ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2018年3月末時点)
2018年06月14日
■ 2017年度のFTTH純増数は102.8万件、前年度比28%減で無線系へのシフトが影響
■ NTTの光回線に占める光コラボの割合は54.1%
■ 固定ブロードバンド市場でソフトバンクが首位
■ 従来の固定回線を代替するワイヤレスが219万件となり、拡大傾向
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は6月14日、2017年度(2017年4月~2018年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2018年3月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3,029.4万件で、3,000万件を超えた。2017年度の年間純増数は102.8万件で、前年度の約7割の水準だった。年間成長率は3.5%と過去最低となった。世帯普及率の高まりとともに、ユーザーの一部が無線系サービスへシフトしたことが影響したと分析する。
今回調査から、無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービス(ワイヤレス)についても、固定ブロードバンドの一部として対象とした。ワイヤレス市場は2018年3月末時点で219.4万件となり、従来のFTTH等を代替するサービスとして注目が集まっている。
FTTH市場の動向
光コラボがNTTの半数超、ドコモが引き続きシェア首位
NTTの光回線(フレッツ光および光コラボ)は、2018年3月末の東西合計の契約数が2,053.2万件となった。2017年度の新規開通数は前年度とほぼ同程度だったものの、解約が増えたことから純増数は48.0万件と前年度の6割の水準だった。FTTH市場におけるNTTのシェアは合わせて67.8%となり、1年間で0.7ポイント減少した。
光コラボの2018年3月末の総契約数は1,111.7万件でFTTH市場全体に占める割合は36.7%、NTTの光回線に占める割合は54.1%となった。
光コラボの契約数シェアではNTTドコモが42.8%で引き続き首位。携帯電話の顧客基盤や店舗チャネルを活かし、スマートフォンとのセット提案により顧客を増やしている。NTTドコモとソフトバンクを合せた携帯2キャリアのシェアは7割超まで拡大。大手ISP等を含めた上位10社のシェアが9割超を占めるが、携帯2キャリア以外のシェアは減少傾向にある。光コラボ参入事業者は2018年3月末時点で約700社と、まだ増加している状況にあるが、大手通信事業者に会員が集中している状況が続いている。
アルテリアがマンション向けで好調
「auひかり」等を提供するKDDIグループは、2018年3月末の契約数が399.3万件(シェア13.2%)で1年間でシェアを0.1ポイント落とした。他の携帯キャリアによる光コラボ獲得の影響で、拡大傾向に歯止めがかかっている。携帯電話とのセット割引「auスマートバリュー」を中心施策として継続しつつ、通信速度上り/下り最大5 Gbps・10Gbpsサービスの展開により高速・大容量ニーズの取り込みを図る。
近畿エリアを中心に「eo光」を展開するケイ・オプティコムは、2018年3月末163.0万件で微増だった。2017年7月より導入した「暮らしアドバイザー」のコンセプトをもとにネット・電話・テレビ・電気・ガスなど生活に必要なサービスを総合的に提案する。
アルテリア・ネットワークスは、2018年3月末で71.6万件となり、2017年度年間で9.5%の増加と好調だった。子会社のつなぐネットコミュニケーションズ等を通じて主力のマンション向け回線が大幅に増加。新築分譲のほか、サービスラインアップ拡充による既築賃貸物件の開拓で契約数を増やしている。
ISPではOCNが首位を維持
2018年3月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、純減が続くNTTコミュニケーションズ(OCN)が首位を維持した。携帯電話とのセット割引を訴求するソフトバンク(Yahoo! BB/SoftBank光)や、ドコモ光の獲得が堅調に進むNTTぷらら(plala)が契約数およびシェアをともに伸ばした。
(注1) NTT東西にはフレッツ光のほか、光コラボレーションモデルの件数が含まれる
(注2) KDDIにはauひかりのほか、中部テレコミュニケーション(コミュファ光)および
沖縄セルラー電話(auひかり ちゅら)の契約数が含まれる
固定ブロードバンド市場の動向
FTTH、ワイヤレスが好調なソフトバンクが首位
今回から、ワイヤレス*についても固定ブロードバンドの一部として対象に追加し、固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレスの合計)市場におけるシェアを新たに調査した。
ISPのシェアではソフトバンクがシェア首位となった。「SoftBank光」での顧客獲得のほか、2014年から提供を開始した「SoftBank Air」で宅内据え置き型の無線インターネット市場を開拓し、FTTHとワイヤレス双方で契約数が大幅に増加している。CATVインターネットを提供するジュピターテレコム(J:COM)はシェア3位だった。
*無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない
今後の市場動向
従来の固定回線の代替でワイヤレス市場が拡大
固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレスの合計)市場は、ADSLの減少が続くもののFTTHおよびワイヤレスの増加が続き、今後5年間で600万件以上拡大すると予測する。
今回より調査を実施したワイヤレス市場は2018年3月末219万件となり、固定ブロードバンドに占める割合は5.3%となった。開通工事が不要ですぐに利用を開始できる手軽さなどから、従来のFTTH等の固定ブロードバンド回線を一部代替するサービスとして普及が進み、2023年3月末に714万件(固定ブロードバンドに占める割合は14.9%)を予測する。
FTTH市場は光コラボによる新規需要創出やADSLからの移行、CATVのFTTH化等により、2018年3月末に3,029万件と3,000万件を超えた。2018年度の純増数は前年度の約85%の水準で88万件を予測する。中長期では、2023年3月末に3,340万件と予測する。ワイヤレス市場や高速モバイル通信の普及拡大とFTTHの世帯普及率上昇に伴い、2018年3月末からの5年間は年平均2.0%と成長鈍化を見込む。
光コラボ市場は転用のペースが落ちているものの、一定の新規需要を取り込んで2018年3月末に1,112万件、FTTH市場に占める割合は36.7%になった。携帯キャリアや大手ISPによる獲得を中心に2023年3月末に1,705万件まで拡大し、同割合は51.0%まで拡大すると予測する。
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