MVNOは快適に利用できる品質水準を維持

「MVNOネットワーク品質調査」(2022年9月時点)

2022年10月13日

■OCNモバイルONEは6項目評価の総合得点でトップ

■すべての項目でストレスなく利用できるレベル(基準値)をクリアしたのはOCNモバイルONE、IIJmio(ドコモ回線、au回線)、BIGLOBEモバイル(ドコモ回線、au回線)、日本通信SIM、donedone、J:COM MOBILE

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は主要な国内MVNO事業者のネットワーク品質を調査し、その結果をまとめた。調査対象はOCNモバイルONE、IIJmio、mineo、BIGLOBEモバイル、日本通信SIM、イオンモバイル、donedone、J:COM MOBILEの8事業者。また、参考比較として大手通信事業者(MNO)のサブブランドであるY!mobile、UQ mobileに対しても同様の調査を行った。評価指標は、Web表示の快適さなど6項目を設定し、5段階評価(最低評価1点~最高評価5点)を実施した。

MVNOはMNOから回線を借りてサービスを提供しており、限られた帯域の中でトラフィックをコントロールしている。調査結果では、主要8事業者ともマップ表示に関しては基準値(5段階評価で3点)を大幅にクリアし、ストレスなく利用できた。その他の項目についても、アプリダウンロードでの一部事業者を除き、基準値を上回り快適に利用できる水準にあることがわかった。すべての項目を合計すると最高得点はOCNモバイルONEで、満点の30点であった(データ1)

ドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線ごとに、その回線を利用するMVNOサービスとサブブランドの調査結果を見てみると、ドコモ回線ではOCNモバイルONE、IIJmioの評価が総合的に高かった。すべての項目において基準値を大幅にクリアしている(データ1)

【データ1】ドコモ回線の調査結果(5点満点評価)

au回線ではJ:COM MOBILEが5項目で最高評価となった(データ2)。サブブランドのUQ mobileの評価も総合的に高かった。全サービスほぼすべての項目で大幅に基準値をクリアしている。また、ドネーション型モバイル通信サービスのdonedoneは月額料金から一部が社会貢献団体にドネーション(寄付)される仕組みで、通信速度には上限が設けられている。「ベーシックUプラン」では最大3Mbpsだが、すべての項目で基準値をクリアした。

【データ2】調査結果au回線(5点満点評価)

ソフトバンク回線のmineoはアプリダウンロードが遅く、その他の項目は基準値以上だったが、平均点を押し下げる要因となった。サブブランドのY!mobileの評価は総合的に高かった(データ3)

【データ3】調査結果ソフトバンク回線(5点満点評価)

詳細

調査は2022年9月21日(水)、22日(木)の2日間。計測時間帯はいずれも帯域の奪い合いを考慮して、各日とも8時30分前後、12時30分前後、19時30分前後、20時30分前後に実施した。計測用のデバイスはアップル製SIMフリースマートフォン「iPhone 8」をSIMと同数台使用。調査では、通信速度以外にも実際に利用した際の『快適さ』を比較する指標として以下の評価項目で回線品質を評価した。

【データ4】項目評点

①Web表示の快適さ、②マップ表示の快適さ、③動画再生(動画再生時の遅延、動画再生途中での停止・画質)、④ギガ消費(動画再生時のザッピングをした際のデータ消費量)、⑤アプリダウンロード、⑥通信速度の各項目を5段階で評価し、ストレスなく利用できる品質を3点(基準値)に設定。各基準値は事前計測結果、アンケート結果および有識者会議により決定した(データ4)。調査結果はサービスごとにレーダーチャートで表した(データ5,6,7)

マップ表示は全サービス快適に、Webサイト表示では若干の差

Webサイトの表示状況(データ8)では、サンプルのサイトとしてMM総研ホームページを表示。混雑する昼の時間帯では、表示までの所要時間が他の時間帯に比べ伸びたサービスもあった。表示完了までの時間「10秒未満」を基準値に設定。昼の混雑時でも、今回調査した10事業者(14サービス)中12サービスが基準値をクリア。その中でも快適に閲覧できた事業者はOCNモバイルONE、J:COM MOBILE、サブブランドのUQ mobile、Y!mobileで、その他の時間帯でも基準値をクリアする結果となった。マップ表示(データ8)では、「新宿」を検索し表示完了までの時間を計測。全てのサービスが基準値を超えており、ストレスなく利用できることが分かった。

スムーズな動画再生が可能

動画再生で遅延の有無、再生停止の有無、再生時の画質を調査した(データ9)。YouTubeアプリで4分10秒の動画を再生し終了時点の時間を計測する。これにより通信速度比較ではわからない使用時の快適さが評価できる。計測は動画再生が最も多い20~21時の時間帯に実施した。今回調査したすべてのサービスで再生遅延や途中停止がなくスムーズに再生できた。14サービス中10サービスで720pの画質だった。YouTube動画では再生途中もネットワーク状況等により画質が変化する。

イオンモバイルが最もギガ消費抑制

複数の動画を同時に再生し、各社のギガ消費に関して調査した(データ9)。4分10秒の動画を3本用意しストリーミング再生。30秒再生時点で2本目の動画を再生し、さらに30秒再生時点で3本目の動画を再生するという計測方法で計測した。高画質で動画を再生すると通常ギガ消費も多くなる。ドコモ回線のイオンモバイルが8.8MBと、最もギガ消費が小さかった。

※各調査とも調査前に履歴、キャッシュを削除し計測している。

アプリダウンロードで差が開く

アプリダウンロードでは、約260MBのアプリをダウンロードし、アプリダウンロード完了までの時間を計測し評価した(データ9)。基準値をクリアしたサービスは、ドコモ回線のOCNモバイルONE、IIJmio、BIGLOBEモバイル、日本通信SIM、au回線のIIJmio、BIGLOBEモバイル、donedone、J:COM MOBILEで、サブブランドを除く12サービス中8サービスとなった。

レーダーチャートで総合的にみると、ドコモ回線ではOCNモバイルONE、IIJmio、au回線ではIIJmio、donedone、J:COM MOBILEが高品質を維持している。

今後もMM総研では、実際に利用した際の『快適さ』をわかりやすく伝えていきたい。

【データ5】ドコモ回線

【データ6】au回線

【データ7】ソフトバンク回線

【データ8】Web表示完了までの所要時間、マップ表示完了までの所要時間(秒)

【データ9】動画再生、ギガ消費、アプリダウンロード

【データ10】通信速度(Mbps)

■調査概要

調査期間 :2022年9月21日(水)、22日(木)
調査時間 :8~9時、12~13時、19~20時、20~21時
調査場所 :東京都港区
調査SIM :ドコモ回線(OCNモバイルONE、IIJmio、mineo、BIGLOBEモバイル、日本通信SIM、イオンモバイル)
au回線(mineo、BIGLOBEモバイル、IIJmio、donedone、J:COM MOBILE、UQ mobile)
ソフトバンク回線(mineo、Y!mobile)
対象回線 :LTE回線
調査端末 :アップル製SIMフリースマートフォン「iPhone 8」
Web表示 :Google Chromeのブックマークレットスクリプトを使用し計測(MM総研HP)
マップ表示:Google Chromeのブックマークレットスクリプトを使用し計測(新宿周辺)
動画再生 :「YouTube」アプリを使用し計測
ギガ消費 :計測後データ使用量-計測前データ使用量
アプリDL :ダウンロード終了時間計測(Instagram)
速度調査  :「Speedtest by Ookla」アプリを使用し計測
※計測は同時間帯で複数回調査し、帯域の奪い合い等を考慮した計測を行った。


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