PCサーバー出荷台数は4年連続で減少

「2022年度国内PCサーバー出荷台数調査」

2023年06月28日

■ 2022年度の出荷台数は前年度比4.3%減の35万6250台で、4年連続で減少
■ 出荷金額は同4.8%増の2640億円で、4年ぶりに増加
■ 2023年度は8.3%増の38万5700台を予測、Windows Server更新需要がけん引

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2022年度(2022年4月~2023年3月)の国内PCサーバー出荷台数を調査し概要をまとめた。出荷台数は前年度比4.3%減の35万6250台となった(データ1)。新型コロナウイルスの流行で加速したクラウド化の影響を受けオンプレミスサーバー※1需要が伸び悩んだが、減少幅は2021年度の8.4%減から縮小した。

出荷金額は前年度比4.8%増の2640億円、2018年度以来4年振りの増加となった(データ2)。特に年度前半は部品不足や物流費の高騰を背景にサーバー価格の値上げがあり単金は5万6000円上昇した。2023年度は、買い替え需要の増加を背景に台数、金額とも前年度実績を上回ると見込む。

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内(社内のサーバールームやデータセンターなど)に設置、運用されているサーバーのこと

【データ1】2022年度国内PCサーバー出荷台数実績と予測

円安によるクラウド価格の急上昇でオンプレミスサーバー出荷減少幅は縮小

2022年度は台数こそ前年度実績を下回ったが、出荷金額は4年ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルスの流行により施設内に直接設置するオンプレミスサーバーの需要が減少、クラウドへの乗り換えが続いていたが、円安を背景にクラウド価格が急上昇したことで、サーバー出荷数の減少幅はゆるやかとなった。しかし、サーバーの価格も同様に上昇傾向にあり、ファイルやメール、Webなど汎用用途を中心に緩やかにクラウドへの乗り換えは続くとみられる。ユーザーもクラウドの運用価格やシステムごとのメリットに関する経験値が上がっており、今後はシステムに応じてサーバーとクラウドの使い分けが進むとみられる。

【データ2】2022年度国内PCサーバー出荷金額実績と予測

2023年度の出荷台数は増加傾向へ

 2023年度は、出荷台数を前年度比8.3%増の38万5700台と予測する(データ1)。現在市場で多く稼働するサーバーOS「WindowsServer2012」のサポート終了に伴う買い替え需要が見込まれる。さらにプロフェッショナル向け需要で、生成AIの開発や運用サーバーの出荷増加も見込まれる。スタートアップやSaaS事業者は、生成AIのモデルを活用したサービス開発投資を増やしている。大手SIerや通信事業者も自社内に加え、自社顧客向けの専用生成AI基盤を増やす見通し。大手ユーザーも、情報セキュリティやコンプライアンスの観点から、クラウドではなく、自社専用サーバー上で生成AIを活用する需要が膨らむ。OSサポート終了に伴う買い替え需要は、低価格の小型サーバーに多く発生することが見込まれるため、市場全体の出荷単金の上昇は2022年よりやや緩やかとなる見通しだが、生成AI需要が増加するほどCPU、GPU、メモリなどで高価格帯部品の需要が高まり、サーバー本体の出荷価格を予測以上に押し上げる要因となろう。


【PCサーバーの定義】
・PCサーバーとは、32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は、企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなど、基幹系システムにも浸透し、現在では、金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。
・本統計には、メガクラウド事業者などが、ODMメーカーなどから調達する、自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。

■報道に際しての注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析について、報道機関限定で詳細データを提供するものです。
2. 出典を「MM総研」と明記して下さい(MMは全角)。
3. 数値などは表ではなくグラフ化して掲載して下さい。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値などと異なることがあります。また、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
5. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
 -プロモーション(広告・販売促進資料・ホームページ掲載・チラシ等外部に発信する資料・データ)
 -セミナー・講演会
 -その他、営業目的・営利目的での使用
6. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。

■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

担 当 : 中村、高橋、久田

所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー

連絡先 : 03-5777-0161

電話をかけるお問い合わせ

おすすめのプレスリリース