国内クラウドサービスの市場規模は3.5兆円に拡大

「国内クラウドサービス需要動向調査」(2022年6月時点)

2022年08月24日

■2021年度のクラウドサービスの市場規模は3兆5723億円(前年度比3%増)

■大手クラウド3社の利用率が高まり、PaaS利用企業では60%がAWSを利用

■セキュリティなどを中心にハイブリッドクラウドを念頭においた統合管理が進展

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は企業の情報システム担当者を対象にWebアンケート調査を実施し、2022年6月時点の国内クラウドサービスの市場動向をまとめた。対象は国内企業33,922社。調査結果を基にした拡大推計によると、2021年度のクラウドサービスの市場規模は3兆5723億円で、前年度比24.3%増となった(データ1)。国内クラウド市場は引き続き非常に高い成長率を維持している。 

【データ1】国内クラウドサービスの市場規模の推移と予測

    ※2022年度以降はMM総研予測値

2021年度のクラウドサービス市場の内訳をみると、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)などのパブリッククラウドの市場規模は1兆5249億円と推計される。特にPaaSやIaaSについては、大規模な設備投資を必要としないことや、システム規模に応じた拡張性などの導入メリットが広く認知され、インフラの構築に欠かせないサービスとして定着している。また、SaaSも2021年にはコロナ禍に起因する、場所に依存しない働き方の常態化に伴って普及が進んだ。電子契約書や電子請求書など新たなサービス開発もめざましく、パブリッククラウド市場の拡大に寄与している。一方、プライベートクラウド(コミュニティクラウド、デディケイテッドクラウドなど)の2021年度市場規模は2兆474億円となり、初めて2兆円に到達した。拡大基調は今後も続き、2026年にはプライベートクラウドの市場規模は約4.1兆円に達すると予測した。 

大手クラウド3社のPaaS/IaaS利用率が高まる

パブリッククラウドサービスのうち、PaaSもしくはIaaSを導入済み、もしくは導入を検討している1,042社についてさらに詳しく分析した。PaaS市場およびIaaS市場では、大手クラウド3社の利用率の高さが際立っている。PaaS利用企業のうち、AWS(Amazon Web Services)を利用している企業は60.0%と半数以上を占めている。次いでAzure(Microsoft Azure)が48.2%、GCP(Google Cloud Platform)が28.8%で続いている。IaaS利用者全体ではAWSが54.7%、Azureは44.0%、GCPは26.2%となった(データ2)。前年度の調査(2021年6月調査)では、PaaS利用者のうちAWSの利用が37.4%、Azureが30.6%、GCPが15.9%であった。IaaS利用者では、AWSが40.3%、Azureが26.3%、GCPが13.7%であった。今年度調査(2022年6月調査)では、大手クラウド3社の利用率が一層高まったことが示された。 

【データ2】PaaS/IaaS利用者のAWS、Azure、GCP利用率

 大手クラウド3社の利用率が高まった理由として、社内のあらゆるシステムにPaaS/IaaSを利用する機会が増えたことが挙げられる。例えば、グループウェアやCRM(Customer Relationship Management)システムなど「情報系システム」にPaaS/IaaSを利用している企業のうち、78.6%の企業がコンピューティングリソースにAWSを、29.2%がAzureを、16.9%がGCPを使用している(データ3)。これに対し、コンピューティングリソースとしてオンプレミス環境を利用する企業は11.0%で、AWSの約7分の1にとどまった。

 大手3社のPaaS/IaaSの利用率は、情報系システムだけではなく、基幹系システムや顧客に対するサービス提供基盤などのシステムでも同様に高い。また、コンピューティングリソース以外に、リレーショナルデータベースや分析・機械学習基盤などでも、大手3社のPaaS/IaaSの利用率はその他のPaaS/IaaSやオンプレミス環境などよりも高い。日本市場では、大手クラウド3社のPaaS/IaaSは各種システムの機能を開発する上で、重要な選択肢と位置付けられている。 

【データ3】PaaS/IaaS利用者が情報系システムに利用するコンピューティングリソース

 セキュリティや予算管理などで統合管理が進展

マルチクラウド・ハイブリッドクラウドの利用が普及したことで、利用企業にとってインフラ管理の煩雑化への対応が新たな課題となっている。このため、アプリケーションからインフラまでを一体とみなし、クラウド環境やオンプレミス環境を統合的に管理する手法の導入を検討する企業が増えている。 

マルチクラウド・ハイブリッドクラウドのシステム管理の状況について、セキュリティや予算管理といった管理項目でシステム全体の統合管理が進んでいる(データ4)。「統合的なセキュリティポリシーの適用」ではシステム全体を統合的に管理している企業は28.8%に達した。「予算・実績管理、コスト管理」や「アクセス管理」でも、システム全体を統合的に管理している企業は20%を超えている。一方、「ステータス監視」では、システム全体を統合的に管理している企業は17.9%、「パフォーマンス測定、KPI測定・管理」では16.8%にとどまっている。システムの稼働状況やパフォーマンスの監視などはシステム単位で個別に管理される傾向が強く、統合化に遅れがみられる。 

【データ4】 マルチクラウド・ハイブリッドクラウド利用時の管理項目別・統合管理の対象範囲

 円安が大手クラウド3社のPaaS/IaaS利用に与える影響は限定的

2022年3月頃から急速に円安が進行し、2022年7月には約24年ぶりとなる1ドル139円台にまで下落した。PaaS/IaaSで利用率が高いAWS、Azure、GCPはいずれも原則的にドル建て決済である。大手3社のPaaS/IaaSを利用する企業にとって、円安はクラウドサービスへの支出額の増加要因になっている。今回の調査では円安が大手3社のPaaS/IaaSの利用にどのような影響を与えるかについても調査した。 

大手3社のPaaS/IaaS利用者のうち46.5%の企業が、このまま円安が継続しても現在のまま使い続けると回答した(データ5)。一方、53.5%の企業は大手3社のPaaS/IaaSの利用方針を変更すると回答した。どのように方針を変更するかについては、「新規開発に限り利用する」・「収益化できる開発に限り利用する」がともに32.7%で最多となった。次いで「国内ベンダのPaaS/IaaSを利用する」が28.3%となった。これらを総合すると、円安がこのまま継続しても、大手3社のPaaS/IaaSの利用方針を大幅に変更する企業は少ない。変更する場合であっても、用途を絞るなどの対策を取った上で利用が継続される。一方、円建て決済が可能な国内ベンダのPaaS/IaaSについては、利用を検討する機会が増えると予想される。

 【データ5】円安が続いた場合に対するAWS、Azure、GCPの利用方針

 ■調査概要
1.調査対象:国内法人ユーザー
              ―情報システム・ネットワークの管理・運用業務担当者
              ―情報システム等の導入にあたって、決裁や選定に関与する担当者
              ―ソフトウェアやシステムの開発業務担当者
2.回答件数:予備調査…33,922社、本調査…1,042社
3.調査方法:Webアンケート
4.調査期間:2022年6月9日~17日 

※調査結果は2022年9月1日より『国内クラウドサービス需要動向調査(2022年版)』として販売しております。
https://www.m2ri.jp/report/market/detail.html?id=69

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