特需反動で前年比16.9%減の1322.1万台に留まる
「2021年通期 国内パソコン出荷台数調査」
2022年03月02日
■2021年の国内パソコン出荷台数は1322.1万台(前年比16.9%減)
■コロナ特需の反動が減少要因、2022年1-3月期も大幅な減少が続く
■2022年4-6月以降、回復基調となるが2022年通期は14.4%減の1132.1万台と予測
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は2021年(2021年1月~2021年12月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果を発表した。2021年の国内パソコン出荷台数は1322.1万台(前年比16.9%減)と、1995年の統計開始以来、過去最高であった2020年の1591万台から270万台近い減少となった。メーカー別の出荷台数ではトップのNECレノボが388.3万台でシェア29.4%となったが、GIGAスクール向け特需の反動が響きシェアは前年比5.2ポイント減となった。
出荷金額は低価格ノートパソコンの出荷が増加し、1兆1150億円(前年比20.2%減)となった。出荷平均単価は8万4336円で、2020年の8万7788円から3452円低下した。
【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2020年/2021年) ※詳細データは補足データを参照
◆シェア首位はNECレノボ、アップルが成長
メーカーシェア首位のNECレノボの出荷台数は388.3万台で前年比29.5%減、シェアも29.4%で5.2ポイント減と大きな落ち込みとなった(データ1)。2位の日本HPも出荷台数は203.5万台で20.3%減となり、シェアも15.4%で0.7ポイント減となった。前年のシェア4位から3位に浮上したのが富士通クライアントコンピューティング(FCCL)だ。同社のGIGAスクール向け端末はタブレットが多く、パソコン出荷は少なかったこともあり特需反動の影響は比較的少なかった。これに加え、大手企業向けの出荷回復が順位アップの要因となった。アップルがランキングメーカーでは唯一前年を上回る実績となっており、シェアが5%となった。出荷金額は1兆1150億円で前年比20.2%減となり、2021年1-3月期にGIGAスクール向けの出荷が集中したこともあり台数を上回る減少率となった。2021年4-6月期以降は、世界的な部品不足の影響があり、単価は少しずつ上昇しており、この傾向は少なくとも2022年前半も続くとみられる。
【補足】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2020年/2021年)
【データ2】国内パソコンの出荷金額と平均単価の推移
2021年のルート別出荷台数では、個人市場は420.9万台(前年比10.8%減)、法人市場は901.2万台(前年比19.5%減)となり前年にGIGAスクール需要があった法人市場の落ち幅が大きかった(データ3)。
【データ3】国内パソコンのルート別出荷台数推移と予測
◆2022年の出荷台数は14.4%減の1132.1万台と予測
2022年のパソコン出荷台数は前年比14.4%減の1132.1万台を見込む(データ3)。2021年に続く2年連続の減少だが、GIGAスクール向け出荷がピークだった2021年1-3月期の反動で、2022年1-3月期は大幅減が見込まれるが、法人の買い替え需要は大企業中心に堅調で、4-6月期以降に減少幅は縮小し市場は回復基調となる。
MM総研の取締役研究部長である中村成希は「2022年のパソコン市場は、2年連続の減少が見込まれるが、市場は底打ちし、回復トレンドに向かう一年となろう。しかし、コロナ禍による部品の供給不足や価格高騰の影響に加え、ウクライナでの軍事衝突などサプライチェーンが不安定な状況がつづくだろう。中期見通しして2023年には1200万超、2024年はOS更新やGIGAスクールなどの入れ替えがはじまり、1400~1500万台規模にパソコン市場が再成長することが見込まれるが、それに向けて安定した製品供給網の確立がメーカーに求められる」とコメントしている。
以上
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