国内クラウド市場は1兆円を突破

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2016年12月13日

■ 2015年度の国内クラウド市場規模は1兆108億円、2020年度には3兆円を超えると予測

■ クラウドのセキュリティに対する不安イメージが低下

■ IaaS/PaaS領域ではAWSとMicrosoft Azureが顧客獲得で競争

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は12月13日、国内クラウドサービス市場規模の2015年度(2015年4月~2016年3月)の実績と2020年度までの予測、および需要動向に関する調査結果を発表した。
 この調査は、クラウドサービスを導入済または検討中の法人計1,373社を対象に、本年10月~11月にかけてMM総研が実施したアンケートをもとに取りまとめた。2015年度の国内クラウドサービス市場は前年度比33.7%増の1兆108億円となり、初めて1兆円を突破した。企業内の既存システムにおけるクラウド移行が加速しており、2018年度に2兆円を超え、2020年度には3兆円を超えると予測する。
 クラウドサービスのユーザーが持つイメージではセキュリティ面での不安が低下して、ユーザーの認識に変化が見られる。クラウドサービス事業者のセキュリティ対応力の向上に加え、利用者の増加に伴ってクラウドサービスに対する理解が進んだと言える。
 クラウド事業者間の競争は引き続き激しく、パブリッククラウドではAmazon Web ServicesとMicrosoft Azureが利用者の獲得においてしのぎを削っている。スケールメリットを活かすグローバルベンダーが上位を占める傾向に変わりはなく、国内ベンダーはプライベートクラウドの領域で生き残りをかける構図が鮮明になってきている。

クラウド市場規模

国内クラウド市場は1兆円を突破

 今回の調査において、2015年度におけるクラウドサービス市場全体の規模は対前年度比33.7%増の1兆108億円となり市場が大きく成長した。クラウドの持つコストメリットやスピードメリットを背景に、社内の既存システムのクラウド移行が加速する結果、2020年度までの年平均成長率は27.4%となる。2018年度は2兆1,750億円と2兆円を超え、2020年度には2015年度比3.4倍の3兆3,882億円と3兆円を超える市場に成長すると予測する。
 パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)は2015年度2,756億円で前年度比19.8%増となった。IaaS/PaaSの成長を背景に、パブリッククラウドは2020年度までの年平均は17.7%で、2020年度には2015年度比2.3倍の6,238億円に達すると予測する。
 プライベートクラウド(ホステッド、オンプレミスおよびコミュニティ)は2015年度7,352億円で前年度比39.7%増となった。2020年度までの年平均成長率は30.3%で推移し、ホステッド・プライベートクラウドの拡大により2017年度に1兆円を超え、2020年度には2015年度比3.8倍の2兆7,644億円になると予測する。

 クラウドのセキュリティに対する不安イメージが低下

 パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)やホステッド・プライベートクラウドに対するユーザーのイメージでは、「情報漏えいなどのセキュリティが心配」と回答したユーザーの比率が前年調査時に比べて減少した。クラウドサービス事業者のセキュリティ対応力が向上したことに加え、利用者の増加に伴ってクラウドサービスに対する適切な理解が進んだと分析する。セキュリティ面への不安はクラウド利用の障壁として挙げられてきたが、不安なイメージの低下によって信頼が高まり、クラウドの利用者が一層増えることが予測される。

クラウドイメージ

IaaS/PaaS領域ではAWSとMicrosoft Azureが顧客獲得で競争

 パブリッククラウドのIaaS/PaaSを基盤として活用している法人(n=223)が利用するサービスでは「Amazon Web Services」が34.1%と最も多く、引き続き首位となった。一方、他のクラウドの利用も増えた結果、相対的に利用率が減少した。AWSを追いかける「Microsoft Azure」はユーザーの積極的な取り込みにより前年調査時より利用率が高まっており、IaaS/PaaSの利用を検討する企業(n=129)においては最も多く選ばれた。今後も上位2社において、顧客獲得競争が一層激化することが予想される。国内ベンダーでは富士通が健闘しており、子会社のニフティを含めると利用・検討率は上位となる。
 ホステッド・プライベートクラウド利用ユーザー(n=390)では「Enterprise Cloud」(NTTコミュニケーションズ)が19.2%と最も多く、富士通(18.2%)、IBM(17.2%)と続く結果となった。
 パブリッククラウドのIaaS/PaaSでは引き続きスケールメリットを活かすグローバルベンダーが上位を占める結果となった。国内ベンダーはプライベートクラウドの領域を中心に生き残りをかける構図が鮮明になってきている。

利用・検討サービス

 

 この調査では、クラウド市場をパブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)とプライベートクラウド(ホステッド、オンプレミスおよびコミュニティ)に分類した。事前調査として、国内法人ユーザーを対象にWebアンケートを実施し、18,667法人にアンケート回答を求め、その中から実際にクラウドサービスを導入済、あるいは検討している1,373法人を対象に今回の調査を実施した。
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<調査概要>
1.調査対象  :国内法人ユーザー※
2.回答件数  :予備調査(n=18,667)、本調査(n=1,373)
※全業種を対象に情報システムやネットワークの管理・運用担当者または、決裁や選定に関与する立場
※本調査はクラウドサービスの利用・検討者を対象
3.調査方法  :Webアンケート
4. 調査期間 :2016年10月18日~11月7日
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調査の詳細な分析を加えたレポート「国内クラウドサービス需要動向(2016年版)」を発刊いたします。
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