独自サービス型SIM 21年3月末は初の前年比減に
国内MVNO市場調査(2021年3月末時点)
2021年06月24日
■2021年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は前年同期比15.9%減の1261.6万回線
■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は1.5ポイント減の6.7%
■22年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1390万回線と予想
■料金の安さに加え、IoT対応を武器に再び成長路線を目指す
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内MVNO市場の2021年3月末時点での実績を発表した。調査結果によると、独自サービス型SIMの回線契約数は1261.6万回線となり、前年同期比で15.9%減のマイナス成長になった(データ1)。また、携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2020年3月から1.5ポイント減の6.7%になった(データ2)。
2021年3月末時点での独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位はIIJmioなどを提供するインターネットイニシアティブ。IoT用途を含む法人向け回線が好調で、2020年9月末から10万回線以上の純増を記録した。2位はNTTコミュニケーションズ。3位の楽天モバイルは20年9月に比べ約60万回線減で、2020年4月にMNO市場に参入したことからMVNOは解約およびマイグレーションが進み大幅減になった。なお、前回1位のUQコミュニケーションズは、20年10月時点でKDDIに事業統合されており、本統計の対象外となっている(データ3)。
MM総研では2022年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1390万回線(前年比10.2%増)と予測する。スマホ向け用途では、MNOの料金値下げ、オンライン専用プランの提供開始、サブブランドの攻勢に加え、楽天モバイルのマイグレーションがより一層進むことから純減が続く見込み。一方でIoT向け用途は引き続き大幅な成長が見込まれる(データ4)。
【データ1】 独自サービス型SIMの市場規模
携帯電話契約数に占める独自サービス型SIM比率は6.7% UQのMNO化と楽天のマイグレーション加速が影響
2021年3月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は1億8965.4万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体から見ると構成比で6.7%と2020年3月末から1.5ポイント減少した(データ2)。なお、2021年3月末時点のサブブランド(Y!mobile + UQ mobile)契約数比率は4.8%となる。
【データ2】携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率
インターネットイニシアティブが2017年9月末以来の1位を獲得
2021年3月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位はIIJmio・BIC SIMなどを提供するインターネットイニシアティブ。2位はOCNモバイルONEなどを提供するNTTコミュニケーションズ。3位は楽天モバイル。以下、4位はmineoを提供するオプテージ、BIGLOBE SIMなどを提供するビッグローブとなった。
シェア1位のインターネットイニシアティブ(IIJ)は、引き続き個人向けでは苦戦しているが、IoTを含む法人分野で順調に回線数を伸ばしている。2位のNTTコミュニケーションズは、goo Simsellerを通じたスマホ端末のセット販売が堅調に推移しているほか、フルMVNO基盤を活用したIoT向け回線も好調。
3位の楽天モバイルは、20年4月時点でMNO参入と同時にMVNO回線の新規受付を停止している。MNOでは21年3月末時点で300万超の申し込みを獲得しているが、そのうち60万超が自社MVNOからのマイグレーション分と予想される。今年度も各種キャンペーンにより、MVNOユーザーの他社流出を防ぎながら自社MNOへのマイグレーションをさらに加速していくことになるだろう。
4位のオプテージは、本年2月より他社に先駆けて新料金プラン「マイピタ」の提供を開始。MNOのオンライン専用プランよりも安い、月間容量20GBの音声プランで2178 円/月(税込)となる新料金を設定し、2月以降の新規契約数を伸ばすことに成功した。5位のビッグローブは、2月下旬より月間容量1~6GBの低容量プランについて、従来よりも20%前後安くなる新プランを投入。また、人気の動画・音楽サービスがゼロレーティング対象となる「エンタメフリー・オプション」の料金を大幅に割引き、いち早くMNO対抗プランを打ち出した(データ3)。
【データ3】独自サービス型SIMの事業者シェア
価格優位性を武器に再び成長路線へ
2022年3月末時点の独自サービス型 SIM 市場は1390万回線になると予測する(データ4)。 MNO の料金値下げ、オンライン専用プランの提供開始、サブブランドの攻勢に加え、楽天モバイルのマイグレーショ
ンが 進むことから、今年度中は スマホ用途としての回線数は純減する見込み。しかし、主要 MVNO が打ち
出した新料金プランは非常に価格優位性が高い。楽天によるマイグレーションが一巡した23年度以降は、
再び成長路線に戻ることが期待される。なお、引き続き IoT 用途での市場拡大が見込まれる。24年3 月末
時点の IoT 向け回線比率は半数超の53.2%に達すると予測する 。
【データ4】独自サービス型 SIM 市場予測
以上
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