クラウド会計ソフトの利用状況調査(2018年3月末)

2018年04月12日

■ クラウド会計ソフトの利用率は2017年12月調査の13.5%から14.7%に拡大

■ クラウド会計ソフトの事業者シェアでは弥生が55.4%、マネーフォワードが21.1%

■ 起業2年未満では、半数以上でクラウド会計ソフトの導入意向あり

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施し、2018年3月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。本調査では、平成29年(2017年)分の確定申告を実施した個人事業主(1万7,016事業者)を対象とした。調査結果から会計ソフトを利用している個人事業主は28.4%で、その内、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は14.7%。確定申告予定者を対象とした2017年12月調査の13.5%から1.2ポイント増加した(図表1・2)。クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が55.4%、次いで「マネーフォワード」が21.1%、「freee」が16.5%となった(図表4)。

 クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(9,056事業者)に今後の利用意向を確認したところ、「今後利用したい」(7.2%)と「どちらかといえば今後利用したい」(28.5%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用意向率は35.7%(図表5)となった。この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が52.1%で最も多く、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果となった(図表6)。事業継続年数の若い個人事業主ほど積極的にクラウド会計ソフトを導入しており、この傾向は今後も強まるものと分析する。


※1.クラウド会計ソフトとは、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用できるソフトのこと。
パソコンに会計ソフトをインストールしたもの、会計データのみをインターネット上に保管するソフト
は含まない。

クラウド利用率は増加傾向も事業者による利用拡大への取り組み強化が必要

 多くの個人事業主は1月~12月の1年間の「所得」を確定させ、翌年2月から3月にかけて税務署に「申告」する、いわゆる「確定申告」を行っている。1月、2月は会計ソフトやクラウド会計ソフトを導入・変更する1年で最大のタイミングとなる。MM総研ではその前後で、個人事業主を対象にした調査を実施しており、第6回目となる今回の調査(2018年3月調査)では、2018年2月から3月にかけて確定申告を実施した個人事業主 (1万7,016事業者)を対象とした。


 上記の条件に当てはまる個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施したところ、「会計ソフトを利用している」との回答は28.4%(4,841事業者)となった(図表1)。この会計ソフト利用者に、利用している会計ソフトを確認したところ、パソコンにインストールして利用するPCインストール型の会計ソフト(※会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が75.5%を占めた。クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は14.7%で、2017年12月調査時の13.5%から1.2ポイント増加した(図表2)。


 クラウド会計ソフトの認知度を確認したところ、「知っている」との回答は全体(1万7,016事業者)の67.1%で2017年12月調査時から3.0ポイント増加した (図表3)。一方で、PCインストール型利用者や会計ソフトを利用していない層では、クラウド会計ソフトを認知していないユーザーもいまだ数多く存在する。引き続き、事業者による利用者拡大への取り組み強化が必要だが、PCインストール型の会計ソフトの中にはクラウド連携し、クラウド会計ソフトと同等の利便性を備えているものもある。そのためPCインストール型の利用者の中には、クラウド会計ソフトにこだわらない利用者層も増えてきている可能性もある。
   
 一方、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は54.1%(9,203事業者)となった(図表1)。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が40.0%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が36.2%で多く、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が15.2%となった。

「弥生」がトップシェアで55%「マネーフォワード」「freee」の順で続く

 クラウド会計ソフトを利用している個人事業主に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、事業者別では「弥生」が55.4%で最も多く、「マネーフォワード」が21.1%、次いで「freee」が16.5%となった(図表4)。

※対象ソフト

 ・弥生           ・・・「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」 
 ・freee      ・・・「クラウド会計ソフト freee」 
 ・マネーフォワード・・・「MFクラウド確定申告」
 ・全国商工会連合会・・・「ネットde記帳」

 トップシェアの55.4%を獲得した「弥生」は2017年12月調査時の55.1%からシェアを0.3ポイント上げている。2015年12月の調査開始以来、常にシェア50%を超えており、個人事業主から安定した評価を得ている。2位の「マネーフォワード」は、2017年12月調査時の23.1%からシェアを2.0ポイント落とし、21.1%となった。同社がシェアを落としたのは2016年3月調査以来、初めてとなる。一方で「freee」は2017年12月調査時の16.1%から今回調査では0.4ポイント増となる16.5%で、シェア低下に歯止めが掛かった。

 2017年12月調査時の上位3社の合計シェアは94.3%、2018年3月調査では93.0%となった。個人事業主におけるクラウド会計ソフト市場は半数以上を占める「弥生」が市場をけん引し、さらに「マネーフォワード」、「freee」などのベンチャー系事業者が加わった上位3社による寡占状態になっている。

起業準備や起業をきっかけにクラウド会計ソフトを導入

 今後の個人事業主におけるクラウド会計ソフトの導入意向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(9,056事業者)に今後の利用意向を確認した。「今後利用したい」(7.2%)と「どちらかといえば今後利用したい」(28.5%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は35.7%となった(図表5・6)。



 この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が52.1%、2年以上5年未満が43.7%、5年以上20年未満が34.7%、20年以上が32.7%と、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果となり(図表6)、過去5回の調査と同様の傾向となった。事業継続年数の若い個人事業主が引き続き、クラウド会計ソフト市場をけん引していくものと見られる。

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■調査概要  

   1. 調査対象:個人事業主/平成29年(2017年)分の確定申告実施者
     ※確定申告期間:2018年2月16日(金)から3月15日(木)
   2.回答件数:1万7,016事業者
   3.調査方法:Webアンケート 
   4.調査期間:2018年3月16日~29日

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