携帯月額料金の実態と分離プランに対するユーザー意向(19年2月調査)
ーー 完全分離ならiPhone・フラッグシップAndroidの台数・構成比が縮小か
2019年04月03日
■ スマートフォン月額料金(端末代込)はMNO 3社 5,575円(7,563円)、
サブブランド 2,877円(4,127円)、MVNO 2,057円(3,464円)
■ 端末の実質購入金額はMNO 3社がスマートフォン47,720円、フィーチャーフォン16,301円、
サブブランド 30,000円、MVNO 33,758円
■ 月額料金に占める端末と料金などの内訳を把握しているユーザーは38%に留まる
■ 完全分離プランになればiPhone・フラッグシップAndroidの台数・構成比が縮小と予測
MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)はNTT ドコモ・au・ソフトバンク(以下、MNO 3 社)、ワイモバイル・UQモバイル(以下、サブブランド)、及びMVNO各社それぞれの音声通話サービス利用者に対するアンケート調査を実施し、それに基づき携帯電話の月額料金や端末購入金額などに関する利用実態をまとめた。調査時期は2019年2 月。
MVNO利用者の月額料金はMNO3社のスマートフォン利用者の45.8%
通信事業者別の月額料金(※1)について、端末購入金額を含む実際の支払金額を分析した。その結果、MNO3社のスマートフォン利用者の月額料金は7,563円で、フィーチャーフォン利用者は2,923円(MNO3社のスマートフォン利用者に対する比率は38.6%)だった。一方、サブブランド利用者は4,127円(同54.6%)、MVNO利用者は3,464円(同45.8%)となった。
端末の購入金額(※2)について調べた結果は、MNO3社の場合スマートフォン利用者が47,720円で、フィーチャーフォン利用者は16,301円だった。これに対し、サブブランド利用者は30,000円、MVNO利用者は33,758円だった。
端末購入金額を含まない通信サービスの月額料金(※3)についても分析した。結果は、MNO3社がスマートフォン利用者5,575円、フィーチャーフォン利用者は2,243円(MNO3社のスマートフォン利用者比40.2%)となった。これに対し、サブブランド利用者は2,877円(同51.6%)、MVNO利用者は2,057円(同36.9%)だった。
※1:「月額料金」=「通話料」+「データ通信料」+「オプション料」+「端末購入金額」
◇通話料・データ通信料・オプションを合算した金額を質問
◇オプションには故障・紛失時等の補償サービス、コンテンツサービス利用料を含む
◇消費税は含まない
※2:「購入金額」=端末の実質的な支払総額
◇毎月の利用料金から一定の金額が割引されるプランを利用の場合は割引適用後
◇消費税は含まない
※3:「端末料金を含まない月額料金」=「月額料金」-「端末購入金額」÷24
◇端末分割購入者の購入金額を24回分割購入として算出
◇消費税は含まない
端末代除くMNOのスマートフォン利用料金は13年12月に比べ18%ダウン
MM総研では2013年12月から携帯電話の月額料金について調査結果を発表しており、今回のMNOスマートフォンの利用料金(端末除く)は2013年12月と比較して約18%安くなっている。フィーチャーフォンに至っては約40%安い。
月額料金内訳の把握状況は38%に留まる
スマートフォン利用者に携帯電話会社に支払っている毎月の月額料金について、「通話料金」「データ通信料金」および「スマートフォン本体」の内訳金額の把握状況について質問した。その結果、「把握している」38.0%、「何となく把握している」50.1%、「全く把握していない」11.2%、「その他」0.7%となった。9割近い利用者が毎月の利用料金や端末購入金額をある程度把握しているものの、曖昧な認知状況となっていることが窺える結果となった。
さらに、2019年度に大手携帯電話会社の料金体系が完全分離プランに変更する場合を前提とした質問を実施した。仮説として「通話・データ通信利用料金が4割安くなり、一方でスマートフォン本体の値引きが削減・撤廃されることで店頭一括価格を購入時一括もしくは分割で全て支払う可能性がある」という内容を設定した。
そうした料金体系の変更に対する考えを複数回答形式で質問した結果、「良い事だと思う」33.9%、「通話・通信利用料金は4割ではなくもっと安くしてほしい」32.9%、「通話・通信利用料金を4割安くしても、スマートフォン本体の値引きも一部残してほしい」28.2%の順で高くなった。料金面以外では「値引きによるネットワーク品質やサービス低下が心配」14.0%、「MNOとMVNOの競争環境が心配」9.0%となった。
完全分離プラン導入後の端末価格受容性は現在の販売価格構成比とは大きなギャップ
次回契約時に「新品スマートフォンを購入」すると回答した754人に対し、現在販売されているスマートフォンの(毎月の割引や2年後の下取り前提を考慮しない)店頭一括販売価格を提示した。そのうえで、購入を希望する端末の価格帯を質問した。
その結果、「4万円未満の価格最重要視モデル」38.7%、「4万円以上7万円未満のコストパフォーマンス重視モデル」27.1%、「7万円以上10万円未満の高機能モデル」21.4%、「10万円超の最上位モデル(機能性最重要)」12.9%となった。
一方、MM総研調べによる2018年10-12月期のスマートフォン機種別販売台数実績(SIMロックフリースマートフォン含む)より、店頭一括価格(定価)の価格帯別構成比と比較すると大きなギャップがあることが判明した。
完全分離プランではiPhone・フラッグシップAndroidの台数・構成比が縮小と予測
今年3月に携帯電話料金の引き下げに向けた電気通信事業法の改正案が閣議決定された。一連の動きの中で、2019年度第1四半期にドコモが分離プランを発表し大手3キャリアの分離プランが出揃う見通しである。ドコモが発表する分離プランの内容次第では、auとソフトバンクも再び新しい分離プランを発表することも想定される。まだ不確定ではあるが、2019年度下期以降には「通話・データ通信」と「端末」の完全分離プランの時代が到来する可能性もあるだろう。その際には7万円以上の端末販売台数・構成比が減少することが予測される。2020年度には5Gの商用サービス開始も予定されている中、キャリアや端末メーカーには難しい舵取りが迫られている。
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