GIGAスクール特需の反動で出荷台数は33%減

「2021年度通期 国内パソコン出荷台数調査」

2022年06月02日

■2021年度の国内パソコン出荷台数は1158.3万台(前年度比33.0%減)
■GIGAスクール特需の反動で法人市場が751万台(前年度比39.7%減)と大幅減
■2022年度は働き方改革に伴う更新需要の増加で市場は底打ち

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は2021年度(2021年4月~2022年3月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果を発表した。2021年度の国内パソコン出荷台数は1158.3万台(前年度比33%減)で、1995年の調査開始以来最高だった前年度から一転、大幅な減少となった。メーカー別の出荷台数シェアはトップのNECレノボがシェア25.1%で前年度比11.5ポイント減となった(データ1)

出荷金額は低価格ノートパソコンの出荷が増加し、1兆912億円(前年度比22%減)となった。出荷平均単価は9万4207円で、2020年度の8万1050円から1万3157円上昇した。


【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2020年度/2021年度) ※詳細データはP2.補足データを参照

 

【補足】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2020年度/2021年度)



個人向けはアップルがシェア拡大、法人は特需の反動減でNECレノボのシェアが低下

個人市場は、407.2万台(前年度比15.5%減)となった(データ2)。新型コロナの流行に伴う在宅勤務・在宅学習などの用途で2年連続増となっていたが、これらの需要が一巡したことで減少となった。シェアはアップルが2.2ポイント伸ばし3位となった。

【データ2】個人市場向け出荷台数シェア(2020年度/2021年度)


 

法人市場はGIGAスクール特需の反動で751.1万台(前年度比39.7%減)と大幅減となった(データ3)。GIGAスクール向けを除いた通常の法人市場は約673万台で前年度比12.1%の減少にとどまった。法人市場の2022年度見通しは約700万台と需要回復期に入っている。シェアでは2位の日本HPが19.6%、3位デル、4位富士通、5位Dynabookがそれぞれシェアを上げた。NECレノボはGIGAスクールで大きくシェアを伸ばした反動が大きく響いた。

【データ3】法人市場向け出荷台数シェア(2020年度/2021年度)

 

データ4】国内パソコンのルート別出荷台数

2022年度出荷は1%減の1147万台と予測

2022年度のパソコン出荷台数は前年度比1%減の1147万台を見込む(データ4)。個人市場は、2.3%増の416.5万台とほぼ横ばいの見込み。法人市場は、GIGAスクール特需の反動が一部に残るため730.5万台と前年度比2.7%の減少となる見込みだが、これに含まれる通常の法人需要は700万台の4%増となる見込み。懸念材料は、世界的な半導体の供給不足の影響に加え、中国のゼロコロナ政策に起因するロックダウンによる部品生産等の停滞で、年間を通じて供給が不透明になる可能性がある。

MM総研の取締役研究部長の中村成希は「法人市場は、働き方改革に伴うパソコンの更新需要が増えてきているが、足もとは部品不足から供給がやや滞っている状況である。企業は、人材不足を背景に生産性向上や働き方の多様化を目指して、従業員のIT環境やスキルへの投資を増やす傾向にある。これらの投資はパソコン市場にも向けられており中期的に市場に良い影響を与えるだろう。メーカーやサプライヤーは、供給の遅れを最小化し、従業員一人ひとりの成長につながる端末やソリューションの提案に注力すべきだろう」とコメントしている。


以上


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