「スマートTVサービスAWARD」、ひかりTVが9年連続トップ

Amazonビデオが0.1ポイント差の2位

2019年03月26日

■ Amazonビデオ、NETFLIXがオリジナルコンテンツ制作に注力し躍進
■ ひかりTVは多様なサービスをまとめるプラットフォーム構築力で高評価
■ 今後の課題はスマートフォン中心の視聴スタイルに合わせた対応

 

「スマートTVサービスAWARD」、ひかりTVが9年連続トップ

                   
 MM総研(東京都港区、所長 中島 洋)は優れた映像配信サービスを表彰する「スマートTVサービスAWARD2019」の調査を実施し、有識者会議による最終審査を終えて調査結果を発表した。NTTぷららが提供する「ひかりTV」が9年連続の最優秀賞となり、前年の6位から3位にランクアップした「NETFLIX」が審査員特別賞を受賞した。

 

AmazonビデオやNETFLIX、オリジナルコンテンツ制作に注力し勢力を拡大

 本調査では主要な10事業者について、8分野32項目に関する評価を実施、各評価項目の獲得スコアにもとづきランキングした。審査過程においては2,000人を対象にしたユーザーのアンケート調査を踏まえ、有識者会議による最終審査を経て、上位サービスを選出。総合的に最も評価の高いサービスを「スマートTVサービスAWARD2019」の最優秀賞とする。オリジナル性や分かりやすい操作性などの質の高いコンテンツを取り揃えるなど注目度が高まっている新サービスを選び、審査員特別賞とした。
 今回の審査では映像配信サービスをはじめ豊富なコンテンツを提供するひかりTVが、僅差ながら連続して首位の座を守った。AmazonビデオはひかりTVに0.1ポイント差まで迫り、NETFLIXも昨年の6位から3位にランクアップするなど、海外勢が勢力を伸ばしている。

ひかりTV、多様なサービスをまとめるプラットフォーム構築力に高評価

 総合評価スコアでは、NTTぷららの「ひかりTV」が80.0点(100点満点中)と最高ポイントとなり、総合評価AAを獲得して最優秀賞となった。評価対象の8分野のうち、先進性、コアバリュー、顧客志向性(サービス)、顧客志向性(機能)の4分野で最も高い評価を得た結果だ。
 ひかりTVは、約15万本のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを提供するほか、映画やアニメ、スポーツなどの4Kコンテンツを約3,000作品そろえる。映像以外にもゲームや音楽配信、ショッピングなどのサービス展開やマルチデバイスへの対応も強化した。「ひかりTV for docomo」、「ひかりTV for NURO」、「ひかりTV with CATV」など会員基盤のある事業者との提携を積極的に進めるほか、国内の番組制作会社やアニメ制作会社との資本提携などを強化するなど、オリジナルコンテンツの拡充で実績を積んだことが高く評価された。2019年7月にはNTTドコモのグループに入ることから、次世代通信規格5Gに向けた技術や会員基盤を活用し今後のビジネス拡大に注目が集まっている。
 第2位はAmazonが提供する「Amazonビデオ」で、総合評価スコア79.9点を獲得し、1位のひかりTVに0.1ポイント差まで追い上げた。Amazonプライム会員の幅広い世代から支持を得る充実したコンテンツのラインアップが評価された結果と言える。世界配信によるAmazonスタジオのオリジナル作品とローカルの嗜好に合わせたコンテンツの制作・配信を同時並行で進めており、手軽に低価格でオリジナルコンテンツが見られることから顧客満足度の項目で高評価を得た。
 第3位はNetflixが提供する「NETFLIX」で、総合評価76.2点を獲得。前回の2018年調査時の6位から3位へ躍進した。サービスに対する価格妥当性やコンテンツの使いやすさから、質の高いオリジナルコンテンツの調達に注力したことで、ユーザーからの支持を獲得した。加えて、全世界同時配信などのグローバル展開に強みがあり、審査員特別賞をあわせて受賞した。今後のスマートTVサービス業界のあり方に先鞭をつけたといえよう。

課題は、スマートフォン中心の視聴スタイルに合わせた対応

 今年の「スマートTVサービスAWARD2019」では、従来の映像配信サービスからスマートTVサービスへの移行を見据えた4K映像やコンテンツラインアップの拡充に加え、ユーザーを囲い込むオリジナルコンテンツの調達や制作に積極的に取り組んでいる事業者が高いスコアを獲得する結果となった。視聴デバイスのマルチ対応やユーザーの好みに合った作品のレコメンドも評価のポイントとなっている。今後もさらに日本独自のローカルコンテンツの重要性が増すほか、スマートフォン中心の視聴スタイルに合わせたプレビューやコンテンツの時間などへの対応が求められるとMM総研は判断する。

 

≪スマートTVサービスAWARD概要≫
 本AWARDの審査ではコンシューマ向けに多チャンネル放送やVODなどの動画サービスを中心に、様々なコンテンツを提供する主要な10事業者(詳細は後述)を対象に調査した。
 「先進性」、「市場性」、「コアバリュー」、「顧客志向性(サービス)」、「顧客志向性(機能)」、「顧客満足度」、「スマートTVサービス期待度」、「スマートTVサービス認知度」の全8分野について、合計32項目の重要度を加味し、ポイント化して評価しました。また一部の項目については各サービスのユーザー合計2,000人を対象にアンケート調査を実施し、利用者の声も反映させている。 
 MM総研では、スマートTVサービスを「インターネット等を通じて映像や様々なエンタテインメントサービスを提供し、デバイス間連携による機能拡張を実現するテレビ端末やSTBを利用したサービス」と定義し、市場発展に影響を与えるサービスを総合的に調査・評価している。

※ひかりTVのテレビ(放送)サービスは、株式会社アイキャストが提供

※調査対象の10事業者およびサービスは以下の通り
Amazon「Amazonビデオ」、HJホールディングス「Hulu」、NTTドコモ「dTV」、NTTぷらら「ひかりTV」、ケイ・オプティコム「eo光テレビ」、ジュピターテレコム「J:COM TV」、スカパーJSAT「スカパー!」、Netflix「NETFLIX」、Perform Investment Japan「DAZN」、U-NEXT「U-NEXT」

 

・安田 浩氏(東京電機大学長/東京大学名誉教授):
「視聴デバイスの4K対応や海外事業者との提携など、しっかりと対応できるかどうかが要となるだろう。5Gの登場による各社の戦略に注目している。スマートTVサービスの内容が多様化したことにより、各サービスの特長や特異性に着目した評価の仕方が必要になってくる。」

 ・北村 森氏(商品ジャーナリスト/サイバー大学IT総合学部教授):
「ここ1~2年でAmazonやNetflixなどの海外勢の伸びが顕著に表れている。オリジナルコンテンツの強化が向こう3年の業界のあり方を示唆しており、調達したコンテンツのローカライズなどの各社の戦略に期待したい。初期設定のハードルの低さや価格妥当性を含めて、ユーザーの閲覧頻度をいかに高めるかが重要となってくるだろう。」 

・森 祐治氏(電通コンサルティング代表取締役社長・シニアディレクター/亜細亜大学都市創造学部・大学院アジア国際経営戦略研究科特任教授):
「レコメンデーション機能の高さも顧客満足度の向上につながっており、ユーザーが新たな発見を得られる点も評価のポイントとなるだろう。目新しいオリジナルコンテンツが揃うサービスへの期待度は高い。今後は、多数のコンテンツを揃える総合プラットフォーム事業者と映像サービスに特化する事業者について、両者の動向が注目される。」

・中島 洋(MM総研 代表取締役所長)
「サービスの多様化が急速に進んでいるので、評価軸の設定がますます難しくなっている。今後の評価の重要ポイントは5Gの登場によるスマホ向けサービスの開拓だろう。高速化、高精細化などの従来サービスの延長線上にある品質向上よりも、スポーツ中継の視聴者選択による多地点情報鑑賞などの視聴者のわがままが実現できるようなサービスが勝負になるのではないか。」

 ■有識者会議メンバー
安田 浩 氏 (東京電機大学長/東京大学名誉教授)
北村 森 氏 (商品ジャーナリスト/サイバー大学IT総合学部教授)
森 祐治氏 (電通コンサルティング代表取締役社長・シニアディレクター/亜細亜大学都市創造学部・大学院アジア国際経営戦略研究科特任教授)
・中島 洋(MM総研 代表取締役所長)

 

 


■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

 

 

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