MVNOネットワーク品質調査結果

動画再生時の画質劣化、ギガ消費で差がつく

2020年02月25日

■ 測定基準に「通信速度」のほか新たに5項目も採用、「快適さ」を多面的に評価

■ お昼の混雑時でも快適にWeb閲覧ができるのはサブブランドのUQモバイル、Y!mobile、MVNOではOCNモバイルONE、BIGLOBEモバイル(au回線)

■ 動画再生時の「画質」「ギガ消費」評価基準では事業者・サービス間に差が開く

 MM総研(東京都港区、所長・関口 和一)は2月25日、国内におけるMVNOの独自サービス型SIMの主要6事業者、サブブランド2事業者を対象にネットワーク品質に関する調査を実施し、結果を発表した。

 調査期間は2月4日(火)、5日(水)の2日間。計測時間帯はいずれも帯域の奪い合いを考慮して、各日とも8時30分前後、12時30分前後、19時30分前後に実施した。計測用のデバイスはApple製SIMフリースマートフォン「iPhone8」をSIMと同数台使用。

 調査では、通信速度以外にも実際に利用した際の『快適さ』を比較する指標として以下の基準で回線品質を評価した。

・動画再生(動画再生時の遅延、動画再生途中での停止・画質)
・ギガ消費(動画再生時のザッピングをした際のデータ消費量)
・Webサイト表示
・マップ表示
・アプリダウンロード
・通信速度

 各項目を5段階で評価し、ストレスなく利用できる品質を3(基準値)に設定。各基準値は事前計測結果、アンケート結果および有識者会議により決定した(図表1)。調査結果は事業者(サービス)ごとにレーダーチャートで表した(図表2.3.4)。

Webサイト・マップ表示で昼混雑時は5事業者・サービスが基準をクリア

 Webサイトによる表示状況の調査では、サンプルのサイトとしてMM総研ホームページを表示。マップ表示では「新宿」を検索し表示完了までの時間を計測した。表示完了までの時間は「10秒未満」を基準値に設定。結果は、お昼の混雑時に基準値をクリアした事業者はドコモ回線ではOCNモバイルONE、au回線ではUQモバイル、BIGLOBEモバイル、ソフトバンク回線ではY!mobileだった。その他の時間帯ではいずれのサービスも基準値をほぼクリアする結果となった。

動画再生では高画質選ぶならmineo、BIGLOBEモバイル(au)

 動画再生では遅延の有無、再生停止の有無、再生時の画質を調査した。YouTubeアプリで4分10秒の動画を再生し終了時点の時間を計測する。これにより通信速度比較ではわからない使用時の快適さが評価できる。計測は動画視聴が最も多い夜の時間帯に実施した。結果は、8事業者(11サービス)中、10サービスが再生遅延や途中停止がなくスムーズに再生できた。ただ、各サービスで動画再生時の画質に変化がみられ、YouTube動画では再生途中もネットワーク状況等により画質が変化する。

ギガ消費節約するならドコモのOCNモバイルONE、ソフトバンクのLINEモバイル

 動画再生時にザッピングした際のギガ消費も調査した。手法は4分10秒の動画を3本ストリーミング再生する。まず1本目を30秒再生した時点で2本目の動画を再生、続いてさらに30秒再生した時点で3本目の動画を再生、計測した。高画質で動画を再生すると通常ギガ消費も多くなる。ドコモ回線ではmineo、au回線ではUQモバイル、BIGLOBEモバイル、mineo、ソフトバンク回線ではY!mobileが高画質(720p)で再生していたため、ギガの消費が多くなった。

※各調査とも調査前に履歴、キャッシュを削除し計測している。

アプリダウンロードは事業者・サービス間で差

 アプリダウンロードでは、約80MBのアプリをダウンロード完了するまでの時間を計測した。基準値をクリアした事業者は、ドコモ回線ではOCNモバイルONE、au回線ではUQモバイル、BIGLOBEモバイル、ソフトバンク回線ではY!mobile。その他MVNO事業者には厳しい結果となった。

まとめ

 MVNOはMNOから回線を借りてサービスを提供しており、限られた帯域の中でトラフィックをコントロールする必要がある。Web表示、マップ表示に関しては、おおむね基準値をクリアしており問題なく利用できるレベル。

 動画再生でギガ消費を気にせずサクサク利用したいのであれば、MNO、サブブランドが優位だが、MVNOで動画を高画質で視聴したいユーザーには、mineoのほかau回線のBIGLOBEモバイルが推薦候補に上がる。さらに画質は基準値をクリアしたうえでギガを節約したいユーザーは、ドコモ回線のOCNモバイルONE、ソフトバンク回線のLINEモバイルが候補になる。

調査概要

調査期間 :2020年2月4日(火)、5日(水)
調査時間 :8時~9時、12時~13時、19時~21時
調査場所 :東京都港区
調査SIM  :ドコモ回線(楽天モバイル、IIJ mio、OCNモバイルONE、mineo、BIGLOBEモバイル、LINEモバイル)
       au回線(UQモバイル、BIGLOBEモバイル、mineo)
       ソフトバンク回線(Y!mobile、LINEモバイル)
調査端末 :Apple製SIMフリースマートフォン「iPhone8」
動画再生 :「YouTube」アプリで4:10の動画を再生
ギガ消費 :「YouTube」アプリで4:10の動画を30秒再生後、別の4:10動画を30秒再生、さらに別の4:10動画を30秒再生しデータ使用量を計測(計測前にキャッシュ、履歴は削除)
Web表示 :ChromeにてMM総研ホームページを表示
マップ表示:Chromeにて新宿を検索表示
速度調査  :「Speedtest by Ookla」アプリを使用し10回の中央値

※計測は同時間帯で複数回調査し、帯域の奪い合い等を考慮した計測を行った。  

 

 


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