OS更新需要が顕在化し出荷台数は2ケタ成長に

「2024年度上期 国内パソコン出荷台数調査」

2024年11月28日

■2024年度上期のパソコン出荷台数は前年度同期比11.7%増の603万台

■平均出荷単価は同0.6万円増の12.1万円と上昇が続く

■2024年度下期は705万台、OS更新需要の顕在化で同30.5%増と大幅増を予測

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2024年度上期(2024年4~9月)の国内パソコン出荷台数を調査し概要をまとめた。出荷台数は603万台(前年度同期比11.7%増)となり、3年連続の減少から反転した(データ1)。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「Windows 10」の2025年10月のサポート期間終了を前にした企業のパソコン入れ替えが主な増加要因。下期出荷台数もOS更新需要がけん引し、705万台(同30.5%増)と伸長、2024年度通期では1308万台(同21.1%増)に拡大する見通しだ。メーカーシェアでは、NECレノボが129.8万台でシェア首位を維持したものの、4~6月は伸び悩み、シェアを1.4ポイント落とした。平均出荷単価は12.1万円とコロナ禍前と比較し3万円近く上昇した。

【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2023年度上期/2024年度上期)

※詳細データはP2.補足データを参照

 

 

【補足データ】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2023年度上期/2024年度上期)

 

 

詳細

個人向け出荷は価格高騰を受け4.2%減

個人向け出荷台数は166.7万台で、前年度同期比4.2%減となった。アップルは半導体不足を解消して以降、デスクトップ・ノートブックともに好転し、シェアを1.3ポイント上げた(データ2)。秋口以降も新製品価格はやや上昇傾向が見込まれるが、旧製品やコンポーネント価格が落ち着き5万~10万円台の低価格ノートブックの流通量がやや増えてきており、台数の減少に一定の歯止めがかかっている。2024年度通期は前年度並み、2025年度はWindows 10のサポート期間が終了する10月前後に特需発生が期待できる。 

【データ2】個人向け出荷台数

 

 

法人向け出荷は19.2%増、更新需要がけん引

法人向け出荷台数は前年度同期比19.2%増の436.3万台となり、2025年10月のWindows 10サポート終了に伴うパソコン入れ替えが進んでいる(データ3)。特に大企業での更新需要が顕著だ。しかし大企業のパソコン入れ替えは2024年度中にピークアウトする見込みであり、続いて中堅企業が今後1年間でパソコン入れ替えを進めると予測する。小企業では2025年度上期がパソコン入れ替えのピークと見ている。

【データ3】法人向け出荷台数

 

 

平均出荷単価は12.1万円まで上昇

半期ごとの平均出荷単価は、2024年度上期で12.1万円と、コロナ禍前の2019年度上期と比較し3万円近く上昇した(データ4)。円安による製品価格の高騰の影響もみられるが、メーカー各社とも更新需要で原則としてハイスペック品へのシフト、モバイルノートへのシフトを推進しており、出荷単価は上昇の傾向が続くとみられる。

【データ4】パソコンの平均出荷単価の推移

 

2024年度通期は1308万台と4年ぶりの上昇を予測

2024年度下期はOS更新によるパソコン入れ替え特需が見込め、2024年度通期の出荷台数は前年度比21.1%増の1308万台となる見通し(データ5)。価格上昇の影響は2024年度下期以降も続くとみているが、個人を含む市場全体の買い替え需要による台数増は2025年度にピークを迎えるだろう。なお、出荷金額は2024年度上期時点で7271億円と前年度同期比16.7%増加している。 

製品価格上昇局面でも、在宅勤務の広がりやDX(デジタルトランスフォーメーション)推進でパソコン選びは高性能品へのシフトが続く。ユーザーはAI(人工知能)活用に必要な性能とセキュリティ対策を両立するパソコン選びが引き続き重要となるだろう。特に2025年度下期以降はAIパソコンの需要が拡大し、価格の上昇傾向が続くことが予想される。メーカーにはユーザーの端末総保有コスト(TCO)を抑制し、新規端末への投資に資金を回せるようなサービス提案が求められるだろう。

【データ5】国内半期別パソコン出荷台数推移と予測

 

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