提供戸数は前年比12.1%増の225.6万戸(2018年3月末)

全戸一括型マンションISP調査

2018年09月18日

■ シェア首位はつなぐネットコミュニケーションズ

■ 全戸一括型マンションISPの提供戸数は225.6万戸で前年比12.1%増加

■ 賃貸向け市場が引き続き拡大

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は9月18日、2018年3月末時点の全戸一括型マンションISP(インターネット接続業者)シェア調査結果を発表した。
 2018年3月末時点で全戸一括型マンションISP全体の加入件数(提供戸数)は前年比12.1%増の225.6万戸だった。事業者別シェアでは、全体の27.2%を占める、つなぐネットコミュニケーションズが首位となった。2位は15.0%のファミリーネット・ジャパンで、3位はD.U-NET(7.9%)。つなぐは2017年11月アルテリア・ネットワークスのマンション向けインターネットサービス事業との統合によって一気にシェアを拡大した。

 

■全戸一括型マンションISPシェア(2018年3月末)


※全戸一括型マンションISP・・・集合住宅の全戸分にインターネット接続サービス(光回線ベース)を一括で導入・提供する事業者。
※全戸一括加入方式を対象とし、任意加入方式は含まない。また、数値は2018年3月末時点サービス提供分を対象とし、OEM提供分を除く。

 

~事業者動向~

 シェア1位のつなぐネットコミュニケーションズが展開する「UCOM光 レジデンス」および「e-mansion」は、2018年3月末の提供戸数が61.4万戸だった。構内光配線方式を採用した「マンション全戸オールギガ光配線タイプ」による回線品質の訴求等により、主力となる分譲物件で堅調に件数を伸ばした。2018年4月からは「マンション全戸一括 10Gタイプ」の販売を開始し、高品質・広帯域サービスに対応する。賃貸物件向けには機能を絞った「UCOM光 レジデンス シンプルタイプ」を用意し、顧客獲得を進めた。事業統合によりマンション向けIoTサービスをはじめとするオプション商材を大幅に増やし、既存顧客を含め高付加価値化の提案に力を入れる。
 「CYBERHOME」などを展開するファミリーネット・ジャパンは、2018年3月末の提供戸数が33.8万戸でシェア2位となった。新築分譲物件のほか、賃貸物件での積極受注により件数を増やした。強みとする「インターネット×エネルギー」のコンセプトによるマンションインフラの提供のほか、分譲物件を中心にアプリやスマートスピーカーで家電制御するIoTサービス「rimoco(リモコ)」や、「AI管理人/AIコンシェルジュ」などの取り組みを実施。また、地上回線が寸断するような災害発生時でも安定した通信環境を確保できる「衛星インターネット」の提供を開始し、緊急時のバックアップ回線として期待を集めている。
 シェア3位で「D.U-NET」を展開する大和ハウスグループのD.U-NETは、2018年3月末の提供戸数が17.8万戸と前年比2割増となった。大和ハウスの賃貸住宅「D-room」への継続的な導入により、シェアを拡大させた。顧客満足度の維持・向上ではカスタマーサポートの強化に注力。AIを活用したIoTソリューションの開発を進める。今後、既存のインターネット未導入物件への対応も積極的に進める。
 前回調査(2017年3月末)ではシェア6位だったキッズウェイは4位に順位を上げた。また、シェア8位のギガプライズは遠隔スマートロック「L!NKEY」やIoTプラットフォームサービス「LiveSmart」などのサービス拡充で注目を集め、OEM分を含めた提供戸数では25.7万戸と前年比6.6万戸増となった。

 

~市場動向~

 全戸一括型マンションインターネットは、昨年と同様に新築賃貸アパート・マンションの建設ラッシュやストック住宅の増加を背景に、物件の資産価値向上等を目的として導入が進んだ。入居者は無料のインターネットのニーズが一層高まっており、賃貸物件を中心に今後も継続的に市場が拡大すると予測する。一方で、2020年の東京オリンピックに向けた分譲マンションの建設は進んでいるが、供給数は減少傾向にあり、新築分譲マンション向け市場の伸びは鈍化すると予測する。
 スマートロックや家電コントロールなどのマンション向けIoTサービスは話題性が高く、一部の先進顧客で導入が始まったものの、足元の消費者ニーズはそれほど高まっていない。マンションISPの付加価値商材による差別化が依然として難しい状況にある。一方で、価格が重視されがちな同市場においても通信品質はより重要性が増しており、顧客獲得におけるポイントの一つとなり始めている。

 


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