ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2016年9月末時点)

2016年12月06日

■ 2016年度上期のFTTH純増は84.8万件と4年ぶりの高水準を記録
■ 光コラボレーション契約数は691.7万件、FTTH市場に占める割合は24.1%
■ 光コラボレーションにおけるNTTドコモのシェアは36.6%で首位
■ 2016年度のFTTH純増数は前年度を上回る135万件を予測

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は12月6日、2016年9月末のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2016年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は2,868.8万件で、2016年度上期(2016年4月~9月)では84.8万件増加した(伸び率は3.0%)。半期の純増として80万件を超えたのは、2012年度上期の89.7万件以来4年ぶりで、携帯キャリアを中心とする光コラボレーションモデル(以下、光コラボ)による新規顧客の獲得が進んだことが寄与した。下期はペースがやや鈍化するものの、2016年度通期の純増数は前年度を上回る135万件を予測する。

 光コラボ契約数は2016年9月末691.7万件で、FTTH市場全体に占める割合は24.1%、NTT東西の光回線に占める割合は35.1%となった。

FTTH(光回線サービス)事業者の動向

光コラボはドコモがシェア36.6%で引き続き首位

 NTTの光回線(フレッツ光および光コラボ)は、2016年9月末の東西合計の契約数が1,970.4万件だった。FTTH市場におけるシェアは合わせて68.7%で同年3月末から0.5ポイント減少した。

 光コラボの2016年9月末総契約数は691.7万件でFTTH市場全体に占める割合は24.1%、NTTの光回線に占める割合は35.1%となった。2016年度上期の累計では転用(フレッツ光からの乗り換え)の比率が約6割まで下がり、携帯キャリアを中心とする事業者の積極的な販売で新規開通が比率・件数ともに上昇した。

 光コラボの契約数シェアではNTTドコモが36.6%で引き続き首位となり、シェアは拡大傾向にある。既存の顧客基盤や店舗チャネルを活かし、携帯電話とのセット提案により顧客を増やしている。NTTドコモとソフトバンクを合せた携帯2キャリアのシェアは6割超、大手ISP等を含めた上位10社のシェアで約9割となった。光コラボ参入事業者は2016年12月1日現在で約500社と一定の割合で増加しているが、大手通信事業者に会員が集中している状況は変わらない。

 

KDDIは拡大傾向に歯止め、新たな施策で挽回へ

 「auひかり」等を提供するKDDIグループは、2016年9月末の契約数が384.4万件(シェア13.4%)で同年3月末からシェアを0.1ポイント落とし、拡大傾向に歯止めがかかっている。携帯電話とのセット割引「auスマートバリュー」や3年間の継続利用を条件に段階的に月額料金を割り引く「ずっとギガ得プラン」による新規顧客獲得と解約抑止を継続する。これに加え、従来から関係性の強いケーブルテレビ事業者向けにauひかりの卸サービス「ケーブルプラス光卸」を12月に開始し、顧客拡大をめざす。

 近畿エリアを中心に「eo光」を展開するケイ・オプティコムは、2016年9月末で161.5万件と緩やかに拡大。新規加入で最大1年間月額料金を2,000円割り引く「スーパースタート割」(12月以降は「新スーパースタート割」)を継続的に訴求する。7月からはVODサービス「eoオンデマンド」を新たに開始。2017年1月からは上り下り最大10Gbpsの超高速インターネットの試験提供を開始し、付加価値を高める。

 マンション全戸一括加入型の光回線サービス最大手のアルテリア・ネットワークスは、2016年9月末で58.9万件(シェア2.1%)となった。全戸一括加入型サービス「UCOM光レジデンス」を中心に顧客の獲得が進んだ。集合住宅向けにネットワークカメラや電力一括受電サービス、放送サービスなど光インターネットと親和性の高いサービスを取りそろえ、「IoT・スマートマンション」として提案していく。

 FTTHシェア

光サービス別シェア

ISP事業者の動向

ソフトバンクがスマートフォンとのセットでシェアを拡大

 2016年9月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、OCNが首位を維持するものの純減が続き、シェアは低下傾向にある。
 2位のYahoo! BB(SoftBank光含む)のシェアは同年3月末から0.5ポイント増加。ソフトバンクショップや家電量販店などでのスマートフォンと「SoftBank光」によるセット販売が寄与した。
 3位のSo-netはドコモ光料金プランのタイプ変更による新規獲得の増加やマルチキャリアでの積極的なチャネル販売を進め、シェアを伸ばした。4位のBIGLOBEは堅調に顧客を増やした。

 ISPシェア

今後の動向

2016年度のFTTH純増数は前年度を上回る135万件を予測

 固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATVの合計)市場は、ADSLやCATVの減少を上回る規模でFTTHの増加が続き、緩やかに拡大すると予測する。

 FTTH市場は光コラボによる新規需要創出やADSL、CATVからのマイグレーションにより、2017年3月末に2,919万件と年間で4.8%の成長となり、純増数は135万件と前年度を上回る予測。中長期では、2018年に3,000万件を超え、2021年3月末に3,196万件を予測する。高速モバイル通信の普及拡大やFTTHの世帯普及率上昇に伴い、2016年3月末からの5年間は年平均2.8%と成長鈍化を見込む。固定ブロードバンドに占めるFTTHの割合は2018年度中に8割を超え、2021年3月末に82.5%となる見通し。

 光コラボ市場は転用ペースが落ちるものの、一定の新規需要を取り込んで2017年3月末に848万件、FTTH市場に占める割合は29.1%になると予測。携帯キャリアや大手ISPによる獲得を中心に2021年3月末に1,743万件まで拡大し、同割合は54.5%まで拡大すると予測する。


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