3年ぶりに出荷金額が増加に転じる

「2022年度上期国内PCサーバー出荷台数調査」

2022年12月27日

■ 堅調な企業設備投資に支えられ出荷金額は前年度同期比6.7%増の1270億円

■ 出荷台数は前年度同期比5.1%減の17万1250台と減少が続く

■ クラウド化でオフィス設置型が台数減、ローカル5Gや産業IoTの需要喚起が必要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2022年度上期の国内PCサーバー出荷台数を調査しその概要をまとめた。2022年度上期の国内PCサーバー出荷台数は17万1250台(前年度同期比5.1%減)と19年度上期から3年連続の減少となった(データ1)。オフィス内などで利用されるオンプレミス向けのPCサーバー※1需要がパブリッククラウドにシフトし、特に低価格のオフィス向けサーバー需要が縮小した。出荷金額は1270億円で同6.7%増となった(データ2)。企業・団体の設備投資に支えられERPなど基幹業務向けのアプリケーションや、特に企業内データの利活用に向けたデータ統合などデジタライゼーション向けのサーバー投資が増加しているとみられる。

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内(社内のサーバールームやデータセンターなど)に設置、運用されているサーバーのこと

【データ1】2022年度上期国内PCサーバー出荷台数実績と予測

サーバー所有は基幹業務にシフト

2022年度上期は、出荷台数の減少が続いたが出荷金額は増加に転じた。会議、グループウェア、メール、ファイル、プリントサーバーなど過去オフィスに設置されていたサーバーの需要は減少し、SalesforceやMicrosoft365などパブリッククラウド上のSaaS利用が進んでいる。一方で、企業財務会計や受発注情報などを処理する基幹システムは、企業自らがサーバーを所有してプライベートクラウドとして構築するなど、すみ分けが進んでいる。さらに企業内の業務自動化やデータ活用に向けたサーバー投資が進んでおり、高性能なPCサーバーの需要が増加している。出荷単金は、2022年度上期に74万円と10年前の2012年度と比較し30万円以上の上昇となっている。

【データ2】2022年度上期国内PCサーバー出荷金額実績と予測

2022年度下期も金額増の見通し

2022年度下期の出荷台数は前年度同期比3.7%減の18万4750台と予測する(データ1)。2021年後半から2022年前半にかけ、半導体不足で生産に影響が出ていたが現在は不足感が一服している。下期出荷金額は、引き続き中位から高価格帯のサーバー需要が中心となり、前年度同期比5.3%増の1400億円を見込む。クラウド化が進展し、企業がITインフラを所有するオンプレミス型であってもサーバーのデータセンター集約が一段と進む。今後、出荷台数の拡大にはローカル5Gや産業IoT用途など現地に近い拠点でサーバーを利用する需要喚起が必要となろう。

【PCサーバーの定義】
・PCサーバーとは、32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は、企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなど、基幹系システムにも浸透し、金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。
・本統計には、メガクラウド事業者等が、ODMメーカー等から調達する、自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。


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