クラウド会計ソフトの法人導入実態調査

2016年09月29日

■ 会計ソフト利用者のうち、クラウド型の利用率は17.2%
■ 設立1年未満の中小企業・団体では、クラウドの利用率が5割超
■ クラウド会計ソフトの導入シェアは「freee」が36.6%で首位
■ クラウド会計ソフトの導入メリットは情報の集約管理とコスト削減

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は9月29日、国内法人におけるクラウド会計ソフト(※1)の導入実態について調査結果を発表した。この調査は、従業員300人以下の中小企業等5,015社を対象にWebアンケートを実施して取りまとめた。
 2016年9月現在、中小企業等におけるインストール型を含む会計ソフトの利用率は49.3%で、そのうちWebブラウザを使用するクラウド型の利用率は17.2%だった。法人設立後の年数別に見ると、1年未満の法人ではクラウド型が主流となっており、利用率が53.1%と過半数を占めた。クラウド型の会計ソフトの導入メリットとして、クラウド上での情報の集約管理やコスト削減を重視する割合が3割近くを占め、クラウド活用による業務効率化への期待がうかがえる。
 クラウド会計ソフトの事業者(サービス)別シェアでは、「freee」が36.6%で首位となった。

 ※1 Webブラウザを使用し、インターネット等のネットワーク経由で会計ソフトの機能を利用できるソフトウェアを指す。パソコン等の端末に会計ソフトをインストールして使用するものや、会計データのみをインターネット等のネットワーク経由で外部に保管するソフトウェアは含まない。

会計ソフト利用者のうち、クラウド型利用は17.2%

 従業員300人以下の中小企業等における会計業務の方法は、会計ソフトの導入によるものが49.3%と約半数を占め最も多い。さらに会計ソフト利用者においては、クラウド型サービスの利用が17.2%、インストール型のパッケージ導入によるものが82.8%で、現時点ではクラウド型の利用率は2割弱となった。

 

設立1年未満の中小企業・団体では、クラウドの利用率が5割超

 法人設立年数別に会計ソフトの導入形態を分析したところ、起業・独立直後や設立から間もないベンチャー企業等の法人ほどクラウド利用率が高いことが分かった。法人設立1年未満では53.1%と最も高く、5割を超える結果となった。1年以上~2年未満は41.2%、2年以上~3年未満は40.4%と続く。新設法人ではクラウドの利用が主流となっており、価格の安さや導入の容易さ、操作のしやすさなど、クラウドならではの特長を有効に活用しているものと見られる。
 また、企業等の成長率別に会計ソフトの導入形態を見てみると、80%以上の成長を実現した法人のクラウド利用率は35.6%、「成長率60%~79%」では50.0%、「成長率40%~59%」では37.2%、「成長率20%~39%」では32.7%という結果になった。成長率20%以上の法人ではクラウドの利用率が特に高いことが分かる。クラウドによる業務の効率化や生産性の向上が企業等の成長を後押ししている可能性があると考えられる。

クラウド会計ソフトの導入シェアは「freee」が36.6%で首位

 クラウド会計ソフトを利用する従業員300人以下の中小企業等において、「クラウド会計ソフト freee」(freee)の利用率が36.6%と最も高くなった。2位は「弥生会計オンライン」(弥生)で26.7%、「ネットde会計」(パイプドビッツ)と「MFクラウド会計」(マネーフォワード)が同率で10.7%と続く。
 シェア首位の「クラウド会計ソフト freee」は2013年3月に提供を開始。銀行口座やクレジットカード、ECサイトなどの明細を自動で取得して仕訳登録を行うなど、入力の自動化による経理・会計業務の効率化を実現している。2位の「弥生会計オンライン」は、2015年7月に提供を開始。クラウド型では後発ながら、インストール型ソフトで培った実績や知名度の高さを活かし、首位のfreeeを追う。

クラウド会計ソフトの導入メリットは、情報の集約管理とコスト削減

 クラウド会計ソフトの導入目的として「クラウド上で情報を集約管理」(28.2%)を筆頭に、「経理業務にかかる人件費の削減」(27.5%)、「ソフトウェアにかかる費用の削減」(23.7%)が上位に挙げられた。さらに、社内の経理業務だけに留まらず、銀行口座等の外部データとも容易に連携することなども目的として挙げられており(「銀行口座等の外部データ連携の自動化」(17.6%))、経理業務の効率化がクラウド会計ソフトには求められている。 
 クラウドで情報を管理することにより、場所を選ばずに経理業務ができる上、取引明細の自動化など手間やコストを減らすことができる。中小企業の場合、必ずしも専任の経理担当者がいるとは限らないので、低コストで手軽に管理でき、効率化を図れることがクラウド会計ソフト導入のメリットと言える。

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<調査概要>
1.調査対象  :従業員300人以下の会社・団体等法人における経理関連業務担当者※
        ※代表者・役員、経理・財務の担当者
2.回答件数  :5,015社
3.調査方法  :Webアンケート
4.調査期間  :2016年9月9日~9月12日
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