単価上昇で出荷台数の減少続く

「2022年度上半期 国内パソコン出荷台数調査」

2022年11月29日

■2022年度上半期の出荷台数は552.6万台で前年度同期比6.6%の減少

■出荷平均単価は10.9万円とコロナ前と比較し約2万円の上昇

■出荷台数が増加に転じるのは2023年度下期以降となる見込み

 ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2022年度上半期の国内パソコン出荷台数を調査し概要をまとめた。国内パソコンの総出荷台数は552.6万台(前年度同期比6.6%減)と2年連続の減少となった。半導体など部品供給は改善傾向だが、中国のゼロコロナ政策の影響を受け製品供給が不安定であったこと、加えて急激な円安による製品価格の上昇が出荷台数の減少要因となっている。メーカーシェアでは、NECレノボが128万台でシェア首位を維持したが、ノートブックの供給が安定せず2.2ポイントシェアを落とした。出荷平均単価は、10.9万円とコロナ前(2019年度上期)の9.1万円から約2万円近い上昇となり、買い替え需要の鈍化につながっている。

 

【データ1】2022年度上半期国内パソコン出荷実績

 

 

個人向け出荷は6.6%減、安定供給が課題

個人向け出荷台数は185万台、前年度同期比6.6%減となった。FCCLがECを強化しシェアを1.9ポイント上げ2位となった(データ2)。アップルは、独自CPU搭載機が非常に好評で品薄が続いていたが、年末商戦に向けた出荷で10月に入り品不足を解消しつつある。しかし新製品価格が上昇していることに加え、中国のゼロコロナ政策の影響を受け、冬商戦から年明けの春商戦で製品供給が不安定になる可能性がある。各社とも、2022年の年末年始向けモデルは円安の影響を受け値上げ傾向にあり、今後も出荷台数は伸び悩む可能性がある。

 

【データ2】個人向け出荷台数

 

法人向け出荷はGIGAスクールを除くと3%増と回復傾向も先行きに懸念

法人市場は、GIGAスクール特需の反動が若干残り、前年度同期比6.5%減の367.6万台となった(データ3)。GIGAスクール需要を除くと3%増とプラス成長に転じている。2021年度下半期に部品不足で受注残を抱えたメーカーが多かったが上半期に供給が回復した。2022年度下半期以降も買い替え需要中心に回復が続くとみられていたが、円安による製品出荷価格の上昇が、大手企業を中心に「(パソコンの購買は)予定していた機種を購入するが、値上げのため今期予算内で買える台数に留め、あとは来季予算で手当てする」(大手企業)という買い替えの先送りにつながりつつある。

 

【データ3】法人向け出荷台数

 

出荷単価が10.9万円まで上昇

半期毎の出荷平均単価は、2022年度上半期で10.9万円と、4年前の2018年度上半期と比較し2万円近く上昇した(データ4)。2022年度下期はさらに4,000円上昇し11万円台となる見通しだ。10万円を超えると、企業は会計上パソコン購入代金を経費処理できなくなる。特に人出不足で一層のデジタル化が必要といわれる中小企業は、経費でパソコンを購入することが多く、DXの足かせとなりかねない。

 

【データ4】パソコンの出荷平均単価の推移(万円)

 

2022年度通期は1088.6万台と2年連続の減少と予測

2022年度下半期もパソコン需要減は続き、出荷台数は前年度同期比で6.3%減の1088.6万となる見通し。単価上昇の影響は、2023年度上半期まで続き、買い替え需要に伴う台数増は2023年度下期以降となろう。2022年度通期の出荷金額は、前年度比10%増の1兆2076億円を見込む。上半期が6043億円で前年度同期比13%増、下半期も6033億円で同7%増となる見込みで、2021年度実績(1兆982億円)を上回る見通し。

 

単価上昇局面でも、在宅勤務やデジタル化の推進でパソコン選びは性能重視の傾向が続くだろう。企業では端末のセキュリティ強化も重要課題だ。他方、クラウドの拡大でパソコンの性能にあまり依存しない処理業務も増えている。当面はユーザー自身が、用途にあった性能のパソコンを吟味し、クラウドを活用して業務処理や管理のトータルコストを削減する自衛策が重要となる。

 

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