万回線(前年同期比5.3%増)と予測する。スマートフォンでは、MNO(移動体通信事業者)から流出する顧客はMNOのサブブランド、オンライン専用プランなどが受け皿になっており、MVNO市場への流入は減少が続く見込み。一方、IoT向けは顕著に市場が拡大すると予想する(データ4)。

※1独自サービス型SIM : MVNOがSIMカード(契約者情報記録カード)を活用して独自の料金プランで提供する回線サービス(プリペイドは含まない)

※2 NTTレゾナントは2023年7月1日、事業再編によりNTTドコモに吸収合併されたため、本調査ではNTTレゾナントが提供していたOCNモバイルONEおよびNTTコミュニケ―ションズが提供する一部法人回線を含んでNTTドコモ提供分として定義する

独自サービス型SIM比率は6.0%と横ばい、サブブランド比率は拡大が続く

2024年9月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は2億2020万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体からみると、構成比は6.0%(※3)と横ばいで推移(データ2)。IIJ、オプテージはネットワークカメラなど法人向け用途が好調で回線数を伸ばした。2023年12月の電気通信事業法の省令改正でより柔軟なキャンペーンの実施や長期契約者向け特典の拡充が可能になり、個人顧客の解約抑止につながった。一方、シェア2位のNTTドコモはOCNモバイルONEの新規受付を2023年7月に停止し、既存ユーザーは同じドコモの低価格プランである「irumo」や他社サービスなどへ流出した。

MNOのサブブランド(ソフトバンクの「Y!mobile」、KDDIの「UQ mobile」)はメインブランドからの移行ユーザーを効率よく獲得しており、回線数は引き続き増加した。2024年9月末時点のサブブランドの契約比率は携帯電話(3G、LTE、5G)契約数の9.9%(前年同期比1.2ポイント増)まで拡大した。また、MNO各社のオンライン専用プラン(NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」)の契約数比率も4%強にまで拡大し、独自サービス型SIMの対抗軸となるサービスが好調で、MVNO市場は横ばいを維持する結果となった。

※3 2020年9月末より楽天モバイルを全体回線数に含め算出し直した。

首位のIIJはIoT向けが好調でシェアを拡大

2024年9月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」「BIC SIM」などを提供するIIJ。2位はNTTドコモ。3位は「mineo」を提供するオプテージ、4位は「J:COM MOBILE」を提供するJCOM、5位はイオンモバイルを提供するイオンリテール。

シェア1位のIIJはネットワークカメラやGPSデバイス、農業用水管理プラットフォームなどの法人向けのIoT用途が好調で、回線数を1年間で60万以上伸ばした。個人向けは端末セールキャンペーンが好調で、2024年3月に最大50GBの大容量プランを拡充したことも功を奏し、堅調に契約数を伸ばした。

2位のNTTドコモは2023年7月に吸収したNTTレゾナントが提供していたOCNモバイルONEの新規受付停止により、ドコモの低価格プランである「irumo」などへユーザーが流出した影響で、独自サービス型SIMのシェアは2024年3月末に比べてわずかに低下した。

3位のオプテージは、個人向けモバイルサービス「mineo」の必要な容量を最適に選択できるプラン「マイピタ」が主軸で、2024年2月から6月末まで実施したマイピタの全コースの基本料金を6カ月間990円とするキャンペーンが好調だった。また、クラウドカメラなどの法人向け用途が好調で、2024年8月にみまもりサービス「MAMOLEO(マモレオ)」のサービスを開始するなどIoT用途のサービスを拡充している。

4位のJCOMは「J:COM MOBILE」利用者の9割がケーブルテレビや固定回線をセットで利用した場合にスマートフォンのデータ容量を増量する「データ盛」の適用者で、ケーブルテレビや固定回線利用者の獲得が好調だった。ケーブルテレビ利用者への訪問販売での獲得が中心で、対面によるサポートが受けられる点が利用者に好評で回線数を伸ばした。

5位のイオンリテールは全国に展開するイオンモバイル店舗でサポートが受けられる強みや、イオンカードカウンターで契約できるようにするなど、イオン経済圏を活かした戦略で契約数を伸ばした。また、2024年4月に「さいてきプランMORIMORI」プランを値下げし、60GB~200GBの大容量プランを拡充。大容量プランの契約データ容量を家族でシェアする「シェアプラン」が好調だった。

MVNO市場はドコモが提供を始めた「irumo」や、サブブランドの伸長で成長が鈍化しているが、法人向けのIoT回線が市場をけん引している。個人向けサービスでは、IIJ、イオンモバイル、日本通信などが30GB以上の大容量プランの提供を始め、コロナ禍後に増える通信量や、家族で通信容量をシェアするシェアプランなど利用者のニーズに応えたプランの拡充で回線数が伸長した。

IoT向けSIM回線比率は今後60%を超える見込み

2025年3月末時点の独自サービス型SIM市場は1380万回線になると予測する(データ4)。IoT用途は引き続き市場が拡大する見込みであり、2027年3月末時点のIoT向け回線比率は60.3%に達すると予測する。

 

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