MVNOは快適に利用できる水準まで品質が向上
「MVNOネットワーク品質調査」(2021年9月時点)
2021年10月13日
■OCNモバイルONEは6項目評価の総合得点でトップ
■全ての項目でストレスなく利用できるレベル(基準値)をクリアしたのは、OCNモバイルONE、IIJmio(docomo回線、au回線)、mineo(docomo回線、au回線)BIGLOBEモバイル(docomo回線、au回線)、donedone、J:COM MOBILE
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は主要な国内MVNO事業者のネットワーク品質を調査し、その結果をまとめた。調査対象はOCNモバイルONE、IIJ mio、mineo、BIGLOBEモバイル、NURO Mobile、イオンモバイル、donedone、J:COM MOBILEの8サービス。また、参考比較として大手通信事業者(MNO)のサブブランドであるY!mobile、UQ mobileに対しても同様の調査を行った。評価指標は、Web表示の快適さなど6項目を設定し、5段階評価(最低評価1点~最高評価5点)を実施した。
MVNOはMNOから回線を借りてサービスを提供しており、限られた帯域の中でトラフィックをコントロールしている。調査結果では、主要7サービスともマップ表示に関しては基準値(5段階評価で3点)を大幅にクリアし、最高得点(5点)でストレスなく利用できた。その他の項目についてもアプリダウンロードでの一部事業者を除き、基準値を上回り快適に利用できる水準となった。すべての項目を合計すると最高得点はOCNモバイルONEで28.67点であった。(データ1)。
ドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線ごとに、その回線を利用するMVNOサービスとサブブランドの調査結果を見てみると、ドコモ回線ではOCNモバイルONE、BIGLOBEモバイル、mineoの評価が総合的に高かった。すべての項目において基準値を大幅にクリアしている(データ1)。
【データ1】
au回線では、mineo、BIGLOBEモバイル、J:COM MOBILEが各項目で高い評価結果となった(データ2)。サブブランドのUQ mobileの評価も総合的に高かった。全サービスほぼすべての項目で大幅に基準値をクリアしている。また、ドネーション型モバイル通信サービスのdonedoneは月額料金から一部が社会貢献団体にドネーション(寄付)される仕組みで、通信速度には上限が設けられている。「ベーシックUプラン」では最大3Mbpsだがすべての項目で基準値をクリアした。
【データ2】
ソフトバンク回線のNURO Mobileはアプリダウンロードが早く高評価となった。また、マップも快適に表示可能だ。サブブランドのY!mobileの評価も総合的に高かった(データ3)。
【データ3】
調査は2021年9月21日(火)、22日(水)の2日間。計測時間帯はいずれも帯域の奪い合いを考慮して、各日とも8時30分前後、12時30分前後、19時30分前後、20時30分前後に実施した。計測用のデバイスはApple製SIMフリースマートフォン「iPhone 8」をSIMと同数台使用。調査では、通信速度以外にも実際に利用した際の『快適さ』を比較する指標として以下の評価項目で回線品質を評価した。
【データ4】
①Web表示の快適さ、②マップ表示の快適さ、③動画再生(動画再生時の遅延、動画再生途中での停止・画質)、④ギガ消費(動画再生時のザッピングをした際のデータ消費量)、⑤アプリダウンロード、⑥通信速度の各項目を5段階で評価し、ストレスなく利用できる品質を3点(基準値)に設定。各基準値は事前計測結果、アンケート結果および有識者会議により決定した(データ4)。調査結果はサービスごとにレーダーチャートで表した(データ5.6.7)。
【データ5】
【データ6】
【データ7】
マップ表示は全サービス快適に、Webサイト表示では若干の差
Webサイトの表示状況(データ8)では、サンプルのサイトとしてMM総研ホームページを表示。混雑する昼の時間帯では表示までの所要時間がほかの時間帯に比べ伸びたサービスもあった。表示完了までの時間「10秒未満」を基準値に設定。お昼の混雑時でも今回調査した10事業者(15サービス)中、10サービスが基準値をクリア。中でも快適に閲覧できた事業者は、donedone、サブブランドのUQ mobile、Y!mobile。その他の時間帯でも基準値をクリアする結果となった。マップ表示(データ8)では、「新宿」を検索し表示完了までの時間を計測。全てのサービスが基準値を超えており、ストレスなく利用できることが分かった。
【データ8】
スムーズな動画再生が可能
動画再生で遅延の有無、再生停止の有無、再生時の画質を調査した(データ9)。YouTubeアプリで4分10秒の動画を再生し終了時点の時間を計測する。これにより通信速度比較ではわからない使用時の快適さが評価できる。計測は動画再生が最も多い20時~21時の時間帯に実施した。今回調査したすべてのサービスで再生遅延や途中停止がなくスムーズに再生できた。15サービス中13のサービスで480p以上の画質だった。YouTube動画では再生途中もネットワーク状況等により画質が変化する。
【データ9】
OCNモバイルONEが最もギガ消費抑制
複数の動画を同時に再生し、各社のギガ消費に関して調査した(データ9)。4分10秒の動画を3本用意しストリーミング再生。30秒再生時点で2本目の動画を再生し、さらに30秒再生時点で3本目の動画を再生するという計測方法で計測した。高画質で動画を再生すると通常ギガ消費も多くなる。docomo回線のOCNモバイルONEが最もギガ消費が小さく13.4MBであった。
※各調査とも調査前に履歴、キャッシュを削除し計測している。
アプリダウンロードは改善傾向
アプリダウンロードでは、約180MBのアプリをダウンロードし、アプリダウンロード完了までの時間を計測し評価した(データ9)。基準値をクリアした事業者は、ドコモ回線のOCNモバイルONE、IIJ mio、mineo、BIGLOBEモバイル、au回線のIIJ mio、mineo、BIGLOBEモバイル、J:COM MOBILE、ソフトバンク回線のNURO Mobileとなり、年々向上している。
【データ10】
レーダーチャートにて総合的にみるとドコモ回線では、OCNモバイルONE、mineo、BIGLOBEモバイル、au回線ではJ:COM MOBILE、mineo、IIJ mio、BIGLOBEモバイル、ソフトバンク回線ではNURO Mobileが高品質を維持している。
今後もMM総研では、実際に利用した際の『快適さ』をわかりやすく伝えていきたい。
■調査概要
調査期間 :2021年9月21日(火)、22日(水)
調査時間 :8時~9時、12時~13時、19時~20時、20時~21時
調査場所 :東京都港区
調査SIM :ドコモ回線(OCNモバイルONE、IIJ mio、mineo、BIGLOBEモバイル、NURO Mobile、イオンモバイル)
au回線(mineo、BIGLOBEモバイル、IIJ mio、donedone、J:COM MOBILE、UQ mobile)
ソフトバンク回線(mineo、NURO Mobile、Y!mobile)
調査端末 :Apple製SIMフリースマートフォン「iPhone 8」
Web表示 :Google Chromeのブックマークレットスクリプトを使用し計測(MM総研HP)
マップ表示:Google Chromeのブックマークレットスクリプトを使用し計測(新宿周辺)
動画再生 :「YouTube」アプリを使用し計測
ギガ消費 :計測後データ使用量-計測前データ使用量
アプリDL :ダウンロード終了時間計測(Instagram)
速度調査 :「Speedtest by Ookla」アプリを使用し計測
※計測は同時間帯で複数回調査した中央値、帯域の奪い合い等を考慮した計測を行った。
■報道に際しての注意事項
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