2年連続で出荷金額が増加

「2023年度上期 国内PCサーバー出荷台数調査」

2023年12月27日

■出荷台数は前年度同期比0.9%減の16万9646台と減少が続く

■出荷金額は中・高価格帯へのシフトが進み、同17.5%増の1492億円

■AI対応サーバーへの投資拡大など今後も単価上昇が続く見込み

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2023年度上期の国内PCサーバー出荷台数を調査しその概要をまとめた。2023年度上期の国内PCサーバー出荷台数は16万9646台(前年度同期比0.9%減)と上期としては2020年度から4年連続の減少となった(データ1)。オフィス用途などオンプレミス向けのPCサーバー※1需要がパブリッククラウドにシフトしたことに加え、基幹システム向けのサーバー集約も進んでいることから台数減となった。出荷金額は1492億円で同17.5%増となった(データ2)。特に企業のERPなど基幹業務向けのアプリケーションや、データの利活用に向けたデータ統合などデジタライゼーション向けのサーバー投資が増加しているとみられる。

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内(社内のサーバールームやデータセンターな                ど)に設置、運用されているサーバーのこと

【データ1】2023年度上期国内PCサーバー出荷台数実績と予測


サーバー所有は基幹業務にシフト

2023年度上期は前年度同様、出荷台数は減少したが出荷金額は2年連続の増加となった。会議、グループウェア、メール、ファイル、プリントサーバーなど過去オフィスに設置されていたサーバーの需要は減少し、SalesforceやMicrosoft365などパブリッククラウド上のSaaS利用が進んでいる。一方で、企業財務会計や受発注情報などを処理する基幹システムは、企業自らがサーバーを所有してプライベートクラウドとして構築するなど、すみ分けが進んでいる。企業内の業務自動化やデータ活用に向けたサーバー投資が進んでおり、高性能なPCサーバーの需要が増加している。出荷単金は、2023年度上期で88万円と前年度上期と比較し14万円の上昇となっている。

【データ2】2023年度上期国内PCサーバー出荷金額実績と予測

 

2023年度下期も単価上昇は続き、通期出荷金額は3177億円で過去最高を見込む

2023年度下期の出荷台数は前年度同期並みの18万5200台と予測する(データ1)。下期出荷金額は引き続き中位から高価格帯のサーバー需要が中心となり、前年度同期比22.8%増の1685億円を見込む。2023年度通期出荷金額はMM総研が統計を開始した1999年度以降で過去最高となる3177億円(前年度比20.2%増)に拡大すると予測する。クラウド化が進展し、企業がITインフラを所有するオンプレミス型であってもサーバーのデータセンター集約が一段と進む。加えて日本の大手企業は独自のAI活用を模索する傾向が強く、企業独自のAI向けサーバーへの投資が増加する見通しである。GPUやNPUと呼ばれるAI向けサーバーのプロセッサーは高額で、単価上昇の要因となろう。

【PCサーバーの定義】
・PCサーバーとは32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなどの基幹系システムにも浸透。金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。
・本統計にはメガクラウド事業者等がODMメーカー等から調達する自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。

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