PCサーバー出荷金額は2年連続で増加

概要

ICT市場調査コンサルティングのＭＭ総研（略称MMRI、東京都港区、関口和一所長）は、2023年度（2023年4月～2024年3月）の国内PCサーバー出荷概況を調査し概要をまとめた。出荷金額は前年度比7.5%増の2838億円となった（データ１）。仮想化に加え、AI学習、開発用途やデータ活用基盤などで高性能なサーバーの需要が拡大している。

出荷台数は前年度比3.9％減の34万2391台、2018年度以降5年連続の減少となった（データ２）。2024年度は、オフィス内にあるオンプレミスサーバーの買い替え需要などにより、台数の減少幅が縮小し、金額は前年度比6.5％増の3023億円と拡大基調が続く見込みである。

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内（社内のサーバールームやデータセンターなど）に設置、運用されているサーバーのこと

【データ1】2023年度国内PCサーバー出荷金額実績と予測

詳細

高性能サーバーの需要増に加えて円安の影響もあり出荷金額の増加が続く

2023年度は出荷金額が2年連続の増加となった。オフィス内に直接設置するオンプレミスサーバーや通信事業者などが提供するプライベートサーバーの需要は減少傾向が続いている。一方で、パブリッククラウドへの乗り換えが続いているが、AI学習やデータ活用基盤などクラウドに預けにくいデータ資産の活用基盤としてオンプレミスサーバーの高性能化需要が高まっている。円安を背景にサーバーの価格も上昇傾向だがクラウドサービスの利用価格も上昇しているため、クラウドへの流出が減少し、出荷数の減少幅はゆるやかとなりつつある。ユーザーもクラウドの運用価格やシステムごとのメリットに関する経験値が上がっており、今後はシステムに応じてサーバーとクラウドの使い分けが進むとみられる。

【データ２】2023年度国内PCサーバー出荷台数実績と予測 

2024年度の出荷金額は6.5%増の3023億円を見込む

2024年度は、出荷金額を前年度比6.5%増の3023億円と予測する（データ１）。研究開発やソフトウェア事業者の生成AIの開発やサービス運用サーバーの出荷増加も見込まれるうえ、AIを活用するユーザーが増加していることで、一般の大手企業でAI用途サーバーの需要拡大が見込まれる。大手SIerや通信事業者も自社内に加え、自社顧客向けの専用生成AI基盤を増やす見通し。出荷単金は2013年度の44.5万円から24年度予測では89.1万円と10年でほぼ倍増する見通しだ。

【PCサーバーの定義】

・PCサーバーとは、32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は、企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなど、基幹系システムにも浸透し、現在では、金額ベースで全サーバー出荷金額の50％以上、台数ベースでは95％を占める。

・本統計には、メガクラウド事業者などが、ODMメーカーなどから調達する、自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。

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■ＭＭ総研について

株式会社ＭＭ総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。